フィギュアスケート

特集:フィギュアスケート×ギフティング

中京大・山下真瑚、自ら振り付けた曲で舞う「特別なプログラム、楽しみに」

SPの振り付けに挑戦した中京大の山下真瑚(代表撮影)

フィギュアスケートのシーズンが開幕した。2018年世界ジュニア選手権銅メダリストで、中京大学2年の山下真瑚(まこ、中京大中京)は7月1~3日に開催された「名古屋市スケート競技会みなとアクルス杯」に出場し、シーズン初戦を優勝で飾った。新しいショートプログラム(SP)で初めて振り付けに挑戦。「特別なプログラムになっているので楽しみにしてくれるとうれしいです」とアピールする。

山田満知子コーチに師事、世界ジュニア銅

山下は名古屋市出身。06年トリノオリンピック金メダリストの荒川静香さんに憧れて、7歳から「大須スケートリンク」の愛称で知られる名古屋スポーツセンターのスケート教室に通い始めた。名門のグランプリ東海クラブに所属し、オリンピック銀メダリストの伊藤みどりさん、浅田真央さん、宇野昌磨(トヨタ自動車)らを育てた山田満知子コーチに師事。中学時代はジュニアグランプリシリーズで4度の表彰台、18年3月の世界ジュニア選手権で銅メダルに輝いた。中京大中京高校に進学し、18年10月のグランプリシリーズスケートカナダで2位に入り、鮮烈なシニアデビューを果たした。

21年4月に中京大学に入学。スポーツ選手が多く所属するスポーツ科学部で体の仕組みやトレーニング方法などを勉強している。1学年上の荒木菜那と仲がよく、最近はKep1er(ケプラー)などK-POPアイドルの話題で盛り上がるという。

美しいイナバウアーを披露する(代表撮影)

スケートの基礎が大好き

山下の持ち味はセカンドジャンプの高さだ。特に3回転ルッツ3回転トーループの連続ジャンプは迫力がある。だが本人の捉え方は違うようだ。

「ジャンプをすごくほめてもらえるんですけど、自分自身はそんなに好きではなくて。一番好きなのはステップや基礎。どれだけ深いエッジで氷に乗れるか、体を傾斜させられるか。コンパルソリーの練習もずっとやっていいよと言われたらいつまでも続けられます。先生に基礎をすごく教わってきたので、そのおかげで好きになったし、いまのスケートにも生かされていると思います」

最近は技術面や演技面で成長を感じている。昨シーズンの西日本選手権では得意のルッツの調子が悪く、連続ジャンプを3回転フリップ3回転トーループに変更。久しぶりに試合で跳べたことで「自分の強みになった」と言う。

いま跳べているジャンプの正確さを高めつつ、大技習得も視野に入れる。「昨シーズンまではトリプルアクセル(3回転半)が跳べたらすごいと言われていましたが、今シーズンは多くの選手がトリプルアクセルや4回転をプログラムに入れてくると思うので、自分も練習していかないといけません。練習では4回転が跳べるような3回転を意識しています。空中で回りきって下りてくるという意識をするだけで次につながっていくと思います」。まずはトリプルアクセルの習得をめざし、4回転も並行して練習する。

また、トレーニングの一環で取り入れているダンスからヒントを得て、リズムや音の取り方を意識するようになった。「ダンスで表の音と裏の音があり、スケートの演技でも裏の音をとるようにしています」と明かし、表現の幅を広げている。

基礎練習が苦にならない。それがジャンプやスケーティングの質につながっている(本人提供)

振り付けに初挑戦、ステップを見て

今シーズンはSPで初めて振り付けに挑戦する。昔から振り付けに興味があり、山田コーチから「やってみなさい」と提案された。

曲はアメリカのシンガーソングライターで、アンドラ・デイの「Rise Up」。まずは自分でプログラム全体を振り付け、コーチと相談しながら仕上げていった。「先生から提案されてすごく楽しみでした。翌日から曲の編集を始めて、振り付けのポイントや誰かがまねしたくなるポーズは何か、どこで入れたらいいかを考えて。『要素が入っていないんじゃない』『もっと上下の動きを入れてみたら』など先生がアドバイスしてくれました」。ある一部分だけがどうしても決まらず5日間ほど悩んだこともあったという。

見どころは「一番作るのが楽しかった」というプログラム終盤のステップ。「じっくり聞いてみないとわからないところで音をとっています。そこに気づいてもらえたらうれしいです」とほほえむ。「今までと違った、新しい真瑚を見てください。特別なプログラムになっているので楽しみにしてくれるとうれしいです」

フリーは鈴木明子さん振り付けのミュージカル「サンセット大通り」を披露する。

ファンから支援金を募るスポーツギフティングサービス「Unlim」にも登録した。スケート靴や遠征費など活動費がかかるため、「支援金は大事に使わせていただきたい」と話した。

今シーズン初戦の名古屋市スケート競技会みなとアクルス杯で優勝し、幸先良いスタートを切った。シーズンの目標について「SPとフリーをまとめられるようにしたい」と意気込む。ここ2年の全日本選手権は連続13位。とくに昨年大会はSP冒頭の連続ジャンプでミスが出て悔しい思いをした。今年の全日本では好演を誓う。

「技術面では小さなミスをなくしていきたいです。表現面は昨年よりももっとお客さんに伝わるように。もう1回見たいと思ってもらえるように楽しいプログラムができたらいいなと思っています」

 

◆画像から選手への寄付・応援メッセージを届けられます

◆画像から選手への寄付・応援メッセージを届けられます

in Additionあわせて読みたい