大学野球

15年ぶりの優勝に突き進む中央大、引っ張るのは大学ジャパンの4番牧秀悟

本塁に生還し、チームメイトとハイタッチする牧(すべて撮影・佐伯航平)

東都大学野球秋季1部リーグ戦 第5週

10月8~10日@明治神宮球場
1回戦 中央大9-7國學院大
2回戦 中央大0-3國學院大
3回戦 中央大1-0國學院大

東都大学野球秋季リーグ戦第5週、中央大ー國學院大のカードは、中大が2勝1敗で勝ち点をとった。中央大は1回戦を9-7でものにして開幕5連勝。2回戦こそ完封負けしたが、3回戦は1-0と接戦を制し、通算6勝1敗、勝ち点3で単独首位を守った。春のリーグ戦で首位打者、ベストナインを獲得した4番牧秀悟(3年、松本一)は秋もバッティングが好調で、1回戦では4回に先制スリーランを放った。

ドラフト候補からのスリーラン

「4番を任されているので、思い切っていこうという気持ちで打ちました。捕られるかなと思ったんですけど、風のおかげで入ってくれました。もし凡打でも、後ろのバッターが打ってくれるという安心感があるので、思い切っていけてます。こういう接戦に勝てたというのは大きいと思います」

1回戦の先制スリーランは國學院大のドラフト候補・横山楓(4年、宮崎学園)から打ったものだった。牧は試合後、満足げにこう語った。

過去24度のリーグ優勝、4度の大学日本一(大学選手権3度、明治神宮大会1度)を誇る名門の中大だが、2004年秋以来、優勝から遠ざかっている。昨年は春秋連続で最下位の6位に終わり、入れ替え戦に勝って1部残留を決めた。その中大がこの秋、快進撃を続けている。

4回表、牧は先制の3ランを放つ

打線を引っ張っているのが4番の牧だ。ここまでの3カード7試合で24打数9安打、打率3割7分5厘(リーグ6位)、9打点(同1位)、1本塁打の好成績を残している。春は開幕から4番を打ち、打率4割で首位打者を獲得、ベストナインも初受賞した。広角に強い打球を打てるのが牧の魅力だ。セカンドの守備も堅く、秋はここまで無失策を続けている。

夏には侍ジャパン大学代表に初めて選出された。日米大学野球では全5試合にスタメン出場を果たし、16打数4安打5打点で1本塁打。第3戦から3試合は4番に座り、優勝に貢献した。代表での経験について、牧はこう話す。
「ジャパンでの経験は大きかったです。ジャパンの4番を打ったというプレッシャーもありますけど、それは試合では気にしないようにしてます」

ベンチからチームメイトを鼓舞する牧。ジャパンの経験が彼を成長させている

ほかの大学の選手から野球の話を聞けたことも勉強になった。この春、東京六大学でリーグ戦通算100安打を達成した慶應義塾大の柳町達(4年、慶應義塾)から聞いた話が、とくに印象に残っているという。「柳町さんに『打席で何を待っているのか』『追い込まれたらどうするのか』、そういう話を聞けたのが一番参考になりました」

清水達也監督も「牧はジャパンに行っていい経験をしてきました。ジャパンの一員になったことにおごらずやってくれているので、チームにいい影響を与えてます。すごく(中心選手としての)自覚も出てきたと思います」と、牧の成長を認めている。

松本一高時代は投打で注目を浴びた

長野県中野市出身。中学時代にプレーしていた若穂リトルシニアのころから名の知られた存在だったが、甲子園出場ゼロの松本第一高校へ進学した。松本一は2009年、12年に夏の長野大会で決勝進出を果たし、甲子園の一歩手前で敗れている。「シニアの監督から勧められたということもあったんですけど、松本一が強くなってると聞いて、自分たちの代で甲子園に行けたらいいなと思って決めました。百瀬さんがいるというのは、入学して知りました」

「百瀬さん」とは、2学年上のショート百瀬大騎(ももせ・ひろき)のことだ。14年秋のドラフト6位で指名され、横浜DeNAベイスターズへ入団。5年目の今シーズン、1軍初出場を果たした。ドラフト指名を受ける先輩の姿に、牧自身もプロへ進みたいという思いを強くした。

強い先輩の存在は牧に刺激を与えた

牧は強打のショートとして、またピッチャーとしても最速140kmで注目を浴び、専門誌にドラフト候補として取り上げられたこともあった。しかし、松本一は牧のいた3年間も甲子園に届かなかった。1年生の夏は長野大会準々決勝で敗退。1年生の秋、2年生の秋ともに、北信越大会には進めなかった。2年生の夏、3年生の夏は長野大会で初戦敗退。「夏の結果も含めて考えた中で、自分の成績もよくなかったですし、このままプロに行っても通用しないんじゃないかと考えて、進学することに決めました」。4年後のプロ入りを目標に中大へ。大学では1年生の春に開幕スタメン出場を果たしている。

甘い1球を確実に仕留める!

この秋は相手の警戒も厳しくなり、ストライクゾーンにはなかなか投げてもらえない。國學院大戦では3試合13打席で5四球(申告敬遠1を含む)と、勝負を避けられることも増えた。2回戦では無安打に終わり「(相手は)低目低目に投げてきて、甘い球は1球っていう感じでした。明日はその1球を打つようにしていきたいです」と試合後に話した。

3回戦は2回の第1打席でレフト前ヒットを放ったが、第2、第3打席は四球、第4打席はセカンドフライに終わった。「ボール球で、打っちゃいけない球でした。もったいなかったです……」と悔しがった。こうなると、数少ない甘い球を確実にしとめなければならない。

甘い球を確実に仕留め、優勝へと突き進めるか

秋のリーグ戦も残り2カード。次週に立正大、最終週に東洋大と対戦する。立正大の投手陣は糸川亮太(川之江)、渡部勝太(上尾)、倉田希(常総学院)らの3年生が中心だ。東洋大戦では、春のMVPに輝いた村上頌樹(3年、智辯学園)から点を取らなければ、勝てない。

同学年のピッチャーたちを打ち崩し、優勝を勝ち取ることができるか?
戦国東都の終盤戦、牧の打席から目が離せない。

in Additionあわせて読みたい