陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

全日本大学駅伝、裏方のみなさんに注目して振り返ってみました

右から岐阜協立大学・揖斐祐治監督、M高史、トヨタ自動車・内田直将さん、トヨタ紡織陸上部・糟谷悟さん
全日本大学駅伝、報道バスに乗って取材してきました!

今回も11月3日にあった全日本大学駅伝の話です。前回のコラムでは報道バスの様子を伝えさせてもらいましたが、次は裏方のみなさんについて書いてみたいと思います。マネージャーさんや卒業生のみなさんのサポートにも注目しました!

早稲田の主務は創造理工学部!

まずは、早稲田大学の平子凛太郎主務(4年、磐城)。前週の箱根駅伝予選会で9位通過と思わぬ苦戦を強いられましたが、中7日で迎えた全日本大学駅伝では6位とシード権を獲得しました。「全日本は3番を目標にしていたので悔しさもありますけど、シード権をとれたというホッとした気持ちもあります。予選会、全日本と連戦になりましたが、選手が走りやすいような環境作りを心がけました」

大きなレースが続いて準備、手配、メディア対応など大変だったのでは? 「何が必要かを整理して、やるべき準備をしてきました」。理路整然と話してくれました。平子主務は創造理工学部で学んでいます。早稲田の理工といえば、勉強も大変なはず!

早稲田大学の平子凛太郎主務(中央)と知野亨トレーナー(写真提供:EKIDEN Newsさん)

相楽豊・駅伝監督によると「学部の勉強が忙しく、研究室にこもりっぱなしになることも多いです。練習や合宿のすべてに帯同できるわけではないですが、マネージャー業と学業を両立して頑張ってます」。平子主務の働きぶりをたたえていらっしゃいました。

学生の本分である勉強も、チームを支える主務としての役割も、何事にも全力投球の平子主務にこれからも注目したいです。

立命館を支える元選手の女子マネージャー

続いて、立命館大学の岡本紗弥マネージャー(2年、宝仙学園)。岡本さんは2区の高畑祐樹選手(4年、水口東)の付き添いを務めました。選手と同じく午前3時に起床し、同じ時間帯に朝食をとり、スタートの熱田神宮へ。そして輸送バスで2区へ移動しました。招集の時間まで選手に付き添い、新たな情報があれば伝えます。

「あまりプレッシャーをかけないように、プラスになるような声かけを心がけました」

高畑選手を送り出すと、走り終えた1区の岡田浩平選手(3年、洛南)と一緒に、大会のバスでフィニッシュ地点へ向かいます。バスの中ではテレビでレース展開をチェック。ツイッターでも情報を確認。チームのグループLINEでタイム差などをすかさず共有します。

立命館大学の高尾コーチと岡本マネージャー

岡本マネージャー自身、中学と高校時代は長距離選手で駅伝にも出場していました。「選手の立場を考えてサポートすることを心がけてます。選手がいい結果を出したときはやりがいを感じますし、選手から『ありがとう』と言われたときはうれしいですね!」

期待を受けた中での12位ということで悔しい結果に終わりましたが、「打倒関東」を掲げる立命館の挑戦は続きます。

駒大の後輩たちの動きは?

僕の母校駒澤大のマネージャーさんたちにも話を聞きました。1区スタート前の担当は青山尚大主務(3年、中京大中京)。朝3時起きで中村大聖選手(4年、埼玉栄)のサポートです。駅伝主将のスタートを見届け、フィニッシュ地点へ移動しました。

中村大聖選手につきそう青山主務。朝3時から行動をともにしています

一方で女子マネージャーの大林莉子さん(4年、旭川龍谷)、清水千咲さん(2年、横浜商大高)、直崎京花さん(1年、大島)は1区のスタートを見送ったあと、4区に立ち寄って応援、そしてフィニッシュに移動。荷物車が到着すると荷物を受け取り、駒大の“陣地”で待機します。

駅伝の前にはスタッフの動きをまとめた資料を入念に準備します。行動スケジュールを記録しておき、翌年のマネージャーに役立ててもらいます。

レース後、恩師の大八木弘明監督にお会いしましたが、とても悔しそうでした。陸上への情熱、選手からの信頼、熱い檄(げき)は何年たっても変わらないと、改めて感じました!

伊勢路OBのみなさんもサポート

内田直将さん、糟谷悟さんなど全日本大学駅伝の優勝経験者である駒澤大OBの先輩も母校のサポートにいらっしゃってました。現役のみなさんも心強いですよね。

また同じく駒澤大OBの高林祐介さん、井上翔太さんも車の送迎などで母校のお手伝いに駆けつけてくれました。井上さんは「また今年もこの時期がやってきたという気持ちです!」と、笑顔で話してくれました。

4区でタイム差を計測する駒澤大・大林マネージャー(撮影・安本夏望)

高林祐介さんは2区の付き添い。そこから3区、4区、6区、7区、8区に回って補欠だった選手と声をかけてまわったそうです。三重県出身という“地の利”を生かして、卒業してからも母校に貢献しています。

ほかの大学でも東海地区近隣出身や在勤の卒業生を中心に、OBやOGがサポートや応援に駆けつけるそうです。いま走っている選手たちの支えになりますし、選手も卒業後あるいは競技引退後にまた母校のお手伝いに。そういう支えの襷(たすき)リレーが実は大切になってきますね!

名選手が監督として臨む全日本

東海学連選抜の監督を務めたのは駒澤大OBで岐阜協立大学の揖斐祐治・駅伝監督。選手時代は4年連続で全日本大学駅伝に出場し、優勝3回、準優勝1回。監督自身も3区の区間賞を3度も獲得しています。

「学生時代は駒澤大学と順天堂大学との勝負で紫紺対決と呼ばれて、全日本でも常に優勝争いをしてました。前回から中継所が変更になり、各区間の距離も変わったので、区間配置のバリエーションが増えましたね」。東海学連選抜については「よく頑張ってます。合同合宿があったり記録会で各大学がよく顔を合わせたりするので、チームワークもいいです」と、監督としての顔も見せてもらいました。

今回はチームメイトとなった東海学連選抜のみなさんも、次回はそれぞれの選手が単独チームでの出場を目指し、よきライバルとして東海地区選考会に挑むことになりますね! 注目していきたいと思います。

元中央大陸上部主務・木村泰人さんが描くマラソンの未来予想図

M高史の陸上まるかじり

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