バスケ

特集:第72回全日本大学バスケ選手権

筑波大・菅原暉「自分なりのキャプテンシー」 全てに秀でたガードが狙うインカレ連覇

前回のインカレで菅原は正ポイントガードとしてプレーし、チームの優勝に貢献した(撮影・全て小沼克年)

フィジカル、ゲームコントロール、安定感、ディフェンス、シュート、アシスト……。菅原暉(筑波大4年、土浦日大)の魅力を挙げればキリがない。「その中で一番は?」と言われたら余計に頭を抱える。「一番自信を持っているプレーは何ですか?」と、当の本人に尋ねても、ひとつには絞れなかった。

「ディフェンスで相手を嫌がらせること。あとは試合をクリエイトする力。クリエイトしながらも自分で点を取って、パスもさばける。今はスリーポイントも武器にしようと練習に励んでいるところです」

筑波大、3年ぶり5度目のインカレV 4年生が動いて変わったチームの結束
日大・杉本天昇、天性のスコアラーは最後のインカレでも点を取って取って取りまくる

大学一のPG、頼もしい主将、オフではかわいい先輩

菅原と小学校の頃からの顔見知りで、高校時代は土浦日本大学高校(茨城)で苦楽をともにした盟友の杉本天昇(日本大学4年)に言わせれば、「安定感やディフェンスの強さもありますけど、コートビジョンがいい。僕みたいなシューター陣も常に見てくれていて、ムーブの中でも欲しい時にバスをくれます。あとは自分で仕掛けて決めきる力もある。僕は大学で一番のポイントガードなんじゃないかなと思っています」と、今となっては対戦相手だが手放しでほめる。

今年筑波大に加入した三谷桂司朗(1年、広島皆実)は、以前取材した際にこんな言葉を残していた。「練習中はチーム全体をよく見ていて、雰囲気が重くなったりした時はすぐにチームを集めてまとめてくれます。試合中も常に落ち着いていてとても頼りになるキャプテンです」

余談かもしれないが、プライベートな部分では、「テルは見た目は爽やかかもしれませんけど、全然そんなことはない。自分からはあまりしないですけど、こっちが触ればちゃんとそれに応えてくれて、結構はっちゃけます」(杉本)、「オフコートになると頼もしいキャプテンからかわいい先輩に変わります」(三谷)とのことだ。

とにかく、今年の大学No.1ガードの呼び声高い菅原は、全てのプレーに対して質が高い。これといった弱点も見当たらない。昨年のインカレでも正ポイントガードとして筑波大の先発を務め、チームを日本一に導いた。シーズン終了後の2月にはB1リーグに所属する横浜ビー・コルセアーズと特別指定選手契約を結び、2試合のみだったが自身初の外国籍選手とのプレーも経験。「プロは学生バスケよりも役割がハッキリしている」と気づきを得て、「カードとしてクリエイトする力、スピード、シュート力がまだまだ僕には足りないなと感じることができた」と、ますます高い志を持つようになった。

インカレでは高さを生かした戦いを

「去年から主力として出ている自分、山口(颯斗、4年、正智深谷)、井上(宗一郎、3年、福大大濠)が引っ張らなきゃいけない」と、大学ラストシーズンへ意欲を示す菅原。筑波大はオータムカップ2020(リーグ戦の代替トーナメント)の登録メンバーに190cmオーバーを12人そろえ、その中で2mを超える選手も4人が名を連ねた。今年の最大の強みは、その「高さ」にある。

12月7日に開幕するインカレは、筑波大にとって大会連覇をかけた戦いだ。だが、オータムカップ2020は3位で終え、内容的には順位以上に苦しんだ印象が強い。その原因のひとつは大会直前から相次いだけが人にある。

けがの中で戦ったオータムカップ2020は3位に終わった。その悔しさを最後のインカレでぶつける

「大会前はパワーフォワードのポジションで浅井(修伍、2年、福大大濠)が結構フィットしていたんですが、最後の練習試合で捻挫。急きょ、木林(優、1年、福大大濠)や栗林(幹太、2年、諏訪清陵)という経験の少ない選手を起用しました」と吉田健司ヘッドコーチ(HC)。ほぼ固まっていた先発メンバーが組めず、初戦の中央大学戦では栗林に加え、先発出場した半澤凌太(3年、福島南)も負傷してしまった。

実は、菅原もオータムカップ2020の大東文化大学戦の前日に足首を痛めていた。「大東戦からセーブしながらやっていました。まずはしっかりけがを治して、(インカレでは)チームを勝利に導くプレーができるよう万全な状態で臨みたいと思います」

オータムカップ2020では“苦肉の策”で、高さを捨ててスモールラインナップを採用したことが功を奏した試合もあった。ただ、「できればビックラインナップで勝ち切りたい」というのが吉田HCの本音だ。

チームを統率する菅原も、その気持ちは一緒である。「今はスモールラインナップの方がやりやすいです。けど、筑波の強みは高さだと思います。ビッグマンでも小さい選手につける脚力をつけていかないと将来のためにもならないと思うので、そこはこれからも練習中から意識してやっていきたいです」

菅原が求めるのは「自分なりのキャプテンシー」

「今大会はオフェンスがうまくいかなかったことが多かった」と、今季初の公式戦を総括した菅原。インカレ連覇へ向けては、攻守において一つひとつの課題をクリアしていく必要性を説き、「ディフェンスからのブレイクという形がなかなか出せなかったので、もう一度ディフェンスにフォーカスして取り組んでいきたい」と見据えた。

オータムカップ2020の初戦を終えて応じた取材の中で、菅原にこんな質問が飛んだ。「今年はキャプテンとしてどんなチームを作りたいですか?」。それに対し、菅原はこう答えた。

「例年のキャプテンの真似をするというよりは、自分ができる形で表現したい。自分はリーダーシップを前面に出すタイプではないですけど、どのようにすればチームメートに伝わるかとか、引っ張れるかを自分なりに考えながらやっています。今年は下級生ともコート内外でコミュニケーションをとってきたので、去年よりも団結力があり、1年生と4年生でも何でも言い合える仲です」

リーダーシップで引っ張るよりも自分なりのキャプテンシーを貫き、チームとともに再び頂上へ

「自分なりのキャプテンシー」。それは現在の菅原が最も悩み、必要とし、筑波大が連覇を果たす上でも欠かせない要因になることは間違いない。菅原がその答えを出した時、筑波大は再び金色のメダルを掲げるのだろう。

in Additionあわせて読みたい