陸上・駅伝

特集:駆け抜けた4years.2022

立命館大・𠮷薗栞、悔しさを乗り越え「憧れのチーム」で最後の駅伝

𠮷薗(左)は最長区間の5区を走りきり、飛田に襷をつないだ

昨年12月30日に行われた富士山女子駅伝で2位を目標に掲げた立命館大学だったが、結果は4位と去年の3位から順位を落とす結果となってしまった。最上級生で、エース区間の5区を任された𠮷薗栞(4年、小林)にこれまでの陸上人生と今回のレースについて振り返ってもらった。

夢見たユニフォームだが、駅伝は悔しさの連続

宮崎県の西部、自然あふれる須木村(現・小林市)に生まれた𠮷薗は、幼いころから走ることが好きだった。9歳で陸上を始めた当時は短距離を専門としていたが、長い距離を走ることも好きだった𠮷薗は、中学で長距離へと転向した。そして、苦しい走りを終えた後の達成感に魅了され、地元の名門である小林高校に進学した。しかし、個人ではインターハイに出場することができたものの、駅伝では3年間を通して県大会で2位に終わり、都大路を走ることはできなかった。

高校での悔しさが残る中、𠮷薗は立命館への進学を決めた。𠮷薗は高校に入学したころから立命館に憧れていた。富士山女子駅伝は𠮷薗が中学2年生の時に始まったが、そこから𠮷薗の入学する前年まで立命館は5連覇を果たしていた。そんな立命館の活躍を見てきた𠮷薗は、憧れの臙脂色のユニフォームを着て走れるという喜びをもって初めての富士山女子駅伝に挑んだ。

けがなどもあり2、3年では思うように走れなかった。学生最後のレースも悔しい結果となった

しかしチームは3位となり、6連覇を逃してしまった。その時は気持ちを切り替えたが、けがなどもあり2回生、3回生時は富士山女子駅伝を走ることができず、不完全燃焼のまま最終学年を迎えた。

任せられたエース区間、応えられなかった期待

今年、𠮷薗が3年ぶりに富士山女子駅伝を走るというオーダーが発表された時、部内ではけがの多かった𠮷園が走れることに喜びの声が上がった。𠮷薗が走ることとなったのは5区、各チームのエースが集う最長区間だった。今シーズン調子を上げてきた𠮷薗だったが、他大学のエースたちは強力だ。そこで4区までに差をつけて上位で5区につなぎ、5区では順位を上げるというより耐えて順位を維持することを戦略として臨んだ。

3位でタスキをもらった𠮷薗だったが、5区は苦しい走りとなった。先行していた松山大に追いつかれると、さらに12位でスタートした拓大・不破聖衣来(1年、健大高崎)に4km地点で抜かされた。まさに一瞬のことで、ついていくことができなかった。

今後も競技を続ける𠮷薗。活躍する姿を見せることで母校に貢献したいと語る

その後も順位を落とし、結果として4つ順位を落とした7位でタスキをつないだ。区間順位は13位。「走れることを喜んでくれた仲間のためにも、私がもっと差を詰めていれば目標を達成できたかもしれない」と𠮷薗は振り返った。

目標を継ぐ後輩へ、実業団で見せたい姿

𠮷薗は卒業後実業団で競技を続ける予定だという。4年間で様々なことを学ばせてくれたチームに、実業団で活躍する姿を見せることで貢献したいと話す。前回から順位を落としてしまった立命館だが、下級生は軒並み高順位で走ることができている。「様々な困難を乗り越え最後の舞台を走り切った自分が実業団で活躍する姿を見せれば、後輩たちにとってもモチベーションになる」と𠮷薗は言う。

女王奪還の夢は先輩から後輩へと受け継がれた。その姿にぜひ注目していただきたい。

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