陸上・駅伝

特集:第101回関東学生陸上競技対校選手権

躍進続く國學院大 10000mで中西大翔と平林清澄、1500mで鈴木景仁が入賞

男子2部10000mで並走する中西(右から2人目)と平林(39番)(撮影・すべて藤井みさ)

第101回関東学生陸上競技対校選手権大会

5月19日 男子2部10000m決勝
5位 中西大翔(國學院大4年) 28分35秒87
6位 平林清澄(國學院大2年) 28分36秒32

5月20日 男子2部1500m決勝
4位 鈴木景仁(國學院大3年) 3分47秒49

関東インカレ1日目に男子2部10000mがあり、國學院大學の主将・中西大翔(たいが、4年、金沢龍谷)が5位、平林清澄(2年、美方)が6位に入りダブル入賞を果たした。2日目の男子2部1500m決勝では鈴木景仁(3年、國學院大栃木)が4位入賞。國學院大が大学陸上長距離界において、着々と存在感を増している。

先頭に立ちレースを引っ張った平林

風もおだやかな中で始まった10000mのレース。スタートするとまず東京国際大学の村松敬哲(3年、浜松商)が先頭に立ち、その後ろに青山学院大学の岸本大紀(4年、三条)、平林、中西と続いた。1000mでは2分50秒、2000mでは2分58秒とペースが落ちたが、3000m手前で日本薬科大学のノア・キプリモ(4年)が集団の前に出ると、平林もついていく。3000m通過時点でペースは2分47秒に上がった。その後、平林とキプリモは1周ごとに先頭を交代し、集団を引っ張った。

平林は果敢に先頭を引いた

7600mほどで先頭集団は平林、キプリモ、岸本、駒澤大学の篠原倖太朗(2年、富里)、上武大学のカマウ・パトリック(1年、札幌山の手)の5人に絞られた。残り4周となったところで篠原が離れ、4人での先頭争いへ。ラスト1周でキプリモ、岸本、パトリックがスパートすると、平林はついていけない。第2集団にいた東京経済大学の大川歩夢(4年、伊豆中央)と中西が平林をかわし、僅差でのゴールとなった。

もっと上で戦える力をつけたい

昨年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会以来、11カ月ぶりのトラックレースとなった平林。開口一番、「きついっす!」と感想を口にした。4月末にドイツでのハーフマラソンに出場し、連戦の疲れはあったものの、6月に開催予定だったワールドユニバーシティゲームズがなくなってしまい、このレースにきっちりと合わせてきていたと話す。いい練習が積めており万全の状態でここまで来られており、日本人トップを狙うつもりでスタートラインに立った。先頭に出るつもりはなく、キプリモが前に出た時についていき、最後に勝負だと考えていた。しかしキプリモが平林に「前に出ろ」という仕草をしたため、先頭に出ることになったのだという。

ゴール後、平林は「きつい!」という表情をした

今年から國學院大のユニホームサプライヤーがアディダスに変わり、その縁もあり平林は同級生の山本歩夢(2年、自由が丘)とともにドイツ・アディダス本社でのレースに招待された。世界トップレベルの選手たちとハーフマラソンを走り、世界との差を実感した。だが世界を経験したことで、「この(学生の)中ではなくしっかり上で戦いたい」という気持ちが強くなった。そのためにより練習を積んできたが、「やっぱりまだ、戦える力はなかったのかなと思います」と自分を分析する。

「ラスト1週で勝負になった時に自分の苦手なところが出てしまったので。その課題の改善に向けての練習はしてきたんですけど、まだまだ足りなかったというところだと思います」。平林は最後に中西に抜かれ、「ものすごく勝ちたかったです」と悔しさをあらわした。「(大翔さんに)『勝った』って言われたので悔しいです。やっぱり学生ハーフを勝ったので、ここも勝ちたかったんですけど、まだ足りないなと思います」

スタミナも、スピードも足りないと感じていると話す平林。ここからまた作り直して、ラストの切り替えも磨いていきたい。今回のタイムは自己ベストではあるが、見ているのはそのもっと上。27分台をしっかり出していきたいという。

得意のスパートで勝ち切った中西

中西は前半からかなりきついと感じていて、7600m付近で先頭集団から離れた後は第2集団で粘った。だがラストスパートは自分の持ち味でもある。ラスト200mで平林の足が止まっているのを見て、「もしかしたら最後いけるかも」という気持ちで走ったという。「いつもより気合い入れてスパートかけました」と笑う。3月の学生ハーフマラソンでは、平林が優勝、中西が2位だった。そのリベンジをできましたか?とたずねると、「そうですね、少しリベンジできたかなとも思いますけど、平林は(集団を)引いていたので。やっぱり強いなと思います」と後輩の力を認める。

中西は平林にわずかに先着した

國學院大の主力は主将の中西と、1つ上の代で大学に残った島崎慎愛(よしのり、4年、藤岡中央)、3年生で副将をつとめる伊地知賢造(松山)、2年の平林、山本の5人だ。2年前、昨年と比べても、レベルの高い練習をこなせているという感覚があると中西。「中間層の育成も大事にしつつ、トラックというよりは駅伝でしっかり勝負していけるチームを作っていきたいですね」と話す。

鈴木「チームにいい影響を与えられるような副キャプテンに

そして2日目に行われた男子2部1500m決勝では、伊地知とともに副将を務める鈴木が4位に入賞した。終始先頭付近で様子をうかがい、粘り切って入賞を手にした。「副キャプテンになって初めての公式戦ということで、結果が求められる中でのこの結果は、満足はいかないまでも十分な結果かなと思います」と鈴木。普段は中距離の練習はないため、エントリーが決まった1カ月ほど前から1500mの練習に特化して取り組んできたという。10000mのレースは寮の部屋で見た。平林、中西、島崎がそれぞれ戦っているのを見て、「負けないぞ」という気持ちで臨めたことも結果につながった。

本職ではない1500mで結果を残した鈴木(前から2人目)

前田康弘監督からは人望があると評価され、チームの中間層を引き上げてほしいという狙いもあり、副将に任命された。レース前には前田監督から「ここで勝たなければ副キャプテンになった意味がないぞ」と声をかけられており、その期待に応える形になった。「今回の1500mというのは駅伝に向けてのひとつの過程なので、ここで終わらずに、チームにいい影響を与えられるような副キャプテンになれたらと思っています」

主力だけではなく、チーム全体が上昇気流に乗り始めているように見える國學院大。今年度のスローガン「変革 Transformation~新時代を切り拓け~」の通り、新しい段階にステップアップすることができるか。

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