日大フェニックスが日体大に圧勝、来年冬の日本一へ新たな船出
再建途上にある日大アメリカンフットボール部「フェニックス」が5月4日、日体大との練習試合に圧勝した。関東学生連盟による公式戦出場資格停止処分が3月末で解けてから初めての試合だった。個人として同じ処分を受け、同じく3月末で処分の解けたDL宮川泰介(4年、日大豊山)は、けがのために出場しなかった。チームとして、警視庁に傷害容疑で書類送検されている件で東京地検の処分が決まるまで、今後も試合には出さない方針。
ど派手な先制の一発
試合直前、主将の贄田時矢(にえだ、4年、日大鶴ケ丘)に促され、宮川がハドル(円陣)の真ん中に歩み出た。「これで全員そろったぞ」。贄田の声に、チーム全員が大いに沸き、試合に入っていった。
まずは日大のオフェンス。自陣28ydからの最初のプレーでパスに出た。一昨年の甲子園ボウルで最優秀選手に輝いたQB林大希(3年、大正)が、右肩を大きく後方に落としてから投げ込んだ。理想的な放物線を描いたボールを、右サイドを駆け上がったWR岸澤淳之介(3年、日大豊山)がキャッチ。そのままエンドゾーンへ走り込み、鮮烈な72ydのタッチダウン(TD)パスになった。沸き上がる日大のベンチ。冷静を装ってサイドラインへ戻って来たという林は、橋詰功監督にハイタッチで迎えられた。
追加点はディフェンスで挙げた。第1クオーター(Q)7分すぎ、相手のパスを奪ったDB岩崎匠(3年、駒場学園)がリターンTD。14-0とした。さらに第1Q9分すぎに、RB川上理宇(3年、佼成学園)の独走TDで21-0と差を広げた。そこからはターンオーバー合戦になり、日大オフェンスにも大いに課題が出た。プレーとしては荒かったが、現時点でのパワーとスピードでは日体大を圧倒し、42-0で勝った。
主将の贄田は試合直後、チームの面々に語りかけた。
「いいところも悪いところも出たな。ここから試合がたくさんあるから、悪いところはなくしていこう。その繰り返しで、絶対にゴールは日本一。そこを忘れないように。ここで勝って満足するようなチームじゃないから。絶対に来年、日本一をとる。フェニックスを日本一に戻すのが、俺らの役割なんだから」
今年の秋に関東大学リーグ1部BIG8で勝ってTOP8に昇格し、来年の秋に甲子園ボウルで勝つ。最短ルートでの学生日本一への返り咲きへ、フェニックスが羽ばたき始めた。
再スタートを喜んでもらえてうれしい
橋詰監督の話
勝てたこと以上に、このチームで試合ができたことがありがたいなと思います。ここまで、とりあえずたどり着けました。今日会場に来て下さった人だけでなく、普段からフォローしてくれるみなさんが、我々が再スタートを切れたことを喜んでくださるのがうれしいです。
まず勝てたのはよかったですけど、まだ我々のやることはまだまだ。再スタートを切れただけです。今年の3月まで試合に出られないということで、まったく新しいチームをつくるぐらいの気持ちでスタートさせたんで、そういう意味では、それなりに長かったと思います。
宮川は数週間前に肉離れをしまして、そこから一切練習をしてませんので、今回は物理的に出られませんでした。あと、まだ検察の処分が決まってないということもありますので、それが決まるまでは出さないということになると思います。