ラグビー

特集:第57回全国大学ラグビー選手権

初制覇の天理大学か早稲田大学の連覇か、11日の大学選手権決勝は有観客で開催へ

天理大学のSO松永拓朗(左)と早稲田大学のNo.8丸尾崇真(撮影・全て朝日新聞社)

第57回全国大学選手権

▽決勝(1月11日13時15分、東京・国立競技場)
天理大(関西1位)-早稲田大(関東対抗戦2位)
▽準決勝(1月2日@東京・秩父宮ラグビー場)
早大 33-27(前半21-13) 帝京大(関東対抗戦4位)
天理大 41-15(前半19-5) 明治大(関東対抗戦1位)

チケット1万7000枚販売済み

初優勝を狙う天理大学と2季連続17度目の優勝を目指す早稲田大学の対戦となった第57回全国大学ラグビー選手権決勝(1月11日)は予定通り観客を入れて実施されることになった。緊急事態宣言を受けて日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事が8日、オンライン会見を開き、政府などが示した制限を守り開催する方針を示した。新しくなった国立競技場で前回に続く2回目の決勝は、販売済みの約1万7000枚のチケット保持者の入場が認められ、スタッフ増員や関係者ごとに使用エリアを厳格化するなどして感染対策を強化して臨む。入場券の払い戻しも受け付けるという。

1月2日の準決勝は早大と天理大が敗戦を糧にして勝ち上がった。第1試合では早大のモールが威力を発揮した。前半6分と24分のトライはともに帝京大ゴール前のラインアウトをしっかり確保、モールを組んでインゴールまで押し込んだ。

モールの結束みせた早大

今季、唯一の黒星を喫した関東対抗戦の明大戦ではラインアウトが乱れた。ロックの下川甲嗣(4年、修猷館)は「早明戦で、自分たちのラインアウトが相手のプレッシャーによって崩された。どこに立ち返るのかと思った時、自分たちの精度、スキルにしっかりフォーカスした。相手のプレッシャーもあるが、しっかり自分たちのやってきたスキル、ルーティンをやり切ることを早明戦後からやっている」。フッカーの宮武海人(3年、早大学院)が正確なボールを投入。モールでは一つの塊を意識しながら、押す方向などコミュニケーションをとることを意識しているという。スクラムはペナルティートライになるなど劣勢の場面もあったが、モールは守りでも盤石だった。

前半、早大はモールを押し込み宮武がトライを決める

スクラムからのNo.8丸尾崇真主将のサイド攻撃は相変わらずスピードと切れ味があった。「何人が僕をマークしようと、いく時はいくと決めていたので、そこは強い覚悟を持っていた」と自ら先頭に立ってチームを引っ張った。

前半、トライを決める早大のFB河瀬

後半はバックスの決定力が光った。2トライを挙げたFB河瀬諒介(3年、東海大仰星)は「早稲田のバックスリーとして、ボールを持ったら常にトライという意識で、プレー中のコミュニケーションやスペースを共有するようにしている」と話した。

天理大は明大に雪辱の快勝

2試合目は天理大が6トライを奪い明大に快勝した。2大会前の決勝で17-22と惜敗した相手に雪辱した。その時もSOで先発していた松永拓朗(4年、大産大附)は「2年前は自分が未熟だった。ゲームの流れとかあまり考えていなかった。今日は、ラインアウトがうまくいってないのを見て、テンポ良くアタックしようと試合中に修正できたのがすごくよかったのではないか」と話した。前半29分のフッカー佐藤康(3年、天理)と同36分のロックのアシペリ・モエラ(3年、日本航空石川)のトライは相手陣でPKから速攻を仕掛けて取り切った。

前半、天理大のモアラ(中央右)はトライを決め喜ぶ

モアラとCTBシオサイア・フィフィタ(4年、日本航空石川)が目立つが、プロップ谷口祐一郎(4年、東海大仰星)やフランカーの松岡大和主将(4年、甲南)らが惜しみない運動量で下支えしている。松岡主将は「毎回のテーマですが、しっかり自分から身体を当て、プレッシャーをもらうのでなく自分たちから与えようと、一人ひとりが意識できていた」と予想以上の快勝を振り返った。

突進する天理大のプロップ谷口

早大には前回の準決勝で14-52と完敗した。司令塔の松岡は「早稲田は、ぼくたちの試合をみて、すごく分析してくると思う。早稲田の強みであるバックスの展開力をみせてくると思うので、僕たちはそこでディフェンスでまた我慢して、アタックで自分たちの強みを出すラグビーを徹底してやりたい」。関東の伝統校を連破しての頂点を見据えた。

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