國學院大學が20季ぶり2度目の東都制覇 初の全日本大学選手権へ
東都大学野球春季リーグ戦第7週最終日
▽2回戦(國學院大2勝)
中央大 001 001 000|2
國學大 100 000 03x|4
【中】皆川、大栄、西舘―古賀【国】小川、楠茂、池内―福永
【本塁打】川村(皆川)
【二塁打】伊東(國)
▽最終成績 (1)國學院大10勝2敗(2)中央大8勝4敗(3)亜細亜大6勝6敗(4)駒澤大5勝7敗(5)青山学院大5勝7敗(6)東洋大4勝8敗(7)立正大4勝8敗
(4、5位、6、7位はタイブレークの敗戦数による)
▽最高殊勲選手 山本ダンテ武蔵(國)12票
▽最優秀投手 池内瞭馬(國)13票
▽ベストナイン 投手 池内(國)13票▼捕手 古賀悠斗(中)12票▼一塁手 桂川弘貴(立)10票▼二塁手 伊東光亮(國)9票▼三塁手 佐々木泰(青)満票▼遊撃手 田中幹也(亜)7票▼外野手 川村啓真(國)満票、中田悠斗(中)13票、右田稜真(亜)11票▼指名打者 山本ダ(國)満票
(満票は15票。右田は2020年秋に続き2回目、その他は初受賞)
2010年秋以来の優勝
國學院大學が中央大学に連勝し、2010年秋以来2度目の優勝を決めた。春の覇者が挑む6月の全日本大学選手権に初出場する。全日程を終え、打撃部門は國學院大勢が上位に入り、首位打者は打率4割1分7厘を残した川村啓真(4年、日本文理)。17打点、5本塁打の山本ダンテ武蔵(4年、大阪桐蔭)が2冠だった。初めて1部7校で実施したシーズンは、6位の東洋大と7位の立正大が2部1位と3校による入れ替え戦(6月下旬予定)に臨む。
國學院大は20季ぶり(20年春は中止)の優勝に向け、一回に川村の右越え本塁打で先行した。今季3本目。首位打者になった2番打者は3月の開幕週はベンチスタートだった。「最後の方に猛打賞(1試合3安打以上)の日が続いて、運がよかったのかな。一番大きいのは、空き週の時に監督さんとバッティングのことについて改善をして、そこから自分の感覚で打てる打席も増えた。あそこの1週間で取り組んだ練習をもっと体に染み込ませて、自分のバッティングを磨いていけたら」。今季は1部7校だったため、原則3試合ずつの日程で、1校ずつ試合がない週があった。國學院は4月中旬に空き週があり、川村はそこで打撃の感覚を向上させたという。
一度は逆転を許したが、左腕・楠茂(くすも)将大(3年、旭川大)の粘り強い投球が再逆転を呼んだといっていい。攻撃力が計算できた國學院にとって優勝へのカギは投手陣の整備だった。楠茂は四回から登板し、5回を投げて失点を失策絡みの1点でしのいだ。防御率1.43で4勝を挙げた最優秀投手の池内瞭馬(4年、津商)に続く投手に成長した。
八回にチーム力で再逆転
八回は今季のチーム力を象徴するような逆転劇だった。四球と敵失で訪れた無死一、二塁の好機で川村に回ってきた。一番頼りになる打者だったが、川村本人は鳥山泰孝監督(45)に犠打を直訴した。監督は「最初、『打ってこい』と言ったら、川村が『ここは送ります』と言った。3、4、5番への信頼と思っている。自己犠牲の精神は、川村の成長」と振り返った。結局、川村のバントはファウルになったが、フルカウントから右前打して勢いをつないだ。
無死満塁から、山本ダが押し出し四球を選んで同点。4番の瀬戸成一郎(4年、鳥取城北)と5番の福永奨主将(4年、横浜)の連続犠飛で勝ち越した。試合中、笑顔もみえた福永主将は「ここまで来て、変に優勝というよりは、今まで通りやっていこうと試合に入った。『楽しむ』じゃないですけど、全員がそういう気持ちを持っていた。自分自身もそういうのが大事というとことに気づかされた。4年生が最終的にはチームを引っ張ってくれた。そこが本当に勝てた理由」と振り返った。九回は池内がマウンドに上がり3人できっちり抑えた。
鳥山監督は「この10年いろんなことがあった。優勝して泣かないと思ってたんですけど、我慢できませんでした。あと1勝という中で何度も苦渋をなめてきた。成功も失敗もして、鍛え上げてきた優勝なので、一気にそういうものがフラッシュバックした」と言った。
10年秋の初優勝の後、翌年春は最下位になり2部へ。1部復帰後、3季連続2位も経験し、2度目の栄冠は遠かった。この日から制限がある中で有観客試合に戻った。監督は「涙を流しながら卒業していった連中の顔が浮かびました。今日も多くのOBたちがスタンドに来てくれていたんで、喜んでくれているかなと思います」と続けた。