アメフト

慶應QB三輪忠暉、本場から持ち帰ったリーダーシップで勝負

三輪は関学戦で39回パスを投げ、24回の成功だった

フラワーボウル

5月5日@神戸・王子スタジアム
慶應義塾大 27-33 関西学院大

アメリカンフットボールの春の交流戦で慶應義塾大が昨シーズンの学生王者・関西学院大に挑み、6点差で敗れた。春の序盤ということもあり、両チームともに粗さが出た。試合終了間際には関学のロングスナップのミスに乗じて慶應が逆転を狙ったが、届かなかった。

「惜しい試合、勝てる試合だった。高校から上がってきたヤツらは、ずっとそう言われてきたかもしれないけど、負けは負け。いい負け方なんてない。そういうマインドセットを直さないと、勝てるチームにはなれない」。試合後の慶應のハドルで、ヘッドコーチ(HC)のデイビッド・スタントが選手に訴えかけるように話した。ラストプレーまでもつれた末の敗戦に、涙を流す選手もいた。

関学戦の直後、スタントHCの話を聞く慶應の選手たち

フットボール留学で得た自信と、現実のギャップ

この春2戦目となる関学戦の先発QBは、3年生の三輪忠暉(ただあき、慶應義塾)だった。三輪は昨年8月に渡米した。オハイオ州にあるアシュランド大にフットボール留学するためだ。慶應のコーチからは「向こうで成長してこなかったら、チームには戻さない」と言われ、覚悟を持って海を渡った。アシュランド大では控え組同士のゲームにあたるJV戦に4試合出場、タッチダウンパスも決めた。

留学先では、アシュランド大の一員としてJV戦に出場した(写真は本人提供)

いちばんの収穫は技術の向上よりも、リーダーシップの大切さを学べたことだという。
オフェンスの中心として仲間をリードする力が、格段に上がった。プレー面でも「頑張れた」という自負があった。この日は三輪にとって帰国後初の試合だ。関学に対しても、QBとして勝負できる自信があった。しかし、三輪の理想からはほど遠い試合になった。

三輪は関学戦の直後に言った。「本当にひどい。インターセプトやファンブルで、自分が壊したゲームです」と振り返った。オフェンスの最初のプレーで三輪のショートパスが関学のDB北川太陽(2年、佼成学園)に奪われ、インターセプトリターンタッチダウンを食らった。

終盤には続けてパスを決め、あわや同点&勝ち越しの見せ場も作ったが、「相手がメンバーを下げたからで、自分がよかったわけじゃない」と、冷静に自己評価した。同点を狙ったWR佐藤凱輝(4年、慶應義塾)へのパスは決まらず、負けという結果だけが残った。三輪は相手のパスカバーを読む力に自信を持っていたが、三輪が言うには関学のカバーはきれいで隙がなく、納得のいくプレーはさせてもらえなかった。

堅実なプレーでエースの座を狙う

慶應のエースQBは、昨秋のシーズンに三輪不在の中で頭角を表した西澤巧馬(4年、清風)と三輪が争っており、現時点でイーブンだ。3月には春の初戦の早慶戦は西澤が、続く関学戦は三輪を先発させることが、コーチから告げられていたという。春の残りの試合でどちらが先発するのか、コーチからは何も知らされていない。それでも春に活躍した方がエースとして抜け出すのは間違いない。三輪は言う。「西澤さんのポテンシャルはすごい。自分がスターターになるには、仕事をキッチリとそつなくこなし、オフェンスメンバーをしっかりマネージメントをしないとダメです」。ずば抜けた身体能力があるわけではない。三輪は自分の生きる道を知っている。

変わろうとしているユニコーンズ

慶應は昨秋のリーグ戦で2勝4敗に終わった。
「負け慣れたチーム」を変える取り組みが始まっている。

関学戦直後のハドルで、三輪は厳しい表情になった

リーグ戦で接戦を落とした反省をもとに、厳しい状況で相手を上回れるよう、春の練習はファンダメンタルとフィジカルに重点を置いている。
ポジションに関係なく、全員が体重を10kg増やすという課題も設定された。加えて練習の一つひとつが細分化され、プレーを合わせることよりも、「タックルされたら前に倒れる」「ルートをきっちりと走る」といった当たり前のことを重視する方針になり、個を徹底的に鍛えている。

「もっとうまく、強くなればスターターを任せてもらえると思うので、成長して秋に大好きな先輩方と日本一になります!!」。三輪は力強く語った。

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