東海大・海野隆司は「甲斐キャノン」並みの強肩捕手 選手権の顔・4完
野球の第68回全日本大学選手権が6月10日、神宮球場と東京ドームで開幕します。4years.では、出場27校から4人の注目選手を「選手権の顔」として紹介します。最後を飾るのは首都大学リーグ1部で東海大学の3シーズン連続優勝に貢献した大学球界屈指の強肩捕手、海野隆司(うみの・たかし、4年、関西)です。
ライバルたちに守備では負けない
今年の大学球界には東洋大の佐藤都志也(4年、聖光学院)、慶応大の郡司裕也(4年、仙台育英)、立教大の藤野隼大(4年、川越東)ら、4年生の捕手に逸材が集まる。東海大の4番を打つ海野隆司もその一人だ。
「同じ大学4年生のキャッチャーを強く意識することはないですけど、守備では絶対に負けてない自信はあります」。強肩自慢の海野は、こう言いきる。
二塁への送球に要するタイムは2秒を切ると「強肩」と言われる。1.7秒台をたたき出してしまう海野は「甲斐キャノン」で知られるソフトバンクの甲斐拓也に近いレベルの強肩だ。しかも海野の送球は低い弾道で伸び、二塁ベース手前に構えるセカンドあるいはショートのグラブに飛び込んでいく。送球が高くそれ、野手が飛び上がって捕るようなことは、ほとんどない。
「ランナーが入ってくるところへ正確に、低いボールを投げるように意識してます。入ってきたランナーにそのままタッチできるように。高めにいってしまうとセカンドやショートが捕りづらいですし、カバーもできないですから」
意識の上で守備と打撃は9対1
この春は右の本格派である原田泰成(4年。東海大望洋)、山﨑伊織(3年、明石商)、リリーフタイプの右の速球派、小郷賢人(3年、関西)、左の松山仁彦(3年、東邦)らをリードし、チームを優勝に導いた。4番バッターとしてリーグ6位の打率3割1分6厘を残したが、意識の上で、守備と打撃の割合は9対1ぐらいで考えているという。
「上の世界で戦うことを考えたら、キャッチャーは守備を重視しなきゃいけない。キャッチャーがしっかりしてるチームは強いですから。バッティングに関しては、チャンスでまわってきたら返せればいい、ぐらいに考えるようにしてます」
大学日本代表で得た自信
岡山の関西(かんぜい)高校時代は、2年生の春からレギュラーとなり、夏の甲子園に出場。強肩捕手として注目を浴びたが、3年生のときは甲子園に出られなかった。そして東海大へと進む。
「大学に入ってすぐのころは、周りのレベルが高くて、正直無理だと思いました」
それでも2年生の春のリーグ戦からレギュラーをつかむと、3年生の春には首位打者とベストナインに輝く。その夏には侍ジャパン大学日本代表に選ばれ、日米大学野球選手権、ハーレム・ベースボールウィークに出場し、大学日本代表の正捕手として活躍した。
「大学ジャパンに選ばれたのも守備面を評価していただいたからだと思うので、そこは自信になりました。試合の終盤からマスクをかぶることもあって、信頼してもらってるんだなと、自信がつきました」
甲斐野さんのボールはバケモン!!
大学日本代表では松本航(日本体育大-西武)、甲斐野央(東洋大-ソフトバンク)、清水昇(國學院大-ヤクルト)ら、秋のドラフト会議で指名されてプロ入りした1学年上の投手たちともバッテリーを組んだ。
「すべての面ですごかったです。こういう人たちがプロへ行って活躍するんだなぁ、と思いました。とくに甲斐野さんの投げるボールはバケモンでした!! まっすぐもフォークも、最初は捕るだけで必死でしたけど、受けていくうちにだんだん捕れるようになりました」
ハーレム・ベースボールウィークのキューバ戦ではホームランも放ち、大舞台に強いところもアピールした。
「国際試合は緊張したんですけど、自分は緊張した方がアドレナリンが出るので、それがよかったのかもしれません。緊張感があった方が、自分の力を出せるんです」
自分が引っ張って日本一狙う
東海大は2年連続の全日本大学選手権出場となるが、昨年は1回戦で九州産業大学に2-3で敗れた。
「去年は選手権で1回戦負け、秋も関東大会(関東5連盟による明治神宮大会代表決定戦)で1回戦負け。リーグ戦を勝っても、そのあとの大会で勝ち上がれませんでした。チームの目標は大学日本一です。去年とはメンバーがかなり替わったんですけど、自分はその中でも去年の大会を経験してますので、自分が引っ張っていく気持ちで日本一を狙っていきたいです」
初戦の相手は最速148kmの左のエース、坂本裕哉(4年、福岡大大濠)を擁する立命館大学だ。いい形で初戦を突破し、5年ぶり5度目の優勝に向けて勢いをつけたい。