アメフト

慶應アメフト白星スタート、QB西澤巧馬「負けたら終わり、自分が勝たせる」

慶應の西澤は身長187cm、体重95kgの大型QBだ(すべて撮影・北川直樹)

関東大学リーグ1部TOP8

8月31日@東京・アミノバイタルフィールド
慶應義塾大(1勝)23-8 立教大(1敗)

アメリカンフットボールの関東大学リーグ1部TOP8は8月31日に開幕。開幕戦は慶應義塾大が23-8で立教大を下した。

西澤から工藤へのパスで先制タッチダウン

序盤は両チームともに決め手を欠いたが、第2クオーター(Q)の終盤に立教大がオフェンスでボールをファンブル。慶應大が攻撃権を得ると、QB西澤巧馬(4年、清風)が、WR工藤眞輝(2年、慶應義塾)に13ydのタッチダウン(TD)パスを決めた。立教はエースRB荒竹悠大(4年、立教新座)のランを中心に攻めたが、得点につなげられない。慶應が6-0とリードして前半を終えた。

第3Q、慶應はフィールドゴール(FG)で3点、TDで7点を追加。立教はパスに切り替えてドライブしたが、TDを狙ったパスをインターセプトされるなど、要所のミスが響いて得点できない。第4Qに意地でTDを奪ったが、終盤にTDを追加した慶応が23-8で快勝した。立教はオフェンスの獲得距離では慶應を上回ったが、第3ダウンの効率が悪く、喫した3つのターンオーバーがそのまま点差となり、手痛い黒星スタートとなった。

5位に沈んだ昨シーズンを、西澤は「自分のせいで負けた」と言いきる

「頭がよくてアメフトの強い大学に受験で進みたい」

この日、慶應の勝利の原動力となったのは、QBとしてオフェンスを率いた西澤だ。パスで118yd、ランで49ydを稼いだ。

西澤は昨シーズンからエースとして試合に出場していたが、第2節で対戦した立教にはチームとしてリーグ戦で28年ぶりに敗れた。「自分のミスのせいです」と西澤。続く上位校との対戦でも負けが込み、2勝4敗で5位に終わった。西澤には「自分のミスで4年生を引退させてしまった」という自責の念があり、この悔しさを糧に練習に取り組んできた。初戦に勝ったことについて、「去年の4年生に報いられたという気持ち。とにかくうれしいです」と言って笑った。

西澤は、大阪の清風高校でアメフトを始めた。2年生の冬には大阪府選抜に選ばれ、この日と同じアミノバイタルフィールドであったオールスターゲームでSIC(埼玉・茨城・千葉)地区選抜と対戦した。その試合での活躍が慶應の監督の目に留まり、「ウチに進学しないか」との誘いを受けた。

当時、慶應には高木翼(現・富士通フロンティアーズ)という大型でパサータイプのQBがいて、強力なオフェンスを率いていることは知っていた。自分と高木は体格が似ていたこともあり、西澤は「あんなQBになれたらカッコいいなあ」と感じていた。

中高一貫校に通っていたこともあり、「中1から5年間まったく勉強しなかった」という西澤は、このときはじめて真剣に大学進学について考えたという。

親から「勉強しろ」と口うるさく言われなかった反面、焦りも感じ始めていた西澤は「頭がよくてアメフトも強い大学に受験して進みたい」と考えた。いくつかスポーツ推薦の誘いは受けたが、一般受験で入ることを目指し、志望校は京大と慶應に絞った。京大合格はかなわなかったが、1浪の末、慶應義塾大学理工学部への進学が決まった。

スタントHC(中央左)に刺激を受け、フットボールに取り組む

晴れてユニコーンズに入部。高校時代とは一線を画するスプレッドオフェンスを目の当たりにして「パスが好きな自分に合ってる」とワクワクした。「雲の上の存在」と尊敬する高木はすでに卒業していたが、たびたび練習に顔を出し、アドバイスをくれた。すべてが新鮮で、ヘッドコーチ(HC)のデイビッド・スタント氏の下で本場仕込みのフットボールに取り組む日々は、刺激に満ちている。

新エースRB大河原ら頼もしい仲間たち

西澤が慶應オフェンスの司令塔となり2年目の今シーズン、チームは昨秋までQBとして登録していた大河原陸(2年、慶應義塾)をRBにコンバート。攻撃の切り札として、大河原の高い身体能力を生かさない手はないとの判断だ。実際、大河原は春からエースRBとして鋭い走りを披露し、注目を集めている。「李卓(現・オービックシーガルズ)さん以来、絶対的なエースRBが不在だったけど、今年は大河原のランが出る確信がある分、かなり助かります」と西澤。加えてWRにも「どんな球を投げても絶対にとってくれる」と西澤がたたえる佐藤凱輝(よしき、4年、同)がいる。昨シーズンは留学のため選手登録しなかった工藤にも「とにかく気持ちが強い」と信頼を置いている。

この春からRBとなり、高い身体能力を生かしている大河原(中央7番)

慶應は次節、法政大と対戦する。昨シーズンは3点を追う展開で迎えた終盤に西澤がQBサックを受けてFG圏内から出てしまい、18-21で負けた。立教戦とはまた違った、強い思い入れのある相手だ。「今シーズンは日本一といった抽象的な目標以前に、一戦一戦、とにかく負けたら終わりと思ってやってます」と語る西澤。「去年は自分のせいで負けた分、今年は絶対に自分がチームを勝たせる」と、自分らしくチームを引っ張ることを誓った。

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