野球

中大の新たなエースになれるか? 植田健人が味わった試練

中大の植田は勝負の春を過ごしている

東都大学野球第3週の中央大-立正大1回戦は5月2日にあり、中大はリーグ戦初先発の植田健人(たけと、2年、興国)が5回3分の1を投げ、被安打3、2失点。先発での初白星をつかんだ。しかし翌3日の2回戦では、救援で登板した植田が6回に満塁ホームランを浴び、1勝1敗に。3回戦は5月14~17日の予備週に入った。

この春、着実にステップアップ

2004年の秋以来リーグ優勝から遠ざかっている中大。昨年は春秋ともに最下位に沈み、2部優勝校との入れ替え戦に勝って1部残留を決めた。

今春も開幕カードの東洋大戦では連敗で勝ち点を落としていた。第2週の対駒澤大1回戦では7-6と競り勝ったが、2回戦は終盤にスクイズで決勝点を奪われ、1勝1敗に。エースと期待された左の畠中優大(3年、樟南)と、右の皆川喬涼(2年、前橋育英)の調子がなかなか上がらない。3回戦でチームの流れを変える好投を見せたのが植田だった。

直球は140kmそこそこだが、2種類のカットボールがさえる

対駒大3回戦の4回、先発した皆川の制球が乱れ、5-1の4点リード、1死満塁のピンチでマウンドに上がった植田は、7番山ノ井豪成(3年、青藍泰斗)を三振、8番鈴木大智(4年、関東第一)をレフトフライにしとめた。そのまま9回まで投げ切って被安打3、2失点の内容でリーグ戦初勝利を挙げた。チームはこの春初の勝ち点を奪えた。

140km前後の速球と2種類のカットボール、カーブ、チェンジアップをテンポよく投げ込む。インコースを強気に攻めるのも植田の持ち味だ。

「(捕手の)古賀(悠斗=2年、福岡大大濠)もインコースが好きで、強気のリードをしてくれます。自分もインコースは好きなので、楽しんで投げられました」

その翌日、清水達也監督から第3週、対立正大1回戦での先発を告げられる。「植田が今シーズン、一番安定してましたし、調子もよさそうだったので、次週の先発を決めました」と、清水監督は話した。

清水監督(左)からの信頼も高まってきている

第3週1回戦は天候不順により2日延び、「そこはちょっと調整が難しかった」と植田は言うが、立ち上がりは立正大打線につけいる隙を与えず、4回までパーフェクトピッチング。5回1死となったところで甘く入ったカットボールを荒原祐貴(4年、常総学院)にライト前に運ばれ、パーフェクトは途切れたが、しっかり後続を断った。6回、味方のエラーと2本のヒットなどで2点を失ったところで降板したが、5回3分の1を投げ、被安打3、2失点、四死球0の内容。先発での初白星を手にした。

「いつも通りストライクゾーンでどんどん勝負していけたのがよかったと思います」。自分を取り囲んだ報道陣の前で笑った。

先発初勝利翌日の悲劇

翌日の2回戦は打撃戦となった。中大は8-7と1点リードの6回、走者一、三塁の場面で植田がマウンドに上がった。立正大の6番佐々木勝哉(4年、日大三)に変化球をライト前に運ばれ、同点に追いつかれる。続く7番木村慧士(3年、日大三)にぶつけて満塁に。開幕から5連敗中の立正大だが、必死で食らいついてきた。

打席には8番立松由宇(3年、藤代)。カウント1-1から投じた133kmのストレートが甘く入り、立松のバットにとらえられた。打球はライトスタンドへ飛び込む、勝ち越しの満塁ホームラン。劇的な一発に立正大ベンチは沸き立つ。

8回に中央大も2点を返し、10-12としたが反撃もここまで。前日に先発投手としての初白星を手にした植田が、今度は一球の怖さを味わうことになった。

「打たれてはいけない場面でした……。昨日の試合も、6回に打たれたのは低めに投げ切れなかったから。大事なところでボール1個分浮いてしまった。自分の甘さが出た2試合でした」

中大はここまで勝ち点1。次週は勝ち点2の亜細亜大との対戦となる。東洋大が勝ち点3で首位に立っているが、中央大が亜細亜大から勝ち点を奪い、予備週に行われる立正大との3回戦に勝てば、東洋大の戦いぶりによっては優勝の可能性も見えてくる。逆に亜細亜大に連敗で勝ち点を奪われ、立正大との3回戦も落とすようならば、3シーズン連続の入替戦の可能性もゼロではない。

中大の新たなエースの座をつかめるか

昨年の春と秋の入替戦、1年生だった植田はベンチ入りできず、スタンドの応援組だった。中大はいずれも2部転落の危機を乗り切った。

「去年の入替戦をスタンドから見てて、学べることも多かったです。一球の怖さというのは、入替戦でも見てきました。亜細亜も粘り強い野球をやってくるので、隙を見せることなく、しっかり投げます。立正大とも、もう1試合戦える。打線もこんなに点を取ってくれてますので、ここからのカードを取っていきたいと思います」。植田は自分が満塁ホームランを打たれた敗戦のあと、前を向いて語った。

雪辱するチャンスは、まだまだ残されている。この2日間でつかんだ手応えと課題を糧に、もう一段上のレベルのピッチングを見せつけ、新エースの座を確固たるものにしたい。

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