野球

「圧倒」をスローガンに2季連続優勝を狙う! 中央大野球部の注目選手たち

キャプテンで主砲の牧。秋季リーグの個人目標はベストナインと打点王

東都大学野球秋季リーグ戦は9月22日に開幕が決まった。中央大は昨年の秋季リーグで見事に優勝を果たし、勢いそのままに今年のリーグも優勝しようとトレーニングに取り組んできた。その中で、選手たちが掲げたスローガンは「圧倒」。文字通りに中大の実力を見せつけて勝利したいというのが中大ナインの思いである。

期待をのぞかせる今年の中大の実力

「圧倒」について清水達也監督は「ちょっと簡単すぎるんじゃないかな。大丈夫かなって」と一歩引きながらも「それだけ自分たちのやっていることに結果がついてきて、自信が出て、さらにやってやろうという気持ちがあるのは頼もしいし、本当に圧倒できるようにやっていきたいですね」と選手とともに戦う姿勢も見せた。

長く大学野球を経験してきた清水監督が、勝つことの難しさを痛感しながらも期待をのぞかせるのは今年の中大の実力が故であろう。昨年の優勝を肌で経験したメンバーが名を連ねる中大の強力打線には目を見張るものがある。

読売ジャイアンツ2軍とのプロアマ交流戦は大量得点で勝利、その後のオープン戦でも打線のつながりを見せる試合がいくつもあった。打線の核は9月10日にプロ志望届を提出した五十幡亮汰(いそばた、4年、佐野日大)と牧秀悟(4年、松本第一)だ。

中大を象徴する自慢の強力打線

五十幡が国内トップレベルの脚力でチャンスメーク、牧が持ち前の打力で走者を一掃するのが中大の黄金パターンだ。加えて昨年春にベストナインを獲得している森下翔太(2年、東海大相模)や走攻守がそろった好打者の坂巻尚哉(4年、千葉経済大)の2人はオープン戦から好調を維持し、つなぐバッティングでチャンスを広げる役割を果たす。

確実な成長を遂げる森下(右)は監督も「安定してきた」と評価する打線の中心選手(左・倉石)

牧の後ろに控える倉石匠巳(4年、東海大市原望洋)や内山京祐(4年、習志野)の勝負強さにも期待がかかる。ここまで名前をあげた野手陣のほとんどはオープン戦でスタンドへ運ぶほどのパワーを見せつけている。

また、ルーキーの石井巧(1年、作新学院)や中前祐也(1年、浦和学院)はアピールを続け、中川拓紀(3年、宇治山田商)や石田瑛平(3年、習志野)といった安定感あるレギュラー内野手とのレベルの高いレギュラー争いを演じる。

連覇達成に欠かせない投手陣

しかし、清水監督はその野手陣の打力を認めつつも守備力、投手力のほうを第一に考える。連覇達成に欠かせない、投手陣の要はエースの畠中優大(4年、樟南)。昨年は悔しいシーズンを経験するも、自身の体のケアに対する意識が変わった。コロナ禍の自主調整期間も量と質ともに十分なトレーニングをこなし、本来のピッチングを取り戻しつつある。

苦難を乗り越えたエース畠中。チームの優勝には欠かせないキーパーソン

3年生の皆川喬涼(3年、前橋育英)、植田健人(3年、興国)はともに先発有力候補。持ち味の速球に制球力を加えた昨秋の皆川は、先発としても救援としても重要な役割を果たした。一方の植田は直球の球速、威力がともに成長し、相手打者を差し込ませるような投球が増えた。両投手はオープン戦でも好投を見せ、秋季リーグ戦に向けて状態を上げている。

投手陣は上級生の実績も魅力だが、実力のある新入生が加入したことも好材料だ。石田裕太郎(1年、静清)や岩本大地(1年、石岡第一)は大学野球にも慣れ始め、確実な手応えを感じており、堂々たるリーグ戦デビューが期待できる。加えて大栄陽斗(1年、仙台育英)、西舘勇陽(1年、花巻東)もすでに監督の計算の内に入っている。1年生の活躍は上級生にとってもこれ以上にない刺激となっている。

性格もプレースタイルも真逆の2人

牧と五十幡、プロ野球界入り待ったなしの2人はチームの精神的支柱でもある。キャプテンの牧は姿勢で引っ張り背中で語るタイプ、一方で副キャプテンの五十幡は言葉で伝えるタイプ。性格もプレースタイルも真逆の2人はお互いを支え合いながら、チームをまとめ上げる。

ビデオでの研究も行い盗塁技術も磨いてきた五十幡。リーグ戦の目標は2桁盗塁

「自分たちの代は全員が仲がよくて、練習中でもお互いに刺激し合ったり、声掛けしたりできる」と牧の言葉通り、今年のチームはどの選手からも仲の良さ、団結力という言葉が聞かれる。「とにかく仲がよいので、他の大学に負けないくらいの団結力があると思います。反対意見も出し合えますし、刺激し合えています。もちろんみんな技術も高くて、いい仲間だと思います」と五十幡。単なる馴れ合いではない。それが今年の中大の強さである。

選手たちが「圧倒」を掲げるのは、自信、覚悟に加えて日本一への思いからでもある。「チーム的には2季連続で優勝できるのは自分たちしかいないので優勝したいですし、去年は全国にいって初戦で負けてしまったので、リーグ優勝して日本一を目指せるようなチームにしていきたいです」。これがラストイヤーにかける牧の思いであり、中大の思いだ。「昨年以上のチーム力」(牧)を持った中大は戦国東都を制し、大学日本一を全員で取りにいく。

「明るく元気よくは基本」

「圧倒っていう形で力を見せるためには、ちゃんとした土台がないといけない。それがないとすぐ綻びちゃうわけだから、どうしてもジャイアンツ戦で20点取ったとか、派手なところに目がいきがちだけれど、そこに持っていくための基本を忘れてはいけない」と清水監督は語る。

「ピッチャーを含めて守備とか、バントとか、それができた中での打撃、得点だと思う。あまり派手なところには意識がいかないようにしていきたい。かといって縮こまりはしないように明るく元気よくは基本で。(秋季リーグは)勝てますよ。でもやっぱり打つだけじゃだめで、ピッチャーを中心に得点して、チーム全体でいい方向にいけるようにやっていきたいですね」

他のチームを「圧倒」して、優勝へ。熱き戦いは22日から始まる。

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