ガンバ大阪内定の関学・山見大登、天皇杯で3年前のジャイアントキリング再現へ
再びジャイアントキリングのチャンスがやってきた。関学サッカー部男子は5月23日に行われた天皇杯1回戦でびわこ成蹊スポーツ大学と対戦。2-0で快勝し、2回戦進出を決めた。
「ジャイキリ」の決勝点を挙げた山見
この日、ピッチで一際輝きを見せたのはJ1・ガンバ大阪に内定しているFW山見大登(4年、大阪学院大)。試合開始早々から持ち味である鋭いドリブルを見せ、相手DFを翻弄(ほんろう)。後半14分には追加点となる2点目のゴールを決めてみせた。山見は「自分の特徴を出せた試合。楽しんでプレーできたし、調子も良かった」と振り返る。2回戦は6月16日、ガンバ(G)大阪と3年ぶりの対戦が決まった。
2018年6月6日、日本サッカー界は衝撃に包まれた。天皇杯2回戦でG大阪と対戦した関学は、120分間の激闘を制し2-1で勝利。ジャイアントキリングを果たした。中でも延長前半2分、決勝点となった山見のゴールは、天皇杯を象徴する得点として「I DREAM Award」を受賞。
「あの試合でサッカー人生が大きく変わった。Jクラブ相手にも自分のドリブルが通用することが分かった」と当時1年生だった山見は振り返る。今度は最上級生として、パナスタのピッチに舞い戻る。
憧れのチームに内定も、調子が上がらず苦しむ
幼少期から何かと縁が深い。物心ついた頃からG大阪サポーターの父に連れられ、当時のホームスタジアムである万博記念競技場によく足を運んだという。「体格の似たFWフェルナンジーニョに憧れを抱いていた」。生粋のG大阪サポーターとなった山見は小学6年時、中学3年時に下部組織の入団テストを受験。不合格となるも、昨年12月7日念願のG大阪入りが決定。幼い頃からの夢を実現させた。「プロ内定選手として、見られる目が変わる。自分にプレッシャーをかけるためにも、早期に内定を決めた」。現状に満足することなく、その先の活躍を誓っていた。
しかし、迎えた今年度の大学ラストイヤー。目覚ましい活躍が期待されていたが、思い通りにはいかなかった。「初めの方は試合に出ていたが、調子がなかなか上がってこなかった」。リーグ戦第1節関大戦(0-8で敗北)を機にスタメンから外れ、ベンチを温める日々が続いた。
「さすがに変わらないといけないなと思って、ダイエットを始めた。お菓子や清涼飲料水をやめて、炭酸水に切り替えた」。体重は2kg弱、体脂肪率は2%を減量。体質改善を試みてから2週間後のリーグ戦第6節大阪学院大戦でスタメン出場を果たすと、決勝点を挙げる殊勲の活躍。山見も「調子がいい頃の状態が戻ってきた」と満足気だった。
あの景色を後輩たちにも見せたい
さらには、第8節立命館大戦ではハットトリックを達成。6月12日に行われた直近のリーグ戦でも2得点1アシストを記録するなど、シャドーの位置から縦横無尽にプレーしチームをけん引している。「今のチームなら3年ぶり2度目のG大阪撃破は可能だと思う」と自信をのぞかせた山見。G大阪は松波正信新監督の下で立て直しを図っているが、得点力不足は否めない。3年前と同様、十分に勝機はある。
山見は「後輩たちにも、自分が1回生の時に味わった景色を見せてあげたい。関学が日本一になるためにも、チームとして勝利を目指したい」と気合い充分だ。3年前の屈辱的な敗北を、G大阪サポーターは忘れていない。1107日の時を経て、今度は内定選手として未来の所属クラブとの対戦。「もう一度あのピッチでゴールを決めたい」。今の山見ならきっと有言実行を果たしてくれるだろう。