アイスホッケー

明大3連覇を支えた、2人の「ナンバーワン」GK

完封した香田(中央下)にかけ寄る磯部。高校時代はともに学年ナンバーワンと言われたGKだ

日本学生氷上競技選手権

12月29日@北海道・白鳥王子アイスアリーナ
ファーストディビジョン決勝 明治大 6-0 東洋大
明治大は3年連続32度目の優勝

点差は6。ベンチ、スタンドからのカウントダウンには余裕があった。「3、2、1、ゼロ」。試合終了のブザーが鳴ると、明大のゴールを守ったGK香田凌辰(りょうた、2年、白樺学園)はグローブとスティックを高く放り上げ、駆け寄る仲間たちを出迎えた。その歓喜の輪に一番遅く加わったのが、控えのGKとしてベンチに入っていた磯部裕次郎(3年、武修館)だった。

初めて優勝の瞬間をベンチで迎え

「優勝が決まった瞬間、みんながすごく喜んだじゃないですか。ちょっと離れた場所でそれを見てたかったんです」と磯部。昨シーズンまではレギュラーとして明大をインカレ優勝に導いたが、今シーズンは春の大会で右のひざを、夏合宿明けの試合では左ひざを負傷した。磯部に代わって正GKの座についたのが1学年下の香田。磯部のけがが回復してからも、やはり香田が明大の正GKであることに変わりはなかった。

優勝GKの香田。磯部とは高2の夏の全国選抜決勝で対戦し、勝っている

11月23日の関東リーグ中央大戦。明大の井原朗監督は、この1試合だけ磯部を先発で起用した。明大はこの時点でリーグ2位。その中大戦で勝ち点0に終わると、優勝の可能性が完全になくなるという状況であえて起用した。勝利こそ逃したものの、磯部は同点による勝ち点1をチームにもたらした。明治は2日後の首位早大戦に大勝し、逆転優勝。「これでインカレは磯部、香田の二枚看板でいけます」と井原監督は喜んだが、インカレのスターターも香田のままだった。

「これまでホッケーをやってきて、優勝の瞬間にベンチにいたのは初めて」と磯部は笑った。武修館高では1年生のときからレギュラー。3年生のときにはインターハイ優勝と、日の当たる道を歩んできた。一方の香田もU20代表に名を連ねた実力者だ。磯部は「凌辰がすごく頑張ってきたのを僕は近くで見てましたから、悔しさはないです。いや、正直いうとあるかな。でも、一緒にトレーニングもするし、いい関係ですよ。4月の大会からは、僕がレギュラーになるつもりですけど」と話した。

前回のインカレでは、磯部(中央)がベストGKに輝いた

ベンチ内の選手が次々とチェンジしていくアイスホッケーにおいて、GKだけは異質のポジションだ。ヒーローになる日もあれば、ベンチウオーマーのまま試合の2時間を過ごす日もある。香田のことを磯部は「いままで出会った中で一番、刺激を受けたキーパー」と表現し、香田もまた「試合に出てるときは裕次郎さんの分もやらないといけないと思ってます」と言う。香田凌辰と磯部裕次郎、明治にはGKのよきライバルがいた。インカレ32度目の優勝は、きっとそんなところにも理由があった。

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