アイスホッケー

はい上がった1年、日大主将・江良は泣いた

けが人が出て試合が中断された第3ピリオド。日大は江良(中央奥)を中心に戦術を確認し合った

日本学生氷上競技選手権大会

12月27日@北海道・白鳥王子アイスアリーナ
ファーストディビジョン準々決勝 中央大 3-1 日本大

アイスホッケーのインカレはこれから佳境を迎えるが、前半戦、最も印象に残ったチームを挙げるなら日大で決まりだろう。12月26日の2回戦は慶應大に第2ピリオド19分59秒、つまり試合終了1秒前に1-1に追いつき、サッカーでいうPK戦に当たるゲームウイニングショットで退けた。さらにこの日の準々決勝では、3年前のインカレ覇者・中央大を相手に中盤まで互角に渡り合い、アイスホッケーの盛んな苫小牧市の観客をうならせた。

どん底からの挑戦

日大にとって今シーズンは難しい1年だった。1年前の関東リーグで、実質1部リーグに該当するディビジョンI・グループAからBに陥落。インターハイ優勝校からも選手が集まる日大にとっては、闘志のもっていきどころのない1年になってもおかしくなかった。しかし主将のFW江良明眞(4年、北海)を中心に例年以上に厳しい陸トレを重ね、バラバラになる危険をはらんでいたチームがまとまった。グループBを制し、12月9日の入れ替え戦では昨年敗れた東海大を下してグループA復帰を決めた。

「Bに落ちたことで、意識の高い選手とそうでない選手との差ができるのを避けたかった。それでは1年でAに戻ることは難しいし、インカレ上位という目標も達成できないですから。陸トレも、声を出すのも、下級生が自然と『4年生がやってるんだからおれたちもやろうぜ』と思ってくれるようにやってきました」と江良。この日の中央大戦も、声の量では圧倒的に相手を上回った。

「中央はAでも優勝を狙えるチームです。そういう強い相手に、普通に戦っていたのでは勝ち目がない。ベンチとスタンドが声を出して、氷上に出てる6人と一緒に戦えば、中央相手でも勝てるんじゃないかと思ったんです」。江良はそう振り返った。

ベンチとスタンドの声も背中を押してくれた

2点を先行されて迎えた第2ピリオド14分、反撃のゴールを挙げたのが江良。ゴール前に流れてきたパックを執念で押し込む、小柄ながらガッツが売りの彼らしいシュートだった。「中央のキャプテン佐藤優樹も同じ北海高校の出身で、昨日の慶應戦も見に来てくれてたんです。負けたくない気持ちも強かったですが、優樹が引っ張るチームが僕の学生最後の相手でよかったという気持ちもあります」

試合後の円陣。最後のメッセージを仲間に伝えながら、江良は涙で言葉にならなかった。「ついてきてくれてありがとう。そう言おうと思ったんですけど、泣いちゃってダメでしたね」。それでも後輩たちには確実に伝わったはずだ。涙を流すほどこのチームを愛し、一つになって戦うことの貴さを体で示そうとしたキャプテンの思いは。

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