野球

國學院大學の福永奨主将、守備だけでなく攻撃でも引っ張る

國學院大學の福永奨新主将。打撃でもチームを引っ張れるか(國學院大野球部提供)

東都大学野球春季リーグ戦が3月29日に神宮球場で開幕します。今季、1部は7校による2回戦総当たりの勝率制。新主将に意気込みを聞く4人目は3位が続く國學院大學の福永奨(4年、横浜)。中学生の時からチームで主将を任される生粋のリーダーです。

「上を見て、7校は関係ない」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東都は昨秋入れ替え戦を行わず、今季の1部は1校多い7校での戦いになった。各校初体験となるが、福永はぶれることはない。
「上を見ておけば、7校とか関係ないと思っている。下を見ていたら、気にすることだろうと。優勝することを目指してやっているので、自分たちのやるべきことをしっかりやれば、チーム数が変わっても変わらない。その意識を自分だけでなく、全員がわかっていれば、チームの目標にもつながる」

2月、例年行っていたメンバーを絞っての沖縄キャンプには行けなかった。その代わり、全員で千葉・鴨川へ向かった。合宿の期間は2週間から5日間と短くなったが、福永は「充実していた。リーグ戦に向けてチームの中でやるべきことが明確になった」と振り返る。コロナ禍で悪いことばかりではない。

生粋のキャプテン

小学2年生から野球を始めた。横浜市保土ケ谷区で育ち、金沢区の横浜高へ。そして青葉区にグラウンドがある國學院へ進んだ。「(大学には)いろんなところから来てますが、自分はずっと横浜一筋でできている。そういう環境でできるのは、近くで応援してくれている家族や友達もいて、恵まれてます」

横浜高では2、3年生で全国選手権に出場した(撮影・朝日新聞社)

中学生から捕手になった。「キャッチャーでチームは動く。チームとしては欠かせない存在。チームの司令塔としてまとめなくちゃいけない。大学生になってより考えるようになった。自分から守備位置や、『今のはこうじゃないか』と自信を持って言えるようになった。そこが高校までと比べて変わってきた」。同時に中、高、大とチームで主将を務める。「言うべきことは言って、言うだけじゃなくて自ら行動し、姿勢で見せようと思ってきた。そういうところを周りが認めてくれているのでしょうか」。新チームを任せられたのも自然な流れだった。

國學院は2019年春から3季連続で3位(20年春は中止)が続く。昨秋は開幕4連勝しながら、優勝した亜細亜大学に連敗し失速した。福永は「勝たなきゃいけないという試合で落としていることが多い。技術どうこうというより、個々の考え方や、自分の出せるプレーを出し切らないと勝てない」と感じている。小川龍成(ロッテ)や先発投手陣が抜け、経験者が少なくなった。福永主将や打線の中軸を担ってきた川村啓真(4年、日本文理)や瀬戸成一郎(4年、鳥取城北)が引っ張る。「出ていた選手が中心とならないといけない。経験が浅い分、普段からの緊張感や全て試合のためという練習をしていく。練習のための練習になってはダメ」と自分に言い聞かせる。

小川龍成内野手 前橋育英の経験胸に次のステップを 兄より

プロへの道開けるか

「プロ1本でいきたいと思っている」。福永は個人的にもさらに上を見据えている。「そこを目指していないと、他の選手もついて来ない。自分の取り組む姿勢をみせ、チームの手本にならなくてはいけない。新チームが始まって、プロにいくんだという気持ちを常に持って練習しています」

守りには定評がある(撮影・朝日新聞社)

今年の大学生のプロ野球ドラフト候補には捕手の逸材が多い。中央大学の古賀悠斗(4年、福岡大大濠)、早稲田大学の岩本久重(4年、大阪桐蔭)、関西大学の久保田拓真(4年、津田学園)らだ。「東都には古賀という存在がいて、岩本らに勝たなくては、プロにいけないと思う。自分は肩が武器だと思っている」。課題は明白だ。昨秋の打率は.267だった。「結果がああいう打率になってしまった。打たなくては、プロに近づけないと思う。守備だけでは足りてないということは十分わかっている」。オフは今まで以上にバットを振り込んできた。オープン戦では結果を気にせず、タイミングの取り方など打撃を作り直している。新主将が守りだけでなく、攻撃でもチームを引っ張れれば、2010年秋以来2度目の優勝も視界に入ってくる。

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