全日本大学駅伝、報道バスに乗って取材してきました!
11月3日は全日本大学駅伝の現場へ行って参りました。
スタート地点の熱田神宮は、織田信長公が1560年の桶狭間の戦いを前に必勝祈願したと伝えられています。いま大学駅伝は戦国時代を彷彿とさせる群雄割拠。優勝争い、上位争い、シード争いまで目まぐるしく、優勝候補のチームも少しのミスでシード圏外まで落ちてしまう、まさに戦国駅伝! アンカー勝負までもつれる大接戦の末、東海大が16年ぶりの優勝を飾りました!
個人的には大学4年生のとき以来、13年ぶりの伊勢路。そして初めて報道バスに乗せていただきました。今回のコラムでは、報道バスに乗って気がついたこと、そして今大会で気になったシーンについて書こうと思います。
報道の皆さんも1分1秒の戦い!
まず報道バスに乗るには報道機関からの事前申請が必要です(私、M高史は4years.編集部で申請!)。当日は朝7時に報道バスの受付を済ませます。そのあとはスタートまで時間があるので、オーダー用紙で当日区間変更になった選手を確認。各校の監督さんに取材するメディアの方や、ウォーミングアップに励む選手を撮影するカメラマンの方もいます。
8時までにはバスに戻って席に座ります。8時5分の号砲のあと、選手の後ろからバスもスタートします。
監督車はバス3台に分かれますが、報道バスは1台です。最初、監督車①〜③の後ろについていきますが、中盤あたりから先頭と後方チームとの差が大きくなってくると、上位チームの監督さんが乗る監督車①について行動します。
バスの中ではテレビモニターがあります。車内から選手の写真を撮る方もいますが、基本的には静かです。車内が沸いた場面といえば、3区での東洋大・相澤晃選手(4年、学法石川)のゴボウ抜き! 相澤選手の圧倒的なスピードとダイナミックで美しいフォームに車内からも「おおお!」という歓声が。
そして、増田明美さんによる監督車からのユーモアあふれるリポートの様子が放送されると、報道バスの中も笑いの渦に包まれました(笑)。
途中、コンビニエンスストアの駐車場などに停車。監督さんたちは指示やタイム差を沿道から選手に伝えると、すぐバスに乗り込みます。報道陣のみなさんも同じ動きをします。トイレに行く時間もほとんどないので、報道バスに乗るときは朝から水分補給は最低限にして、のど飴などで喉を潤すのがオススメだとわかりました!
今回、僕は初めての報道バスということで、「気合いを入れよう」と朝からブラックコーヒーをガッツリ飲んでしまい……。途中でトイレに行きたくなりましたが、行列ができていてたどり着けず、レース終盤になってようやくトイレに行けてホッとしました(笑)。
報道バスではお弁当も出ます。走っている選手のみなさんと違ってバスに乗っているだけなのですが、お腹はへります(笑)。バスに乗りながらも手に汗握る展開、レース後どんな取材をするか、どんな記事を書くかなど、頭をフル回転しながら乗車しているからかもしれません!
フィニッシュ地点には選手よりも先に着くので、報道関係のみなさんはそれぞれの仕事場でスタンバイされます。
区間賞を獲得した選手や先頭で襷(たすき)リレーした選手はテレビでインタビューされますが、レース後はそれ以外の選手や監督さんのコメントも気になりますよね! レース結果やコメントをいち早くみなさんにお知らせするのが、報道のみなさんの仕事でもあります。
選手のみなさんが1分、1秒を争う駅伝のように、ライターさんも少しでも早く駅伝ファンのみなさまに記事を届けようと、時間との戦いです。こちらも戦国駅伝と言われる大会同様にライターさん同士、各メディア同士の競争も熾烈(しれつ)です!
また、報道バスには乗っていませんが、大学スポーツ新聞の学生さんたちもプロのライターさんに交じって熱心に取材をしていました。
駅伝の「流れ」を痛感
報道バスに乗っていて改めて思ったのですが、全日本大学駅伝のコースは全体的に直線が多いです。選手がよく「前の選手が見えてこないと精神的にキツい。逆に前が見えてどんどん近づいてくると勇気がわいてくる」といったコメントをしていますが、バスに乗っていても選手が近づいたり離れたりする様子がハッキリと分かるので、走力とともにメンタルもやはり大切だなと実感しました。
とくに、先頭の選手は白バイや中継車の後ろを走るので、風よけにもなりますし、沿道の大声援を浴びてきっと気分よく走れるのかなぁと思いました。タイム差によってはプレッシャーの方がすごいかもしれませんね(汗)。
給水シーンでの出来事
沿道側に給水テーブルがあり、すぐ隣を並走していると車道側の選手が取れないこともあります。この日は途中、気温も上がり汗をたくさんかく選手が目立ちました。
そんな中、駒澤大の2区を走った小林歩選手(3年、関大北陽)、早稲田大の4区を走った千明(ちぎら)龍之佑選手(2年、東京農大二)は自分が給水したあとに、隣(車道側)を走っていた選手にボトルを渡していました!(バスから僕が気づいたのは、この2選手だけでした。ほかにもいらっしゃったらごめんなさい!)
いい光景だな、素晴らしいスポーツマンシップだなと思いましたし、自身の調子もいいからできることなのかも、と思いました。小林選手は快走した東京国際大の伊藤達彦選手には抜かれましたが、各校の主力選手が集まる2区で2位を死守する粘りの走り! 千明選手は4区で区間3位、早稲田大を8位から4位に押し上げる好走を見せました。
こういう走り以外の部分でも選手の人柄が伝わってくると、応援したくなりますよね!
というわけで今回は全日本大学駅伝、報道バスのお話でした。次回のコラムでは、全日本大学駅伝を裏方として支えたみなさんにスポットを当てたいと思います。