もう見られない大学ユニフォーム! 4年生のラストランを目に焼きつけて
「駅伝に詳しすぎるアイドル」として陸上ファンも一目置くNGT48西村菜那子さんのコラムです。今回は、卒業が間近に迫った4年生の、大学ユニフォームでのラストランについて綴ってくれました。
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同い年の4年生たちも、ついに卒業です
巣立ちの春が近づき、最近では4年生の選手が続々と退寮する姿が見受けられます。少し心寂しい時期となりましたね。
東海大の「黄金世代」をはじめ、箱根駅伝・花の2区で驚異的な1時間5分台を叩き出した東洋大・相澤晃選手。國學院大の歴史を変えた土方英和選手、浦野雄平選手。10000m27分台の記録を持つ明治大・阿部弘輝選手。駅伝伝統校の中央大でなんと1年生からキャプテンに就任した舟津彰馬選手。
他にも、東京国際大の伊藤達彦選手、青山学院大の鈴木塁人選手など、振り返ると本当にスター揃いの4年生だったと思います。そんな素敵な世代と自分が同い年というのがとても誇り高いです。
そして、これからの大学スポーツ選手が自分より年下だと思うとなんだか不思議な気持ちです。
丸亀ハーフに別大マラソン、ここでも青学旋風!
駅伝シーズンが一段落し、マラソン大会が各地で開催されています。2月2日には、「香川丸亀国際ハーフマラソン(通称:丸亀ハーフ)」、「別府大分毎日マラソン(通称:別大マラソン)」、「神奈川マラソン」がありました。
丸亀ハーフと別大マラソンはテレビでも生中継。両大会ともに、箱根駅伝を沸かせた学生選手のほか、「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」に出場した日本を代表するランナーたちも出場しました。幅広い選手を知る絶好の機会なので、私も毎年チェックしています。
個人的には大学OBとの夢のコラボが見られるのが密かな楽しみなのです(大学駅伝が好きな人ならきっと分かってくれるはず……!)。
今年の丸亀ハーフでは、なんと2人の選手が日本新記録を更新しました。日本人トップでゴールした小椋裕介選手(青山学院大~ヤクルト)、そして2位の藤本拓選手(国士舘大~トヨタ自動車)です。2人とも大学時代にも活躍されていた選手。小椋選手といえば、青山学院大の最強世代を築いた1人でもあります。
昨年、私のTwitterで「箱根駅伝で注目している選手」を募集したことがありました。その際に北海道出身の有力選手を挙げ、「北海道出身の応援よろしくお願いします」とリプライが届いたのです。送り主を見たら、なんと小椋選手本人でした。
地元をとても愛する小椋選手の活躍は、きっと北海道の方にも届いたのではないでしょうか。これからの活躍にも注目していきたいです。
一方、別大マラソンでも青山学院大の選手が日本人トップに輝きました。箱根駅伝で4区区間新記録を樹立した吉田祐也選手です。なんと今回が初マラソンだったそうです。初マラソンにして日本学生歴代2位のタイムを叩き出しました。青山学院大陸上部監督の原晋さんが大会解説をされていたということで、より刺激になったのではないでしょうか。
吉田選手は大学生活をもって競技を引退する予定です。箱根でも輝かしい成績を残し、「引退はもったいない!」と陸上界からの声も大きいですが、この大会でより一層、その声が大きくなった気がします。私としても何らかの形で競技を続けてくれたらうれしいなぁと思っています。
出場された選手のみなさん、寒い中本当にお疲れ様でした。どうか健康には気をつけてください。
ラストラン観戦の思い出
この時期の大会は、4年生にとって学生ユニフォームを着てのラストランとなります。そのため最後のユニフォーム姿を一目見ようと、現地に駆けつける方も多いのではないでしょうか。私もその1人です。
いまから3年前になりますが、スケジュールが合い、神奈川マラソンを見に行ったことがあります。当時4年生だった青山学院大学の一色恭志選手(ただし、現・GMOアスリーツ)の学生ユニフォーム姿でのラストランを見たいと思い、現地へ足を運びました。
神奈川マラソンからさかのぼること5カ月。原監督と対談をするお仕事を頂き、青山学院大の町田寮を訪ねました。青山学院大の強さの秘訣、駅伝の難しさ、面白さを監督ならではの視線から聞けるのはとても贅沢な時間でした。「今年は確実に三冠できる。間違いない。絶対に」そう強くおっしゃっていた原監督の言葉が、いまでも強く印象に残っています。
実際にその1カ月後の出雲駅伝では、青山学院大が優勝。続く全日本大学駅伝、箱根駅伝も首位を獲得し、学生三大駅伝三冠を果たしています。原監督はやはりすごい人だと、改めて思い知らされました。
その際に原監督が「誰かうちの部員で会いたい選手いる?」とおっしゃいました。私は少し考えて、一色選手にお会いしたいことを伝えました。一色選手は1学年上の小椋裕介選手・神野大地選手(現・セルソース)・久保田和真選手(現・九電工)とともに、「青学四天王」とも呼ばれていました。
すると、原監督が一色選手を連れてきてくださったのです。少しだけお話できたのですが、一色選手のストイックさ、競技にかける強き思いを目の当たりにしました。
その年の4年生ラストレースが続々と開催される中、私はぜひとも一色選手の青学ユニフォームでの最後の走りを見たいと思い、神奈川マラソンへ赴いたのでした。ちなみに、そのときの写真が1枚だけ残っていて、大切にしています。
来月、3月1日には東京マラソンが控えています。こちらにも多くの4年生がエントリーしていますね。4年生が出場する大会も少なくなってきました。チームを引っ張ってきた4年生の大学ユニフォーム姿の見納め観戦をすることは、陸上ファンにとっていつものレースよりも思い入れがまた深くなることと思います。ぜひみなさんも一緒に、学生ラストランを目に焼きつけましょう。