ラグビー

明治大学の神鳥裕之新監督が就任会見「準備の先に優勝への道」

明治大学の神鳥裕之新監督(中央)と田中澄憲前監督(右)、大六野耕作学長(撮影・全て朝日新聞社)

明治大学は6月4日、ラグビー部の神鳥裕之(かみとり・ひろゆき)新監督(46)の就任会見を開いた。リコーブラックラムズの監督から転身したOBの神鳥新監督は「大きなチャンスを頂けたことに感謝するとともに、田中監督の下で素晴らしいチームを作り上げてきた明治大学を引き継ぐ重責をひしひしと感じながら、自分なりにチャレンジしていきたい。勝負は最も重要だが、大学スポーツでそこに向かうプロセス、努力、人間性のところをしっかりと磨き上げながら結果としてチームを優勝に導きたい」などと抱負を語った。

明大の田中澄憲監督が勇退 22年ぶりの大学日本一など「あっという間」の4年間

神鳥新監督は大阪工大高(現・常翔学園)から明大に進みFW第三列で活躍。3、4年生の時には全国大学選手権の連覇に貢献した。1997年にリコーに入り、現役引退後、リクルート担当などを経て、2013年から8シーズン監督を務めた。リコーは今季、最後のトップリーグで準々決勝へ進む健闘をみせたが、チーム内で新型コロナウイルスの感染が広がり無念の中止となった。

後輩の田中澄憲前監督が強く推す

22年ぶりの大学日本一に導くなどチームを立て直した田中澄憲前監督が、明大で1学年先輩の神鳥氏を次期監督に強く推したという。学生時代は寮で同じ部屋だったこともあるそうで、田中前監督は「トップリーグの監督で経験値が高い。価値観や何を大事にしているかがすごく一致した。スポーツ選手である前に一人の人間としてどうするかなども大事にしている。(明大が)次のフェーズに進んでいくには神鳥さんが一番適任者と思った」と話した。

1996年度の全国大学選手権決勝、神鳥監督が4年生で出場し早大に快勝。北島監督が亡くなり黒襟ジャージーだった

神鳥新監督が大学4年生の時に、67年間監督を務めていた北島忠治さんが亡くなっている。伝統校の指揮を執る不安もあったそうだが、神鳥新監督は「こういったオファー、チャンスは誰もが頂けるものではない。北島先生がやられていたポジションでもあるし、断って、のちのちやっておけばよかったなーという人生にはしたくない。理屈ではない」と決断の理由を語った。

会見で時折笑顔もみせた神鳥新監督

トップリーグの経験が大学生の指導に何か役立つかを問われ、「ハイパフォーマンスを出すための準備、取り組む姿勢のメッセージは伝えられる。グラウンドでパフォーマンスを出すためにはそれ以外の準備が非常に重要。トップリーグでやっていた感覚は伝えられる」と答えた。3季ぶりの王座奪還を目指すことになるが、「やるからには当然、そこを目指す。チームとして期待にこたえられたり、応援してもらったり、見ていて明治のラグビーってさすがだなって思ってもらえるような準備をしていくことが重要。その先には必ず大学選手権の優勝の道がある」

早明戦の朝、強く本気で勝つ自信を

ライバル校の早大も大田尾竜彦新監督(39)が就任した。同席した大六野耕作学長からも「絶対に早稲田には勝つ」と発破をかけられたが、神鳥新監督は「監督同士で意識することはない。プレーするのは学生。早稲田という相手は、数ある大学の対戦校の一つと思うのは無理。そういうチームに対して、本気で勝ちたい、勝つ自信がある。早明戦の朝、強く本気でそう思えるような準備をしたい」と話した。リコーから出向の形で指揮を執り、期間は決めずに単年契約を更新していくという。大六野学長は「4年はやってもらうもんだと思っている」と期待していた。

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