大学ラグビー

明治ラグビー田中澄憲監督「早稲田に負けた理由を突き詰めて、チームを作る」

1月の大学選手権決勝で負けた理由を突き詰めるところから、明治の一年が始まる(撮影・安本夏望)

ラグビーの試合として初めて新国立競技場で開催された一戦から2カ月あまりが過ぎた。 

111日の大学選手権決勝。57千人を超える観衆の集まったスタンドは、紫紺のユニフォームや旗の方が多かったように見えた。下馬評でも有利と見られていた明治大だったが、関東大学ラグビー対抗戦のリベンジに燃える早稲田大に前半だけで31失点を喫し、35-45で敗戦。連覇はならなかった。 

新チームの練習を見つめる(撮影・斉藤健仁)

「決勝で負けた悔しさがなくなったら終わり」

悔しい負けからオフを挟んで218日、明治は王座奪還に向けて始動した。明治のOBで日本代表のSHとしても活躍した田中澄憲監督(44)はサントリーから出向という形で、ヘッドコーチで1年、そして監督として3年目を迎えた。 

昨年度の明治は強かった。ジュニア選手権のカテゴリー1こそ帝京大の後塵(こうじん)を拝したが、東日本セブンズ、春季大会Aグループ、関東対抗戦と制した。大学選手権も明治のものだと見られていた。しかし、紫紺のジャージーは、一番大事な試合に勝てなかった。 

いま、田中監督は言う。「勝ちたかったので、もちろん、悔しさはありますよ。でも(監督の)自分が悔しがってもしょうがない。学生がどう思うかが大事です。チームに残った3年生以下がどれだけ悔しかったのか。その思いから、どういうを行動するか。決勝戦で負けた悔しさがなくなったら終わり。理由があるから負けたんです。その理由を突き詰めてチームを作っていく」 

基本練習に励むFWの選手たち(撮影・斉藤健仁)

改めて決勝の敗因を聞いてみると、田中監督は「早稲田は対抗戦で負けた悔しさで明治に勝つためにやってきて、明治は自分たちがやることを突き詰めた。でも、どんな風に突き詰めたかのかを考えないといけない。(準決勝で)東海に勝って『優勝した』という感じになってしまった。スタッフも含めて全員がそうなってしまったのが一番よくなかった。早稲田相手ではなく、決勝に向けて準備をしないといけなかった」と語った。 

昨年度の明治は、ややピーキングに失敗してしまった感があるのは否めない。田中監督はそれを否定することなく「(プレーしているのは)学生ですから。大学選手権の準決勝までがよすぎた部分もあります。最後に負けるのはよくない。最後にチャンピオンシップで勝っていけるチームを作らないといけない。そのためにはやはり、学生の主体性が大事だと思います」と話した。 

主力だった4年生が抜け、求められる底上げ

322日ごろまで、FWBKともに基本練習とウェイトトレーニングに精を出す。少し休んでから、春季大会に向けてのトレーニングを再開する予定だ。とくにFWは、昨年度は4年生中心のチームだっただけに、個々の強化は欠かせない。すでに、新1年生24人も例年より1週間ほど早い31日からチームに合流し、先輩たちと汗を流している。 

すでに練習に合流している新入生たちは、22年ぶりの大学日本一を見て明治を選んだ(撮影・斉藤健仁)

「(一昨年度に大学選手権で)優勝した効果で入ってきた選手なので、FWにもBKにもバランスよくいい選手が来てくれました。京都成章出身のLO山本嶺二郎は(試合に)出てくると思います。すでに2年生、3年生よりもいいくらい。BKも高いレベルの選手が多くて、SO池戸将太郎(東海大相模)、SO/CTB廣瀬雄也(東福岡)あたりは面白い選手です」。新戦力の充実ぶりを語るとき、自然と田中監督の表情が緩む。 

「大学スポーツは4年生が大事」と話す田中監督が何より期待をかけるのは、新キャプテンに就任したLO/No8箸本龍雅(はしもと・りゅうが、3年、東福岡)らリーダー陣である。 

田中監督が期待を寄せる新たなリーダーの三人(左から副将の山沢、主将の箸本、副将の片倉、撮影・斉藤健仁)

「箸本はプレーでチームを引っ張っていってほしい。大学スポーツは4年生がどういうチームを作るか。キャプテンがリーダー陣やほかの4年生を巻き込んでいって、いいチームを作っていってほしいですね」 

明治はチャレンジャーでないと

副キャプテンにはLO片倉康瑛(3年、明大中野)とSO山沢京平(3年、深谷)と、箸本キャプテンとともに下級生のころから活躍し、喜びも悔しさもよく知るふたりを選んだ。「(リーダー陣には1月の)大学選手権決勝の経験を生かしてほしい。明治はチャレンジャーじゃないといけない。チャレンジャー精神を忘れてはいけない」と、語気を強めた。 

田中監督の率いる明治ラグビー部は2020年度こそ、国立競技場で歓喜の瞬間を迎えられるか。