大学野球

連載:あなたにエール

中央大主将の牧秀悟内野手 「1歳半からボール投げに夢中」 母よりあなたに

1歳半の頃、父の実家で兄と野球遊びで楽しむ牧秀悟(子どもの頃の写真はすべてご家族提供)

中央大学硬式野球部の主将を務める牧秀悟内野手(4年、松本第一)は昨年、大学ジャパンの中軸を担い、秋には東都大学の優勝に貢献しました。母の寿奈美さん(53)によると、プロ野球のドラフト候補にも挙がる逸材は、1歳半からボール投げに夢中の野球小僧だったそうです。アスリートの成長を身近に感じてきた方が、独自の目線でたどる企画「あなたにエール」を始めます。

生後5カ月の頃、母におんぶされて

新聞紙を丸めたボール、球拾いも大好き

1歳半ぐらいから、新聞紙を丸めて作ったボールを投げ始めて、それが楽しくてずっとやっていましたね。保育園でも先生が相手をしてくれて、ずっとキャッチボールをやっていたみたいです。先生が新聞紙でバットも作ってくれて、野球ごっこです。保育園のカバンの中にはいつも、紙のボールが入っていました。家の近所には公園があって、ちょっと年上の男の子たちが野球をやっていたんですけど、秀悟はそこでも楽しそうに球拾いをやっていました。

小学1年(右)から年上ばかりの野球チームに入った

小学1年生から年上のチームに

3つ上の兄(智也さん=24)が少年野球を始めたので、練習や試合のときには秀悟もグラウンドに連れて行ったのですが、自分もやりたくて、やりたくて仕方ないんです。「ぼくもやりたい!」と言い続けたので、本当は3年生から入るチーム(キングアニマルズ)に、監督さんにお願いして1年生から入部させてもらいました。チームメートは年上の子ばかりで、同級生はいなかったんですけど、楽しそうにやっていました。

当時、住んでいたところは私の実家から近くて、実家は農家だったので庭も広かったんです。年の近い甥っ子たちが集まって、2人対2人ぐらいで野球をやっていました。それも楽しかったみたいですね。

祖父の家の庭にネットを張り、打撃練習をした

祖父との練習で打撃力アップ

3年生になると、少年野球でも試合が増えてきたんですけど、バッティングがなかなか思うようにいかないみたいで。おじいちゃん(佐藤要造さん=82)が実家の庭にバッティング練習用のネットを張ってくれて、毎日そこでバッティング練習をやっていました。おじいちゃんとの練習が実ったんでしょうね。だんだん打てるようになって、4年生になってからはホームランも出るようになりました。

小学5年の時、投手もやった

車で1時間かけてリトルシニアへ

6年生のときに、まだチームを立ち上げたばかりだった長野若穂リトルシニアの保護者の方が試合を見に来られて、「ちょっと体験に来てみないか」と声をかけてくださったんです。同じ少年野球のチームメート何人かで体験会に参加して、そこが楽しかったみたいです。行く前は「他のチームの体験会にも行ってみようかな」って言ってたんですけど、帰ってきたら「若穂シニアにする」って。すぐ決めちゃいました。

シニアの練習場までは車で片道1時間ちょっとかかるので、近くのチームメートの保護者の方々と交代で送り迎えです。できたばかりのチームでまだ人数も少なかったんですけど、中学23年と全国大会にも進むことができました。

憧れの甲子園には届かなかった

3になって、おかげさまでいくつかの高校の関係者の方からお話をいただいたのですが、シニアの監督さんから「松本第一がこれから強くなると思う」って勧められたこともあって、松本第一高校へお世話になることになりました。(長野県)中野市の家からは通えないので寮生活です。家に帰ってくるのは年末年始の10日間ぐらいでしたね。最初のうちは心配だったのですが、同じシニアから一緒に進学した子も4人ぐらいいたので、そこは心強かったです。試合があるときは、主人(伸幸さん=54)とよく見に行きました。

「まだ甲子園に出ていない学校から、自分たちの代で甲子園に行く!」って言って進学したんですが、残念ながら甲子園には届きませんでした。プロ志望届を出すことも考えたみたいなんですけど、2、3年の夏の大会は2年連続で初戦敗退したこともあって、いろいろ悩んだ上で、大学へ行こうと決めたみたいです。

2019年秋のリーグ優勝に大きく貢献した(撮影・佐伯航平)

松本に続き東京での寮生活

今度は東京で寮生活です。東京なんて私も全然分からないから、はじめのうちは心配でした。連絡は……たまにきますね。LINEを送ったら返ってくるという感じです。高校から寮生活をしてきたことで、成長したんだなぁって感じるところもありますね。おかげさまで1年生から試合に出していただいていますので、公式戦はなるべく休みを取って見に行くようにしています。

打撃に苦しみ、祖父に電話

大学2年のときは、チームが春秋連続で最下位、秀悟自身もなかなか打てなくて、苦しいシーズンでした。春は打率も1割台になってしまって、おじいちゃんにも「どうしたら打てるようになるんだろう?」って電話してきました。打たなきゃいけないという思いが強過ぎて、萎縮してしまっていたんでしょうね。「思い切り、フルスイングでいけ」って、おじいちゃんはアドバイスしていました。

広角に打ち分けられる右の強打者に成長した(撮影・佐伯航平)

20人の応援団が神宮へ

大学3年になって春2位、秋は優勝と、去年は本当に楽しい1年になりましたね。主人やおじいちゃん、さらには少年野球のときの監督さん、チームメートのお父さん、お母さんたち、親戚も「見に行きたい!」と言ってくれるので、小型バスを借りて20人ぐらいで神宮球場まで応援に行きました。秀悟は本当に、人に恵まれたと思います。ここまでになれたのは、監督、コーチ、保護者の方々、仲間……、みなさんがよくしてくれたからだと思います。感謝しかありません。ありがたいことです。

内野の守備にも定評がある(撮影・佐伯航平)

秋をみんなで楽しみに

大学4年になってキャプテンもやらせていただいて、おかげさまで「ドラフト候補」というふうに言っていただいているんですけど、これからどうなってしまうんでしょうね……。緊急事態宣言が出てから大学には行かれず、野球部も活動停止になって、4月上旬から5月下旬まで実家に帰ってきていました。春のリーグ戦もなくなってしまって、練習もできなくて……これからどうなっちゃうのか、本当に心配です。秋のリーグ戦、みんな楽しみにしているので、できるといいのですが……。心配ですけれど、親は見守るだけです。

あなたにエール

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