「新・最強世代の無敗伝説」明大アイスホッケー8人の勇姿を見逃すな!
特集「うちの大学、ここに注目 2020」。今シーズン注目のチームや選手を、選手たちをいちばん近くで見ている大学スポーツ新聞のみなさんに書いてもらいました。明大スポーツ新聞部からは、アイスホッケー部復活の鍵を握る3年生8人についてです。
勝つ味を覚えた1年目と悔しさを知った2年目
1925年創部、インカレ32回の最多優勝を誇る明治大アイスホッケー部。昨シーズンは3年連続3冠・インカレ4連覇を目標に掲げたが、手に入れたのは秋の1冠のみ。今シーズンは新たに中村直樹監督が就任し、チームは再スタートを切った。「常勝明治」その復活の鍵を握るのが3年生の8人。彼らの3年目の決意に迫る。
2年前、8人の男たちは鳴り物入りで明大に入学した。青山大基(3年、釧路江南)、三浦大輝(同、駒大苫小牧)、廣田恵吾(同、北海道清水)は、世代トップ3のDF。GKはU-18日本代表の畑中秀斗(同、苫小牧工)。FWには、同じくU-18日本代表から佐久間雄大(同、白樺学園)と、田名部共弘(同、八戸工大一)。そして激しいコンタクトプレーが魅力の下山学路(同、北海道清水)に、関東のエース・吉岡莉央(同、武相)。
同年代トップクラスの実力を備えた選手たちが集結する巡り合わせ。「本当にバケモノしかいない(笑)。個性が強くて面白くて、本当にいいやつらで最高の同期」。周囲だけでなく、彼ら自身も自らの可能性に胸を躍らせた。
「明治期待の新人達」。高鳴る思いをLINEのグループ名に宿して、大学ホッケー界に飛び込んだ。すると、1年目から2年連続3冠を経験。アイスタイムに差はあったものの、主力として申し分のない活躍だった。
年次が上がるとLINEのグループ名を「明治期待の中堅達」に更新。三浦は「俺らでやるべ」と意気込みも十分だった。だが、現実はそううまくいかない。春の関東大学選手権は3位に終わり、サマーカップはベスト8。リーグ戦は制したが、インカレでは法政大に敗れて3位に終わった。「俺らは注目されていたけど、結局、何もできませんでした」と、廣田は涙ながらに話した。
上級生の自覚、開花のとき
「俺らがどれだけ頑張れるかだよね」。3位に終わったインカレ最終日の夜、下山はこう口にしていた。新体制発表からそれほど時間は経っていなかったが、早くも次を見すえていた。さらに追いつき追い越すべき背中への挑戦が始まった。
2019年に卒業したメンバーを見てみると、高橋瞬や松本昂大、府中祐也、相馬秀斗(現・栃木日光アイスバックス)ら天才プレーヤーがそろっていた。2年連続で3冠を達成した世代だ。
「いろんな部分で似ていて、意識していました。でも俺らは俺らの色で」と田名部。当時1年生だった田名部たちは、偉大な4年生に自分たちの姿を重ねていた。最強世代の伝説が始まったのも、いまの彼らと同じく3年生のとき。「あの代を継いで超えるのは俺たちだとずっと思っている」と畑中は言い、「高橋さんの学年以上の結果を、俺たちなら絶対にやり遂げることができます」と佐久間も言う。
揺るぎない自信を胸に決意したのは「2年間負けなしで卒業」。「あの代は2年連続3冠を取っていても、何試合かは負けていました。この学年にそれを超えるポテンシャルはあります。でもいまのままでは無理なので、その意識を持って取り組めば大丈夫です」と三浦は力強く語った。
新型コロナウイルスの影響で、春の関東大学選手権は中止が決定。それでも「サマーカップ・関東大学リーグ戦・インカレで3冠だと思っています」と下山。どんな状況であろうと目指すべき場所、やるべきことは変わらない。だから、これまで通りグループ名を更新した。
今シーズンのLINEのグループ名は「明治期待のベテラン達」。「得点も失点もすべて俺らが絡んでくる」と廣田。3年目、もう先輩たちに甘えてはいられない。青山は言う。「明治は勝って当たり前のチームで、『常勝明治』でなければいけません。粉骨砕身の努力とハードな練習で培う自信を糧に頂点を取り、最後に4年生を胴上げします」。
新・最強世代が目指す無敗伝説。8人の男たちは躍動を誓う。