引退した斎藤佑樹さん、故郷のバスケ会場で小児がん治療の支援活動
群馬県太田市出身の元プロ野球選手で「ハンカチ王子」の愛称で甲子園を沸かせた斎藤佑樹さん(33)が11日、プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の群馬クレインサンダーズの試合会場・太田市運動公園市民体育館を訪れ、社会貢献活動に参加した。斎藤さんの応援を受けたサンダーズは90―87で信州ブレイブウォリアーズを下した。
斎藤さんは試合前、地元のぐんま国際アカデミー高等部の生徒らが取り組むレモネードの販売で小児がん治療の研究に役立てる社会貢献活動に参加した。「多くの方に知ってもらい、一人でも多くの小児がん患者が救われるよう願っています」と高校生を激励。
斎藤さんが高校生とレモネードスタンドに立つと、行列ができた。運営責任者で高等部2年の松岡優さん(17)は「生で見る斎藤さんは格好いい。すごい人気ですね。いつもの倍ぐらいの人が来てくれました」。この日の売り上げと募金は7万8668円(レモネード423本分)になった。
レモネードは伊勢崎市に工場があるポッカサッポロフード&ビバレッジが商品を提供している。プロ野球日本ハムのスポンサーでもあり、斎藤氏に協力をお願いしたという。
斎藤さんは、太田市で過ごした小中学校で野球の技術を磨き、東京の早稲田実業に進学。3年生だった2006年夏の選手権大会はエースとして田中将大投手(楽天)の駒大苫小牧と決勝を戦い、引き分け再試合の末に破って優勝した。マウンドで顔の汗をハンカチでぬぐう姿から「ハンカチ王子」と呼ばれ、社会現象にもなった。早大でも活躍し、プロ野球日本ハムでは11年戦い、今年10月で引退。通算15勝26敗だった。
■野球以外のことも、今後の活動について語る
バスケの試合観戦は「初めて」という斎藤さんは前半終了後、「他競技を見るのは新鮮。エンターテインメント性は野球界も取り入れるべきだ。楽しかった。スポーツの力で多くの方が盛り上がっている。僕も勇気をもらった」と話した。
今後の活動は「野球を軸にして野球以外のことにも取り組みたい。僕にしかできないことは何か。早くみつけたい」と話した。
サンダーズは第3クオーター(Q)までリードを許したが、粘って第4Qに逆転し、逃げ切った。笠井康平選手は「みんなが走り、最後に勝てて良かった」。
(柳沼広幸)=朝日新聞デジタル2021年12月12日掲載