自粛期間もプラスに変える 立命館剣道部副将・對馬明里の覚悟
新型コロナウイルスの影響で公式戦が中止や延期となる中、大学ラストシーズンを迎える對馬明里(つしま・あかり、4年、草津東)は前を向いていた。室内競技である剣道は感染リスクの上昇が否めない。また、競技が全て3密に関わっているため、最初に自粛せざるを得なかったスポーツだった。
しかし、そんな未曾有の事態においても「自分の体づくりを見直すきっかけになりました」と筋トレや長距離ランニング、素振りなど最低限できることを積み重ねてきた對馬。学業の面においても優秀だ。2回生時には成績優秀者に与えられる西園寺記念奨学金を取得。自粛期間中は英会話や検定試験の勉強に時間を充てることができたと語る。
誰よりも行動を
今年最終学年を迎え、副主将を務めることとなった對馬は、稽古中どのような意識を持って取り組んでいるのか。對馬は「一つは誰よりも行動することです」と応えた。その言葉の裏には、背中で引っ張る姿勢という覚悟が示されている。
「口で言って動かすのではなく、自分が率先して動き、その背中を見て部員が真似して行動してもらうのがやりやすいと思うんです」。また、「一番しんどいことをするようにしています」と對馬。
「各部員それぞれしんどいことは多々あります。だから自分からしんどい所へ飛び込んでいく。その姿を見せれば、つらくて耐えられないって子でも『自分もやらなきゃ』って思ってもらえる。そういった人たちの救いになれるように心がけています」。言うは易く行うは難し。それを実践できている姿が對馬の副将としての才気である。
ラストの代でできなかったことを強みに
今年はインターハイや甲子園など、学生にとって集大成となる大会が中止となった。「中学、高校はみな同じベクトルを持ってひたすら走り続けていたと思います。そこで経験した人間関係も今後の財産になっていくかもしれませんが、目に見える形で披露する場がないというのはとても残念です」。
大学スポーツにおいても各競技公式戦の中止や延期が相次いでいる。そこで、アスリートにとって不安視されるのはモチベーションの維持だ。それでも對馬は「試合日程が決まってから動き出すのは遅いので、あることを想定して日々できる限りのことを続けてきました」と気丈に語った。
現在剣道部は週6日でオンラインを活用し、トレーニングを中心に行っている。活動が再開された場合も40から50人の部員全員で行う稽古を男女完全別に。女子の練習の中でもキャンパス別で稽古を行い、公共交通機関を使う選手は練習場所には来させず、オンラインで稽古。時間帯も2組に分け、室内練習と外練習という形で前後半分けて行う形をとる。今後も、制限された環境下での活動が見込まれている。
昨年、第49回関西女子学生剣道選手権大会で優勝に輝いた對馬。立命館としては45年ぶりの快挙だった。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症の影響により中止が発表された。
目標として掲げていた2年連続の関西優勝は叶わなかったが、「この苦い思い出や悔しい気持ちに対する気持ちの切り替え方、転換の仕方を次の代にしっかり伝えたいです。後輩でも遠慮せずに『これはできるんじゃないか』『もっとこうした方がいいんじゃないか』と少しでも思ったことを発信して、どんどん大きく成長してもらいたい」と、副将として後輩たちにエールを送った。