相撲

さあ七山本から八山本へ 27歳が新入幕勝ち越し王手

一山本(左)は寄り切りで千代丸を破る=河合真人撮影
一山本(左)は寄り切りで千代丸を破る=河合真人撮影

 大相撲名古屋場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)9日目の12日、27歳の一山本が7勝目。新入幕場所での勝ち越しに王手をかけた。

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 左上手が切れ、自分より約50キロ重い千代丸とがっぷり。苦しい時こそ「自分から」と一山本。長い腕で再び上手まわしを取ると、体をぶつけて寄り切った。

 この2年で体重が10キロ増え、いま136キロ。元々得意な突き押しに加え、組んでも取れる器用さも身についてきた。「夢の半ば」と表現する27歳での新入幕場所で、先頭を追う2敗勢に名を連ねる。

 北海道岩内町出身。小学校で相撲をはじめ、中大では全国大会に出た。だが卒業後に北海道へ戻り、2016年4月、福島町役場に就職し、教育委員会で働いた。スポーツ少年団で相撲を教えていて、心が揺れた。「子どもたちが頑張る姿を見て、もう1回(自分が)挑戦したいと思った」

 運が良かった。この年の秋、角界の新弟子検査の年齢制限が23歳未満から緩和され、格闘技などで一定の実績があれば25歳未満まで受けられるように。「迷いはなかった」とスーツを脱ぎ、23歳で受検した。

 しこ名は「9画がいい」という中大の先輩の助言で、本名の山本(8画)に1画加えた。最近SNS上では、一山本が勝つごとに「二山本」「三山本」と増やしていくのが話題になっているといい、自らもついつい検索してしまうそうだ。

 勝ち越しに王手をかけ、報道陣からこの話題を振られた「七山本」は「八山本になれるように頑張ります!」。にやりと笑った。

(鈴木健輔)

=朝日新聞デジタル2021年07月13日掲載

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