中央大学の古賀悠斗主将、福岡大大濠高時代から注目された逸材
東都大学野球春季リーグ戦が3月29日に神宮球場で開幕します。今季、1部リーグは7校による2回戦総当たりの勝率制。新主将に意気込みを聞く3人目は、今秋のプロ野球ドラフト候補として注目される強肩捕手、中央大学の古賀悠斗(4年、福岡大大濠)です。
二塁送球タイムは常時2秒切り
古賀は福岡大大濠高時代から高校球界屈指の捕手として高く評価されてきた。二塁送球タイムは常時2秒を切り、1秒7台をマークする強肩が最大の武器だ。大学入学後は1年春から中心選手として活躍してきた。今季はチームを引っ張る立場となった。
昨秋、中央は牧秀悟(DeNA)、五十幡亮汰(日本ハム)らを擁し2019年秋に続く連続優勝を狙ったが、投打の歯車がかみ合わず、東洋大学、駒澤大学と並ぶ3勝7敗の4位という結果に終わった。今年のチームスローガンには「勝負~負けないチーム」を掲げている。この「勝負」という言葉には、優勝を狙っての勝負以外にもいくつかの意味が込められていると古賀は言う。
「勝負」に込めた思い
「もちろん優勝を目標にしていますけれど、もしも6位とか7位になってしまったら2部優勝校を含めた3チームでの入れ替え戦を戦わなければならないですから、そこも大きな勝負になります。自分はプロ入りを目指しているので、この春が勝負のシーズンになる。社会人野球を目指している者にとっても同じことが言えますし、3年生にとっても今年の活躍がそれぞれの進路につながってきます」
さらに、「勝負」しなければいけないのは、グラウンドに立つ選手だけではない。古賀は自分たちが臨む「勝負」の意味を続けて説明する。「就活を頑張っている部員も、そこで勝負をしないといけない。試合に出るメンバーも、就活を頑張るメンバーも、みな大事な勝負に挑まないといけないんです」。試合に出る者も出ない者も、チームスローガンのもと、それぞれの戦いに臨む。
4年生の速球派右腕・皆川喬涼(前橋育英)がオープン戦序盤から好調だ。「ピッチャー陣は全員が高い意識でキャンプから雰囲気よくやっていて、オープン戦ではいい仕上がりを見せています。中でも調子がいいのが皆川です。今年は皆川が柱になります。期待して見ていてください」と古賀は自信を持って言う。昨秋、リーグ戦のマウンドを経験した石田裕太郎(2年、静清)、西舘勇陽(2年、花巻東)、岩本大地(2年、石岡一)ら素質豊かな2年生投手陣も次代のエースの座を目指して競い合っている。右肩痛からの復活を目指す後藤茂基(4年、城西大城西)、昨秋3勝を挙げた植田健人(4年、興國)らを含めた投手陣を古賀がリードする。
打線は下級生のころからチームを引っ張ってきた牧、五十幡、内山京祐(NTT東日本)らが卒業したが、古賀、森下翔太(3年、東海大相模)、石田瑛平(4年、習志野)、中川拓紀(4年、宇治山田商)ら経験豊富な打者が並ぶ。「昨年に比べると長打は少ないかもしれませんが、つながりのある打線です」と古賀は言う。宮崎での春季キャンプでは、野手陣はバントと走塁の重要性を全員で再確認し、その精度を上げるよう取り組んできた。
初戦は立正大、「初」が大事
「大事なのは3月29日の初戦です。初戦の入り方というのは本当に大事。自分の中でも『初打席』って大事だし、投手にとっても『初球』が大事。試合では『初回』が大事ですし。アップのときの『最初の声』、打席での『初球』、二塁への送球も『最初の一球』。開幕戦だけではなく、各カードの『初戦』も大事。すべて、そういう『初』にこだわっていきたいです」と古賀は語気を強めた。
3月29日、初戦の相手は立正大と決まった。先発投手が古賀のミットに投げ込む初球、打者の初打席、初球への対応、野手の最初の打球処理、捕手・古賀の最初の二塁への送球……中央大の選手たちがこだわるそれぞれの「初」に注目してもらいたい。