東北大学の松浦崇之、6大会連続出場の院生は歩いて鍛え大学記録更新目指す
全日本大学駅伝に6大会連続出場する松浦崇之(修2年、越谷北)は東北大学のエースだ。チームの2大会連続15回目の出場切符を自らの走りで引き寄せた。9月の東北地区選考会(6校が参加し、16kmと10kmの部を各校4選手ずつ走り8選手の合計タイム)の16kmの部では独壇場だった。
地区選考会で他大学寄せつけず
スタート直後から先頭に出ると、すぐに一人旅になり、48分34秒で走破。出場した24選手で唯一、50分を切った。松浦は「自分の役割は果たせたかなと思う」と涼しい顔で語った。昨年のタイムが50分台だったことからも、この1年でさらに成長したことがうかがえる。松浦は記録が伸びた要因について冬場に練習の一環で行った「競歩」を挙げる。昨秋に右足を負傷してからしばらく強度の高い練習ができなかった。そんな中、競歩を専門にする選手と一緒にほぼ毎日2時間歩くことを1カ月間続けた結果、持久力の向上につながった。松浦は「長い距離を苦にせず走れるようになった。『中距離型』から『長距離型』に体が変わった」と手応えを口にする。
選考会ではチームとしても他大学を寄せ付けない圧倒的な強さを見せた。16㎞の部では7位までに4人全員が入った。10㎞の部でも1位になった主将の井上大輝(4年、安積)を筆頭に大きく崩れる選手はおらず、合計タイムで2位の岩手大に8分以上の大差をつけた。
8区で伊勢神宮へ
松浦は前回と同じ最終8区にエントリーされた。日本学連選抜の一員として出た大学4年時を含め、6大会連続出場の「偉業」になる。同じ大学駅伝でも箱根は、大学のメンバーとしてエントリーできる回数が1人4大会までと定められている。出場回数の制限がない全日本だからこその記録でもある。
大学院では地球温暖化をテーマに学んでおり、現在は海中の二酸化炭素について解析しているという。研究が忙しい時期は月間走行距離がゼロになることもあるというが、「大変とは思わない。毎日陸上に頭を使わないことが、逆にリフレッシュになっている」。もちろん大学院生として研究発表もあり、「陸上と研究のバランスが大事になってくると思う」と話していた。
「学生3大駅伝」初戦の出雲駅伝(10月10日)では東北学連選抜のメンバーとして1区(8.0km)を走り23分48秒の4位と大健闘。1位だった青山学院大学の近藤幸太郎(3年、豊川工)とは7秒差、多くの関東勢にも先着し力のあるところをみせた。
前回大会では8区で区間16位だった。松浦がさらに順位を上げれば2004年にマークした東北大記録である5時間41分20秒(18位)の更新もみえてくる。4年前の大会であと5秒まで迫ったが、そのとき2年生だった松浦は「あのときと同じくらいかそれ以上で走れる総合力はある」と記録更新を視界にとらえる。
鍵になるのは松浦と同じ大学院修士課程2年生の踏ん張りだろう。東北地区選考会では脇田陽平(一宮)が松浦に続く2位、立野佑太(藤枝東)が6位と健闘した。前回と同じ1区にエントリーされた立野は「後輩も力をつけているが、やっぱり僕ら院生が勢いをつけられるかが大切になってくる」と意気込む。前回大会は最下位(25位)に終わった。雪辱に燃える松浦ら主力の大学院生にとって、文字どおり集大成の伊勢路となる。