立命館大・御崎舞、杜の都でトラウマを乗り越えて見つけた「自分が輝ける場所」
10月31日、宮城県仙台市で全日本大学女子駅伝対校選手権大会が開催された。弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)をスタートし、仙台市役所前市民広場をフィニッシュとする38.1kmのコースを6人で走り切り、立命館は4位でゴールテープを切った。タイムは2時間6分30秒。3位との差は7秒で惜しくも表彰台は逃したものの、好成績を収めることができた。
トラウマを乗り越え、2年目のリベンジ
今年の駅伝が最後となる4年生の御崎舞(筑紫女学園)は今回の駅伝を振りかえり、「後半は少しペースが落ちてしまいましたが、そこでもう一回力を振り絞って走ることができたので、その勢いだけはどこの選手にも負けないんじゃないかなって思います」と笑顔で締めくくった。実は御崎は、この駅伝に一種のトラウマを抱えていた。駅伝初出場の時、御崎は2年生ながらも1区に抜擢され、全員の期待を背負ってスタートをきった。しかし結果は区間16位。その後の選手がなんとか3位まで引き上げたものの、御崎には大きな心の傷となった。立ち直るには約2年かかったと御崎は言う。
「2回生の時にすご悔しい結果になってしまい、レースに出ることすら怖かったです。しかし1回どん底に落ちたからこそ、ここからは這い上がるしかないと思ってやってきました。そこからまた戻って来れて今日走ることができたのは本当によかったなと思います」。今回の駅伝では、ラストスパートで追い上げを見せた御崎。後半ではスランプ期間を支えてくれた仲間や恩師を思い浮かべながら力を振り絞ったという。「ラストスパートを走っている時はもう、『あー!』って今までの思い出を噛み締めて走っていました」と照れ臭そうに語った。
2区は「つなぎの区間」ではない
今年の走順は、下級生が重要な区間を担当するようになっていた。1区で村松灯(1年、立命館宇治)が飛び出し、次に御崎、飛田凛香(3年、比叡山)、平岡美帆(3年、舟入)ら上級生が間を繋ぎ、最後は中地こころ(1年、立命館宇治)、そして小林朝(2年、須磨学園)の順でタスキをゴールへ繋いだ。2年前に1区を担当した御崎は、村松に昔の自分を重ね合わせていた。「今回は下回生の子たちに負担の大きい役割を任せてしまいました。自分も2回生で1区を担当して苦い思い出があるので、彼女にはその思いで終わって欲しくないと思っていました」
御崎が担当した2区は、華やかな1区やアンカーと比較して「つなぎ区間」と呼ばれることもある。しかし御崎は、チームの一員としてプライドを持って2区ならではの役目を見出していた。「自分自身では、つなぎの区間という感覚はあまりありません。他のチームではつなぎになるような区間でいいタイムを出すことによって差も広がり、順位は大きく動くと思います」。そして「他のチームがつなぎの区間と考えているからこそ、自分自身が輝ける場所なんじゃないかと思います」と自信を持って語った。
周りへの感謝の気持ちを忘れない
インタビューには終始笑顔で丁寧に応対してくれた御崎。彼女の言葉の節々には仲間や恩師への感謝が散りばめられており、短い時間でも暖かい性格が垣間見れた。最後には「下回生に支えてもらっている部分は大きく、チームの雰囲気もとても良いです。ふとした時にチームが好きだなあと思います」と微笑みながら話してくれた。御崎にとっては最後の駅伝。トラウマを払拭するパワーをくれたのは、周りの人々の暖かい支えだった。御崎の芯があり優しい性格は、彼女の競技人生だけでなく周りの人々も明るくしていくだろう。