日本大学が異例の入れ替え戦で連勝、東都大学野球で4年ぶりの1部復帰
東都大学野球1、2部入れ替え戦
▽6月22日
日本大 000 100 010 000 1|3
立正大 020 000 000 000 0|2
(延長13回)
【日】杉本、市川、赤星-友田【正】田中裕、山本、門馬-中嶋
【本塁打】比留間(杉本)【三塁打】若宮(日)
▽6月21日
東洋大 100 000 000|1
日本大 020 000 00X|2
【洋】細野-後藤聖【日】赤星ー-友田
【本塁打】林(細田)【二塁打】友田(日)
東洋大、立正大に連勝
東都大学野球の1、2部入れ替え戦第2日が6月22日、神宮球場であり、日本大学(2部1位)が立正大学(1部7位)を延長十三回、3-2で破って前日の東洋大学(1部6位)に続いて連勝、2017年秋以来の1部復帰を決めた。
日大が2日連続の逆転勝ちで4年ぶりの1部復帰を決めた。先発投手はリーグ戦で2勝を挙げた左腕の市川睦(4年、二松学舎大附)ではなく、3年生右腕の杉本幸基(大垣日大)だった。杉本は二回に立正大の比留間海斗(4年、日大三)に2点本塁打を浴びたが、六回途中までこの失点だけでしのいだ。5月下旬のリーグ戦終了から1カ月近く空いたが、練習試合で先発するなど調整し、片岡昭吾監督(43)が「本人も『僕がいくんだろう』という思いを持って投げてくれた。3回でいい、1回でいいという話をしたが、本当に良く投げてくれた」と振り返った。
そして、二番手の市川が6回無失点と好投した。延長十二回1死一、二塁では、満を持してエース赤星優志(4年、日大鶴ケ丘)を投入、このピンチを併殺で切り抜け、1点勝ち越した十三回も抑えて赤星は2日連続の勝ち投手となった。片岡監督は「あそこ(延長十二回途中)まで市川が持ってくれたので、最後は赤星が余力を持って全力で投げてくれた。杉本、市川が非常によく頑張って赤星へ。『勝ちパターン』じゃないですが、つなげてくれたのが勝因」と投手陣の踏ん張りをたたえた。
攻撃では伏兵が殊勲
2点を追った打線は、四回に林拓馬(2年、大垣日大)の左犠飛で峯村貴希主将(4年、木更津総合)が生還して1点差に。八回は代打の若宮颯(4年、星稜)の適時三塁打で追いついた。若宮は昨シーズン正選手だった。片岡監督は「バックアップに回って非常に悔しい思いがあったはずだが、代打の一番手として右投手でも左投手でも、と彼に話をしていた。本当にいい準備をしてくれた」と言った。
決勝点は十三回1死三塁から林の遊ゴロで、途中出場だった三塁走者の川畑光平(4年、春日部共栄)が好スタートを切ってもぎ取った。川畑は昨年までメンバーに入れなかったが、足のスペシャリストとして努力を重ねていた。打者が打ったら本塁を狙う「ギャンブルスタート」だったが、前日、逆転2点本塁打を放つラッキーボーイ的な存在になった7番打者の林がきっちりとゴロを転がした。入れ替え戦2試合で日大の5得点のうち4打点を稼いだ林は「(暴投で)ランナーが三塁に進んで、とにかく絶対、還したかった。当たった瞬間、ランナーがスタートするサインが出ていたんで、ゴロを転がして。(4打点は)ついていた。練習してきたので、自信はあります」と照れながら話した。
連投の赤星が最後を締めた。「多少は疲れもあったが、杉本と市川がつないでくれたので、絶対に0で抑えるという気持ちで投げた。自分たちは春1部に昇格して、秋で1部優勝、(明治)神宮(大会)で優勝するのを目標にやっている。(秋)1部でもしっかり自分のピッチングをして、勝ちを重ねていければ」と次を見据えた。
試合後、一塁側で応援した部員の前で今年就任した片岡監督が7度宙に舞った。プロ野球巨人の片岡治大コーチの兄でもある監督は、JR東日本時代の背番号が「7」など好きな数字にあやかったという。
東都大学野球はコロナ禍で昨秋は入れ替え戦ができず、2部優勝の青山学院大学が自動昇格、春は史上初めて1部7校で開催された。そのため、入れ替え戦も史上初めて1部6位だった東洋大学と1部7位だった立正大学、それに2部優勝の日本大学による三つどもえのリーグ戦で開かれ、日本大学が連勝して昇格。今秋、東洋大は15年秋以来、立正大は17年春以来の2部で戦うことになり、「戦国東都」の厳しさを示す形となった。
片岡監督 「新チームが始まった時から1部復帰ということは目標にしてきた。リーグ戦がしっかりでき、入れ替え戦ができて勝てたことでホッとしている。総力戦というのは最初から言っていた。誰がどこでいくということではなく、初回から全員に準備をしろと話をしていた。非常に集中力のあるいいゲームだった。相手の立正大学さんの気迫にちょっと負けそうな押されそうなところを皆がそれを上回る集中力と自信を持って戦ったのが勝ちにつながった。目標は(2部優勝と1部復帰で)二つ目ですよね。1部で優勝し、(明治)神宮大会で優勝するところですので、まだまだ、どうやって勝っていくか追求して、1部の大学さんもなかなか簡単に勝たせてくれない。いろんな反省も出た、しっかりした野球をもう一度作り秋に臨みたい」
峯村主将 「全員で勝利をつかみとれたので、本当にうれしいです。みんなが、守って打って走ってそれが本当にこういう結果につながった。(3番打者として)チャンスでなかなか打てずにチームの足を引っ張る形になった。もう1回走攻守、一から見直して1部で戦えるように練習していこうと思う」