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日大フェニックスの新たな一歩 7日に関東大学リーグ1部BIG8初戦

主将の贄田(52番)らフェニックスがリーグ戦に戻ってくる(撮影・北川直樹)

2017年の学生王者・日大フェニックスが戻ってくる。9月7日午後3時半、東京・AGFフィールド。関東大学リーグ1部BIG8の初戦で青山学院大と対戦する。昨年5月6日、関西学院大との定期戦での一件で、日大は昨秋のリーグ戦に出られず、TOP8からBIG8に自動降格。来年の冬、最短ルートで学生日本一へ返り咲くための戦いが始まる。

45年ぶりの夏合宿で高まった一体感

日大はこの夏、45年ぶりに東京を離れて夏合宿をした。8月18日から26日まで、長野の菅平高原で秋に向けた詰めの練習に取り組んだ。8月27日にあったリーグの記者会見で、主将のOL贄田(にえだ)時矢(4年、日大鶴ケ丘)は言った。「菅平で合宿して、チームの一体感が倍増したんじゃないかっていうぐらいに成長しました。これをフィールドでのプレーに落とし込めないと意味がないので、試合までにそこに取り組んで、一戦一戦勝っていきたいと思います」。就任2年目の橋詰功監督も「非常に意味のある合宿になりました。チームが上り調子で、どんどん成長してるという感覚があります」と語った。

記者会見に出席した橋詰監督(後列中央)と贄田主将(52番、撮影・篠原大輔)

焦点は、例の一件で警視庁から傷害容疑で書類送検されているDL宮川泰介(4年、日大豊山)が試合に出るのかどうか。3月末で関東学連からの出場資格停止処分が解けたが、チームとしては検察の最終判断を待つというスタンスで、春の試合には出場してこなかった。これに対して橋詰監督は春のスタンスを変えないことを表明した。「彼の中ではいろいろな思いがあるのかもしれないですけど、『待ちましょう』と言ってます」。宮川自身の受け止め方について問われた監督は、こう言った。

宮川は紛れもないフェニックスのコアメンバーだ。4人いる副将の一人に選ばれている。パワー、スピードともにレベルアップしていて、橋詰監督は「間違いなく大きな戦力です」と評した。「僕の思うところでは大学フットボール界を代表する選手に育ってます。僕自身も彼がフィールドに立つ姿を見たいというのが希望ですね」。主将の贄田も「筋トレが大好きなので、筋肉もりもりになってます。非常に強いですし、彼がいれば百人力ですね」。宮川がフェニックスでのラストシーズンに、フィールドで躍動するシーンは見られるのか。

QB林大希がキーマン

橋詰監督は今シーズンのキーマンとして、QBの林大希(たいき、3年、大正)を挙げた。2017年のシーズンに1年生ながらエースQBとして大活躍。フェニックスが27年ぶりに甲子園ボウルで勝つ原動力となり、年間最優秀選手に選ばれた。あれからもうすぐ2年が経つ。監督は言った。「技術的にはもちろん向上してますし、フットボールへの取り組み方が素晴らしいと思います。天真爛漫(らんまん)な性格なので、やりたいことは必死でやるけど、やりたくないことはやらないタイプかと思ってました。でもいまは、何にでも自分から取り組んでます。人として成長してると思います。後輩の選手に声をかけて練習以外の時間に教えたりしてますし、いいリーダーになってると感じてます」

心身ともに成長した林がどんなパフォーマンスを見せるか(撮影・北川直樹)

今シーズンBIG8の2位までに入れはTOP8との入れ替え戦に出られる。そして来シーズンをTOP8で戦い、甲子園ボウルまで勝ち上がり、そこで勝つ。これが最短ルートでの復活日本一だ。その野望の実現には、林の躍動が欠かせない。

林は私にこう言ったことがある。「いまの自分といまのチームの最大限を楽しみにしてて下さい。1年のときの自分も、優勝したときのチームも必ず超えてみせます」

いよいよ2019年9月7日、日大フェニックスの新たな一歩が刻まれる。

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