陸上・駅伝

駒澤大・鈴木芽吹 主力の自覚を持ち、ユニバ代表内定で守った駒澤の「伝統」

序盤から先頭で積極的にレースを進める鈴木(すべて撮影・藤井みさ)

第24回日本学生ハーフマラソン選手権大会 

3月14日@陸上自衛隊立川駐屯地内周回コース
1位 鎌田航生(法政大3年)1時間3分00秒
2位 鈴木芽吹(駒澤大1年)1時間3分07秒
3位 島﨑慎愛(國學院大3年)1時間3分08秒

3月14日に開催された日本学生ハーフマラソンで駒澤大学の鈴木芽吹(1年、佐久長聖)が2位に入り、8月に中国・成都で開催予定のワールドユニバーシティゲームズ(旧ユニバーシアード)の代表権を獲得した。

強い気持ちを持って冷静に走れた

前日とは打って変わって晴天に恵まれたレース当日。朝は無風だったが、レース開始の9時半が近づくにつれて風が強くなり、時折立っているのも辛いほどの強風が吹き付けるコンディションに。立川駐屯地内を8周する周回コースでは、ホームストレートが向かい風、バックストレートは追い風と約1kmごとに交互に条件が変わる状態となった。

2年に1回開催される「学生のオリンピック」、ワールドユニバーシティゲームズの選考も兼ねたこの大会。駒澤大学からは近年、毎回ハーフマラソン代表が選ばれてきた。2年前には中村大聖(現ヤクルト)、4年前には片西景(現JR東日本)と工藤有生(現コニカミノルタ)が出場し、結果を残している。鈴木もレースを迎えるにあたり、大八木弘明監督から「必ず3番以内に入って出場権を獲得しよう」と言われてきた。自身もそのつもりで臨んだが、強い選手ばかりが集まっている状況に不安もあったという。「でも強い気持ちを持って、冷静に走れました」

鈴木は序盤から積極的に先頭付近でレースを進めた。強い風は気になりはしたが、追い風よりも向かい風の時に自分が周りの選手よりも動きがいいと感じていた。高校時代から向かい風では他の選手より走れているという感覚もあった。途中、東海大学の石原翔太郎(1年、倉敷)が先頭で引っ張った。

石原(左)が先頭に立つと、鈴木はしっかりマークして走った

「石原くんは本当に強い選手なので、絶対先頭に来ると思っていました。そこをマークしてしっかり後ろについていけば、上位で行けると思いました」。自分が他の選手より得意である、向かい風になるラストの直線で勝負しようと決めていた。

コーナーを曲がり直線に入った時は5番手。「ちょっと無理かなと一瞬思ったんですが、思ったよりゴール地点まで距離が長かったのと、集団がバラけてみんな向かい風で足が止まっているのを見て、もしかしたらチャンスがあるかもと思って。最後まで諦めない気持ちでスパートして抜くことができました」

強風の中ラストスパートで前の選手を抜き去り、2位でゴール

ハーフでのユニバ出場は駒澤の伝統。その伝統を止めるわけにはいかないという気持ちの部分が大きかった、と振り返る。「まずホッとしています。あとここで2番になったとしても、世界で戦えないと意味がないので。世界の大会では1番になれるように、しっかりとやっていければいいと思います」。大八木監督からも、レース後「やっぱり伝統の力は強いな」と声をかけられた。

駅伝でしっかり活躍して、チームを助けたい

この試合をもって鈴木のルーキーイヤーは終わった。改めてシーズンを振り返ってみると、トラックシーズンでは日本インカレ5000m3位などの活躍。秋冬の駅伝シーズンでは、全日本大学駅伝では3区5位、箱根駅伝では5区4位と区間上位ではあるが、自身としては「ロードではあまり納得いく走りができなかった」と口にする。

「そこを払拭したいという気持ちで今日走りました。2番になれたので、今年度をいい形で締めくくれたと思います。来年度もトラックのスピードを保ちつつ、駅伝でも勝負していきたいです。駅伝は田澤さんなど、先輩方が活躍してくださって勝てたので、次は自分が助ける側になって、出雲をしっかり取って全日本、箱根でも連覇できるように頑張りたいです」

駅伝でもっと活躍し、チームを助ける存在になりたい。鈴木の2年目も楽しみだ

この日、キャプテンの田澤廉(2年、青森山田)はエントリーしていたが、2月に故障したこともあり出場を回避。5月の日本選手権10000mに照準を合わせている。田澤は12月の日本選手権で27分46秒09のタイムをマークし、ワールドユニバーシティゲームズの派遣標準記録(28分30秒)を突破しているため、4月10日の選考会に出場し8位以内に入れば代表に内定する可能性が高い。鈴木は田澤から「俺1人じゃ嫌だから一緒に行こうぜ」と言われたという。

以前のインタビューで、田澤の背中を見て学んでいると話していた鈴木。これからはチームの主力として、田澤と肩を並べる実力を身につけチームを引っ張っていく。大八木監督は「今年のチームもなかなか面白いですよ」と笑顔で話した。ディフェンディングチャンピオンとなった駒澤が、どんな戦いをしていくのか楽しみだ。

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