ラクロス

明治大・合田心平主将「ラクロスをやって良かった」、悲願の学生日本一は後輩に託す

コロナ禍で迎えたラストイヤー、主将の合田(1番)は「つらいことしかない」と思うこともあった

第33回関東学生ラクロスリーグ戦FINAL4

10月16日
明治大学(Bブロック1位) 3-7 慶應義塾大学(Cブロック1位)

第33回関東大学リーグ戦は今年度もブロック戦となったが、そのブロック戦は勝利チーム同士がFINAL4進出をかけて戦うトーナメント方式で行われたため、負けたら終わりの一発勝負となった。そんな厳しい勝負の中、明治大学は2年連続でFINAL4に進出(昨年はリーグ戦代替大会)。そんな“HUSKIES”の大会を振り返る。

明治が7年ぶりの準決勝 慶應に敗れ、小野沢憲太主将から仲間へ「ありがとう」

波乱続きの一発勝負

今年度の男子1部は強豪の早稲田大学や東京大学なども初戦で敗れるなど、波乱の展開となった。明治大の初戦の相手は学習院大学。試合はロースコアの展開になり第3クオーター(Q)で1点リードを許す展開に。「引退がよぎった」とMF阿部海斗(4年、明大中野)は振り返る。しかし第4Qに阿部の得点を皮切りに9得点を奪い、11-3で初戦を勝利した。

続く2回戦では東京大学を倒した明治学院大学と対戦。強豪を倒して勢いに乗る相手に序盤から果敢に攻め、リードを広げる。終盤、控え選手に交代し追い上げられたものの、8-4で逃げ切り、2年連続でFINAL4進出を決めた。

FINAL4の相手は今年も慶應義塾大

そして迎えたFINAL4、慶應義塾大学戦。昨年度と同じ舞台で敗れた宿敵だ。「去年の借りをしっかり果たす」と主将のG合田心平(4年、川越東)も気持ちを引き締めた。試合は開始早々に先制を許し、2点を追う展開に。それでも「点をとられることは想定していた」とMF大浦凛太朗(4年、春日部)。選手たちに焦りの色は見られなかった。その後、相手選手が反則により1分間退場している隙に、AT石見晴(4年、明大明治)がショットを決める。しかし第2Q、相手に1点を奪われ、1-3で前半を折り返す。

いよいよ後半。明治大は3点目をとられて以降、再三のピンチを必死のディフェンスで耐えて追加点を許さなかったが、第3Qの8分に4点目を奪われ、厳しい展開に。しかし大浦が1対1で相手を切り崩して生まれたシュートチャンスをものにして食らいつく。「自分の得意の形に持っていくことができた」と大浦は言う。その後、阿部とAT小山恭兵(4年、古川三)が連続でショットを放つも、枠をとらえられず。

大浦は慶應義塾大戦で2得点を決めた

迎えた第4Q、明治大は最初のフェイスオフでボールを保持し、積極的にゴールを狙う。ただここも枠外や相手のゴーリーに阻まれ、得点を奪えない。「ショットを決め切れなった」とMF田部井明日翔(3年、明大明治)は焦りを感じていた。今度は明治大の選手が反則をとられて1人少ない状態となり、得点を奪われる。その後、大浦がこの日2得点目を決めたが、終盤、相手に2得点を許してしまう。最終スコアは3-7で今年度もFINAL4で涙をのむ結果となった。

合田主将「自分がひたすら前を走って」

FINAL4で慶應義塾大に負けてから1年。チームは学生日本一を目標に合田の下、厳しい練習に励んできた。ただコロナ禍という状況下で、リーダー陣を中心に多くの困難を強いられた。「つらいことしかないラクロス生活だった」と合田はこぼす。練習ができるか分からない中、選手たちの間でもモチベーションに差があった。それでも「自分がひたすら前を走って誰よりも熱く激しくやっているところを見せるしかない」と、合田は主将として常に前を向きチームを鼓舞してきた。

その姿勢に後輩もついてきた。「この人を信じてやっていけば勝てる」と田部井は勇気づけられたという。主将の前向きな姿勢がチームに一体感を生み出し、チームの成長へとつながった。その結果、合田も「今年のチームは強い」と自信を持って試合に臨むことができた。

強さの礎、次代につなぐ

「ラクロスをやって良かった」。慶應義塾大に敗れて学生日本一の夢がついえたが、合田はそうはっきりと口にした。つらいことの方が多かった4年間のラクロス生活。それでも乗り越えられたのは仲間がいたからだ。「最後まで一緒にやってきてくれて同期も後輩も含めて『ありがとう』と言いたい」

今年も同じ相手にFINAL4で敗れた悔しさを抱えながら、学生日本一の夢は後輩たちに託す

昨年度は7年ぶりのFINAL4、そして今年度は2年連続でFINAL4。“HUSKIES”を強豪の一角に押し上げた4年生は引退を迎えた。「日本一をとれるチームになってきているから、ここから成長して来年、全国で戦えるのを楽しみにしています」。合田主将を中心に作り上げた“HUSKIES”の強さの礎。これを更に高みに押し上げることが、後輩たちに託された役目だ。

in Additionあわせて読みたい