陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

寒いけどレースはアツい! 富士山女子駅伝の取材に行ってきました!

富士山女子駅伝のスタート地点、富士山本宮浅間大社前です(すべて撮影・藤井みさ)
鹿児島実高、山梨学院大、トヨタ自動車でマネージャー歴20年 辻大和さん

年の瀬も押し迫った昨年12月30日、富士山女子駅伝を取材してきました。前回は設楽悠太選手のモノマネでおなじみポップライン萩原さん(もしか設楽さん)と沿道で(勝手に)応援していたのですが(笑)、今年は4years.さんで申請していただき、正式に報道取材として行ってきました!

直前まで出場権争い

男子の学生三大駅伝は、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝。女子は10月の杜の都・全日本大学女子駅伝、そして年末の富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)の二大駅伝を目指して各校がしのぎを削ります。

全日本大学女子駅伝には、前年8位までのシード校に加え、各地区の予選会で上位に入った17チーム、オープン参加の東北学連選抜を加えた26チームが出場します。この全日本で12位までに入ったチームは、12月の富士山女子駅伝にも出られます。

このスタートラインに立つまでも、ギリギリの攻防があるんです

残りの10枚の切符は、5000m上位7人の合計タイムの上位10校が選ばれます。記録の有効期間は2019年4月1日から12月1日(エントリー前日)まで。直前まで熾烈(しれつ)な争いが続くのです。今回もギリギリで逆転が起こりました。

富士山女子駅伝の中継応援アイドルで4years.でも連載を持たれているNGT48西村菜那子さんとの対談記事でも話しています。ぜひ、そちらもご覧ください!

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強い! 全日本大学選抜

富士山女子駅伝のスタートは富士山本宮浅間大社前です。前回は晴れて富士山もきれいに見えていたのですが、今回は朝方から雨模様。これから走り出る選手のみなさんにとっては、かなり肌寒い環境となりました。それでも寒さに負けず、フィニッシュの富士総合運動公園陸上競技場を目指した7区間43.4kmの熱いレースが幕を開けました!

冷たい雨も振り払う熱いレースが幕を開けました!

今回、注目していたのは全日本大学選抜。富士山女子駅伝では、全日本大学選抜も静岡県学生選抜もオープン参加ではなく、正式参加なのです。

全日本大学選抜チームは前回も1~3区の3連続区間賞でトップに立ちましたが、今回はさらにパワーアップ。1区は岡山操山高校時代にインターハイの3000mで日本勢トップの成績をおさめた東海大1年生の金光由樹選手(岡山操山)。2区にはユニバーシアード10000m銀メダルを獲得した中央大の五島(ごしま)莉乃選手(4年、星稜)で、3区は前年区間賞で中距離を得意とする慶應義塾大の樺沢和佳奈選手(3年、常磐)と注目選手が並びます。

とくに五島選手は前年の富士山の2区で区間新記録で区間賞。昨年10月の杜の都では1区で強烈なスタートダッシュを見せ、2位に45秒差をつけるダントツの区間賞をとっています。今回も2区でどんな走りを見せるのか注目されました!

第1中継所、全日本学連選抜がトップで襷リレー

ふたを開けてみると、1区で金光選手が区間賞。2区では五島選手が自らの持つ区間記録を更新する走りで差を広げました。3区の樺沢選手は区間賞こそ逃しましたが、トップを守る力走でした。

しかし、4区で立命館大の松本美咲選手(3年、立命館)が先頭に立ちます。さらに5区では、連覇を狙う名城大がエース加世田梨花選手(3年、成田)の区間賞の走りで首位に躍り出ます。そのまま6区の小林成美選手(1年、長野東)が差を広げ、7区の和田有菜選手(2年、同)が逃げ切り、名城大が2連覇を達成!

2位に入ったのは大東文化大。1区は15位でしたが、そこから怒涛(どとう)の追い上げでした。注目の全日本大学選抜は3位でフィニッシュしました。

アンカーの大東選手(兵庫大)をみんなが笑顔で迎えました

3日間だけど最高のチームに

レース後、全日本大学選抜で区間賞をとった二人に話を聞きました!

2区の五島選手は「自分の区間記録を破らなきゃ、去年以上の走りを、と思ってました。超えられてよかったです」。自分自身を「負けず嫌い」と評する五島選手らしいコメントでした。昨年はユニバーシアードや日本選手権など、いままで経験したことのない大会にも出てステップアップしてきた五島選手。全日本選抜チームについては「みんな違う大学で、普段はライバルだけど一つになって戦えました。これからもみんなを応援してます!」。卒業後は資生堂ランニングクラブで競技を続けます。今後のさらなる活躍に期待ですね!

僭越ながら、皆さんの前でものまねも披露させていただきました!

続いて金光選手です。「1週間前の練習でいけそうな感じで、動きもよかったですし、気持ちも乗ってました」。1区を任されたことについては「心構えはできてました。最初に1.5km上って、ラストはずっと下りでした。いけそうなところでいかないとと思って、ラスト2kmでロングスパートしました。『逃げろー』と思いましたね(笑)。2区の五島さんだったら、さらに差を広げてくれると思って走りました」

別の大学の先輩たちと過ごして「一人でも頑張ってる人がいること、同じような環境でも頑張れるのだということで刺激を受けました! とくに4年生が素晴らしくて(それぞれのチームで)4年間明るくがんばってこられたんだと感じました!」と話していました。次のシーズンについては「トラックで関東インカレの1500mと5000mで優勝したいです」という金光選手。早生まれということもありU20世界選手権も視野に入れているそうです。

金光選手を指導する東海大の原田コーチにも取材しました。「春先はやや出遅れたのですが、夏にしっかり走り込めたので、秋以降は充実してました。高校と違う感覚で新しいチャレンジもしています。真面目で責任感がありますね。引っ張って勝つというレーススタイル。原点はかけっこなのですよ!」。金光選手のレーススタイルは、5000mの元日本記録保持者である原田コーチの奥さま、泰子さん(旧姓・木村)に似てますね。

また、日本インカレの5000m、10000mでダブル入賞している筑波大の上田雪菜選手(4年、奈良育英)は、直前の足のけがで控えに回り、献身的にチームをサポートしました。レース後はメンバーのみなさんから「3日間一緒にいられて幸せ」「帰りたくないくらい最高のチーム」という言葉が。チームワークのよさが伝わってきました!

レース後のミーティング、思わず涙する選手も!

なお、上田選手はその後に回復し、1月12日の全国都道府県対抗女子駅伝では1区で区間12位の好走。「選抜チームのみんなの走りに励まされました!」と、大いに刺激になったようです。

初出場で前半は健闘した拓殖大

前回、全日本大学選抜の1区で区間賞を獲得したのが拓殖大2年生だった佐野英里佳選手(八千代松陰)。今回、拓殖大学は単独チームで初出場を果たしました。1区はエースでキャプテンになった佐野選手、2区には178cmの長身・牛佳慧(ぎゅう ・かえ)選手(1年、浜松開誠館)、3区は1500mを得意とするスピードランナーの八田ももか選手(2年、健大高崎)を起用。3区終了時点で4位通過と大健闘の走り!

1区佐野選手から2区牛選手への襷リレー

後半区間で順位を下げて、初めての富士山は19位という結果でした。五十嵐利治監督は「来年を見すえてエースを3区までに投入して、どこまで勝負できるのか挑戦しました。攻めの走りで3区を4位で通過できましたし、選手たちも自信になったと思います。ただ、4区以降の力の差を感じました。来シーズンに向けて底上げが課題ですね」と話していました。

「山の東洋」は女子でも!

ちなみに富士山の名物区間といえば、アンカーの7区(8.3km)です。高低差169mを駆け上ります。大東文化大の鈴木優花選手(2年、大曲)や名城大の和田選手といった大学女子長距離界を引っ張るエースたちに注目が集まる中、区間賞をとったのは東洋大の田浦英理歌選手(2年、ルーテル学院)でした! 17位で襷(たすき)を受け取ると、7人抜きの快走で10位まで押し上げました。

ちなみに東洋大は男子も箱根駅伝の5区山登りで、宮下隼人選手(2年、富士河口湖)が区間新記録での区間賞。東洋大は上り区間で富士山・箱根と男女同時区間賞ですね! 来シーズンも鉄紺のユニフォームから目が離せません。

見れば見るほど面白い女子駅伝。これからも応援させていただきます!

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M高史の陸上まるかじり