中央大野球部、復活果たしたシーズン終了 4年生の想い受け継ぎ新チームへ
第50回記念 明治神宮野球大会 2回戦
11月18日@明治神宮野球場
東海大7-3 中央大
東都大学野球秋季リーグで完全優勝を成し遂げ、45年ぶり3度目の神宮大会出場を決めた中央大。トーナメント初戦の相手は、強豪校の集う首都リーグで全勝優勝を果たした東海大だった。東海大はリーグで13あるタイトルのうち11を獲得するなど、猛者ぞろいのチーム。1回戦では東北福祉大との接戦を9-8で制して2回戦に駒を進め、40年ぶりの日本一を目指す中大の前に立ちはだかった。
東都リーグ覇者が序盤にリードを広げる
運命の一戦、中大は守備から。先発を担ったのは今季大躍進の皆川喬涼(2年、前橋育英)だ。古賀悠斗(2年、福岡大大濠)捕手の盗塁阻止もあり、大事な初回を3人で抑える上々の立ち上がり。2回にはセンターの五十幡亮汰(3年、佐野日大)が強風にあおられ右中間を破られるかと思われた打球をキャッチするファインプレー。「いつも通り一歩目を速くということを意識した」という東都の韋駄天の快足に球場からどよめきが起こった。味方の好守もあり、リーグ戦から結果を残してきた皆川が守備からチームに流れを引き寄せる。
中大の攻撃は2回、一死の場面から小野寺祐哉(4年、白鷗大足利)が左中間二塁打でチャンスメイク。続く大工原壱成(4年、桐光学園)が左前打で出塁しチャンスを広げると、古賀がセカンドゴロで小野寺を返し1点を先制した。
4年生の連打に沸く中大の勢いはまだ止まらない。続く3回、先頭の中川拓紀(2年、宇治山田商業)が四球で出塁すると、五十幡がセンターへ二塁打。一死二、三塁とすると、打席には4番打者、牧秀悟(3年、松本第一)の姿が。「夏のJAPANでバッティングの視野が広がった」と進化を続け、秋季リーグでMVPを獲得した東都の打撃王だ。頼れる主砲が振り抜いた打球はセンターの頭上を悠々と越える二塁打。2点を追加し、リードを広げた。
日本一の夢は後輩たちに託して……
しかし直後の4回、好投を見せていた皆川が二巡目に入った東海打線につかまり2失点。代わって5回のマウンドに立ったのは今季『投の中大』を確立した後藤茂基(2年、城西大城西)。持ち前の安定感ある投球で二つの三振を奪うも「インコースを狙う球が甘く入ってしまった」とそこから4者連続安打を浴びる。強風による味方の失策も重なりこの回4失点。今度は3点を追う苦しい展開となった。
「最後まで投げ切ろうと切り替えた」と6回から完璧に立ち直った後藤に応えたい打撃陣だが、3回途中から登板した東海大のサウスポー、松山仁彦に苦戦。先頭打者が出ても後が続かず、得点にこぎつけられない。さらに9回表、リリーフの水谷康希(3年、浜田)が先頭打者を四球で出すと、左前打の処理のエラーでだめ押しの1点を追加される。一筋の望みをかけて臨んだ9回裏も三者凡退に倒れ、日本一を目指した戦いは悔しい2回戦敗退に終わった。
4年生はこの試合で引退となる。「4年生はみんな試合に出たいという中で、いろいろ話し合って応援してくれた」と清水監督が話す通り、中大のスタンドにはいつも大きな声で応援する4年生の姿があった。牧も「4年生の応援が大きかった。応援の力を感じた」と実感している。大工原主将を中心に、4年生がいたからこそたどりついた全国の舞台だった。
日本一の夢は後輩たちに託された。後藤が「長い1年だった」、牧が「自分にとって大きな1年でした」と口にするように、大舞台を経験し充実した日々を送った2019年。4年生の思いを継ぎ、来年もまた全国の舞台に立ちたい。五十幡は「今回の経験を生かして、ここに帰ってこれるようなチーム作りを」と決意を語った。新生中大野球部は、春に向けてもう動き始めている。