アメフト

特集:駆け抜けた4years.2022

立命館大パンサーズのOL嘉村武瑠  悔しさをバネに社会人では「日本一」へ

立命館大学のOL嘉村武瑠。身長190cm、体重128kgの体を生かしオフェンスを引っ張った(撮影・全て立命スポーツ)

アメリカンフットボールの立命館大学のOL(オフェンスライン)陣の柱としてチームに貢献した嘉村武瑠(かむら・たける、4年、聖望学園)。大学では日本一になるという目標を達成することはできなかったが、大学アメフトで培った力をもとに、社会人で改めてその目標を目指す。

アメフトに出会い、1食米1kg

嘉村がアメフトを始めたのは高校1年生の時。中学までは野球部と駅伝部に所属していたが、高校進学時に体が大きかったこと、嘉村の叔父が同じ高校のアメフト部OBだったこともあり、周りから勧められてアメフト部に入部した。所属していたチームは決して強豪とは言えなかったが、嘉村は体をさらに大きくすることに特化し、当時は1食でお米1kgを食べることをノルマとしていた。その成果が表れると、プレーに強さが増し、U-18日本代表に選出されるまでに成長した。

多くの強豪大学からオファーを受けていたが、2016年のライスボウルを見た時に「かっこいい」と思った憧れの立命館大に進学を決めた。高校時代に日本代表に選出されていたこともあり自信に満ちていたが、入学当初は高校と大学とでのレベルの差に全くついていけず「しんどかった」と振り返る。

3年生からスタメンに名を連ねた

2年生に上がるとき「このままではいけない」と危機感を募らせ、基本を徹底的に磨いた。今まで以上にコーチに話を聞きにいくようになり、上級生のうまいプレーを参考にまねし始めると、徐々にチーム内でも頭角を現し、2年生の秋からは試合に出られるようになった。1年生の時の苦しさがあるからこそ、2年生の時は「自分の成長を感じることができ楽しかった」と振り返る。3年生からはスタメンとして試合に出られるまでに成長した。

最上級生となった今シーズンはOL陣の柱としてチームを牽引する立場となった。「普段はおふざけキャラ」という嘉村だが、周りよりも試合経験が豊富なため「自分がOLを引っ張らないといけない」と自覚し、後輩や同期に対しても指摘できるようになったという。高校のチームメートが多くプレーする法政大学と甲子園で戦い、勝って日本一になるという目標のために練習に励んだ。

覚悟が甘かった

6年ぶりの甲子園ボウル出場をかけて臨んだ西日本代表決定戦(12月5日)の2度目の関西学院大との戦い。前半は関学大に合わせた攻撃スタイルを敷くも、ランプレーが出ずに14点差をつけられてしまう。後半、関学大に合わせるのではなく自分たちのプレーで戦おうと、QB野沢研(4年、佼成学園)のパスを軸に得点を重ねた。点差をつけられながらも最後まで諦めずにプレーしたが、24-34と10点差をつけられての敗北となった。

試合後、主将の平浩希(4年、立命館宇治)は「大学スポーツの原動力である4回生の『勝ちたい』という思いが足りなかった。負けたのは当然の結果」と語った。これについて嘉村は「平の言葉に納得する。自分を含めチームが本気になるのが遅すぎた。関学に比べて覚悟が甘かった。悔いが残る。」と語った。

ライバルの関西学院大に2度敗れ、甲子園ボウル出場はならなかった

嘉村は大学卒業後も社会人チームでプレーを続ける。普段は温厚な性格な彼だが、フィールド上での熱い気持ちは相手選手を圧倒する。大学で成し遂げられなかった日本一になるという目標を達成するために、これからも努力を弛(たゆ)まず成長し続ける。

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