ラクロス

明治が7年ぶりの準決勝 慶應に敗れ、小野沢憲太主将から仲間へ「ありがとう」

明治は7年ぶりとなる準決勝に挑み、慶應の前に敗れた(全て撮影・松永早弥香)

関東学生ラクロス特別大会男子1部 準決勝

11月22日
明治大学(B1位)3-5 慶應義塾大学(A1位)

11月22日、関東特別大会男子1部の準決勝が行われ、慶應義塾大学と明治大学が対戦した。今年は特別大会ではあるが、明治にとっては関東大会で準決勝に挑むのは7年ぶりだった。「下馬評でも慶應の方が上と言われているけど、先制点をとられても点差が開いても、平常心で戦おう」と明治主将の小野沢憲太(4年、県立相模原)は仲間に声をかけ、大舞台に立った。

最後の最後までフルフィールドで攻め続けた

慶應は試合開始のフェイスオフを取り切り、開始2分で先制点。試合再開のフェイスオフは明治が制してシュートまでもっていくが、相手ゴーリーに阻まれる。慶應の攻撃に対し明治は徹底したチェックでボールを奪い、山﨑貫太(4年、都立文京)が同点弾。さらに明治のゴーリー合田心平(3年、川越東)も好セーブを見せる。ディフェンスの勢いを受け、明治はフルフィールドオフェンスをしかけて点を重ね、3-1に。

慶應の石井(左)がフェイスオフを制し、チームに流れをもたらした

第1クオーター(Q)終了間際のファウルで、第2Qは慶應ボールからスタート。流れを変えたい慶應は主将の立石真也(4年、慶應)のシュートで反撃に出る。石井ヴィクトール慶治(2年、慶應義塾ニューヨーク学院)がフェイスオフを取り、慶應の攻撃が続く。9分には中林翔央(2年、慶應義塾ニューヨーク学院)のロングシュートが決まり、3-3で試合を折り返す。

第3Q最初のフェイスオフは明治が制したが、シュートは枠外。7分には明治のファウルでひとり少ない状況となり、その間に慶應が決めて逆転。第4Q最初にも慶應が決め、3-5と点差が開く。明治はゾーンディフェンスで守りを固める。さらにフルフィールドオフェンスで最後まで攻め続けたがシュートが決まらず、試合終了となった。

慶應の猛撃にし対し、明治の合田は好セーブを連発した

試合後、明治の鈴木尚敏アシスタントコーチ(AC)は「ゾーンや切り替えなど準備してきたことはできたかなと思っていたんですけど、パスや点を取りきるところなど細かいところで差が出てしまいました。ゲーム内容的には僕らが勝ってもおかしくなかった」と振り返る。小野沢も「4Qの最後の最後で、自分を含めた幹部陣のミスでボールがつながらなくて、決めるべき人が決められなかった」と悔しさをにじませた。

因縁の相手・東大にも戦略で勝利

明治は過去6年、関東リーグのファイナル4に進めていなかったこともあり、チームは「関東制覇」を目標に掲げていた。6月に全国大会中止が発表された時も、「僕たちはそれほど目標が変わった感じはなかったので、気持ちもあまり変わらずにいけました」と小野沢は振り返る。新型コロナウイルスの影響で練習ができなかった間、オンラインで戦略的に戦うための知識共有を重ね、7月1日に練習が再開されてからはスムーズに実践できたという。

それでも、特別大会前の練習試合では1試合しか勝てなかった。特別大会は2試合の結果でブロック順位が決まる短期決戦。小野沢は強い言葉でチームに活を入れてきた。そんな小野沢に対し、鈴木ACは「誰よりもラクロスが好きで、一番練習をしていました。そういった部分が後輩も含め、一緒にやっていこうとみんなに思わせてあげられていたんじゃないですかね」と言う。

特別大会の同じ組には過去2大会連続準優勝の東京大学がいた。「僕たちが入部してから試合で勝ったことがない」と小野沢が言うような“因縁の相手”だ。徹底的にスカウティングしてチーム内に情報を共有し、対東大戦の戦略を練り上げて挑んだ。試合は7-5での勝利。ブロック1位で7年ぶりとなる準決勝を迎えた。

小野沢(右)はこの4年間、チームの誰よりもラクロスに打ち込んできた

そして慶應に敗れ、「関東制覇」への挑戦は終わった。小野沢は勝つためにチームメートへ強い言葉を投げかけ、ときには後輩を萎縮させてしまったこともある。それでも主将の自分についてきてくれたチームメートに対し、「とくに後輩の成長がなければここまでこられなかったので、『ありがとう』という言葉を伝えたいです」と言う。これからを担う後輩に対して、「だいぶ成長してくれたので、自分からは何も言うことはないです」と言い切った。

ほおには涙の跡。それでも小野沢はすがすがしい表情だった。

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