ラクロス

中央が4年連続で思い知らされた早稲田の壁、この悔しさも後輩が成長する力になる

中央主将の松木は試合前、「新しい記録を残そう」とチームメートに呼びかけ、4年連続となる早稲田戦に臨んだ(全て撮影・松永早弥香)

関東学生ラクロス特別大会男子1部 準決勝

11月21日
中央大学(C1位)6-7 早稲田大学(D1位)

11月21日、関東特別大会男子1部の準決勝が行われ、早稲田大学と中央大学が対戦した。中央は過去3年連続で早稲田に敗れている。とくに昨年は準決勝でサドンビクトリー(延長戦)にもつれこんでの敗北だった。今年こそはと強い気持ちでぶつかったが、6-7で悔し涙を流した。

中大・小松勇斗 ラクロスを通じて生まれたプライドと野心で世界を目指す

食らいつく中央、勢いにのせない早稲田

最初のフェイスオフを中央が制し、すぐにシュートを放つもゴールの枠外。さらに中央の攻撃が続き、津久井健太(4年、Brookswood Secondary School)が先制点。試合再開のフェイスオフも中央がものにし、今度は大谷昇平(3年、桐光学園)が決め、試合早々に2-0と流れをつくった。早稲田はタイムアウトを要求。ここで切り替えた早稲田は試合再開のフェイスオフを制するとすぐにゴール前に詰め、2-1。続くフェイスオフも早稲田が取り切り、2-2と試合を振り出しに戻した。速い展開で両者の攻防戦が続き、3-3で第1Q終了。

第2Qも激しい攻防戦が続き、双方のゴーリーが好セーブを見せる。早稲田に得点を許した後、追い上げを狙う中央はファウルにより2分間の一時退場者を出してしまう。さらに早稲田はパス回しから隙間を狙ってシュートを決め、3-5で試合を折り返す。

早稲田はボールを奪うと速い展開でゴールをおびやかした

第3Q、早稲田のファウルで一時退場者が出ている内に中央の荒井優斗(4年、中大杉並)が決めて4-5と1点差に迫るが、逆に中央から一時退場者が出ているタイミングに攻められ、また2点差へ。中央は相手の陣地内にボールをつなぎきれない。第4Qでは早稲田の動きに対応して攻め方を変え、シュートチャンスを増やす。中央の茂木良介(4年、都立駒場)が2点目を決めてまた1点差にしたが、早稲田もすぐに決め返す。さらに中央の荒井が2点目を決めて追い上げたが、ここで試合終了。

試合を振り返り、中央主将の松木悠(4年、中大杉並)は「ディフェンス陣はいい形で守ってくれましたし、自分たちのポゼッションになることも多かったんですけど、なかなか相手陣地にボールを運べず、自分たちのオフェンスを始められなかった。決定機が何度かあったんですけどそれを決めきれなかったことが、自分たちを苦しめてしまったのかな」とコメント。やりたい戦術がまだまだあっただけに無念さが残った。

「今年の負けにも価値が出てくる」

前述の通り、中央は早稲田と4年連続での対戦となった。3年前は中央が初めて準決勝に進んだ年で、早稲田に5-9で敗れた。大きく点差は開いていないが、チームには「完敗」という印象が強く残った。その翌年にはリーグ戦で対戦し、11-12と1点差にまで迫った。そして昨年、また準決勝で早稲田とぶつかった。早稲田のリードで試合は進んだが中央が食らいつき、最後に追い上げての7-7。その勢いでサドンビクトリーに臨んだが、残り30秒で早稲田に決められてしまった。

中央は4年生の松木と小松(右)が攻撃の起点となっていた

先輩たちの悔し涙を見てきただけに、今年はなんとしても勝ちたかった。試合前、松木は「今年こそ早稲田に勝って、ファイナル4の壁を越えて、新しい記録を残そう」とチームメートに声をかけた。新型コロナウイルスの影響で練習ができなかった間も選手一人ひとりが考えて行動し、高いレベルを維持して今大会に臨んだ。自信をもって、全て出し切って、今年こそは決勝にいくという強い思いで早稲田にぶつかった。それでもあと一歩、届かなかった。

ただこの1年はとくに、一人ひとりのスキルだけではなく組織としての力も高めることで、来年以降も強いチームを維持できるように強化できたという自負がある。松木自身、これまでの敗戦の悔しさや経験がチームの土台となり、少しずつチームが成長し、早稲田との差も縮まってきたと感じている。

今年の悔しさも力に変え、来年こそは早稲田超えを狙う

「負けてしまったので、それで出し尽くした、というのはなかなか難しいと思う」と率直な思いを口にする一方で、「でも来年以降につなげてくれるなら、今年の負けにも価値が出てくるのかなと思っています」と、後輩たちに思いを託した。この悔しさも、後輩たちと笑顔で勝利を祝えるその日まで。

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