5大会ぶりに伊勢路を駆けた大東大 箱根駅伝も「挑戦者として」挑みリベンジへ
11月6日に開催された第54回全日本大学駅伝。第49回大会での総合14位以来、伊勢路から遠ざかっていた大東文化大学が5大会ぶりに帰ってきた。当日の選手変更で指名された1区のピーター・ワンジル(2年、仙台育英)が26分58秒の区間新記録、大東大にとって19年ぶりの区間賞を獲得したが、1区以降シード権争いに絡むことなく5時間19分07秒の14位に終わり悔しさを噛み締めた。4年ぶりの本選出場となる箱根駅伝でリベンジを誓う。
真名子監督の起用に応えた1区の区間賞
4月から、仙台育英高で監督を務めていた真名子圭氏が監督に就任し、監督の人間力=競技力という考えのもと、練習内容もさることながら、選手のメンタルや意識改革により、6月19日に行われた今大会の予選選考会を5位で、さらには箱根駅伝予選会を1位で通過するなど快進撃を続けてきた大東大。そのため、今大会でも期待がかかっていたが、実力を出しきれず予選と本戦の壁を痛感するレースとなった。
出場校の上位4校が大会新記録をマークするハイレベルなレースとなったが、大東大は上位8校に与えられるシード権を目標にスタートを切った。
1区のピーターは今大会の選考会、箱根予選でもチームトップのタイムを記録し、成長が著しい。ピーターはスタート直後集団に埋もれてしまうが、3km付近から第2集団を抜け出し2位につけた。
前方を走る青山学院大学、目片将大(4年、須磨学園)を追いかけ、残り1kmでトップに躍り出て中継所へ。9.5kmを26分58秒の快走を魅せ、駒澤大学の佐藤条二(2年、市立船橋)と中央大学の吉居大和(3年、仙台育英)の区間記録27分05秒を7秒更新して区間賞をつかみ、真名子監督の起用に応えた。
結果は14位で実力不足を痛感
駒澤大の佐藤圭汰(1年、洛南)や順天堂大学の三浦龍司(3年、洛南)などのエースが出そろう2区を任されたのは菊地駿介(3年、仙台育英)。9校に抜かれ後に続くことができず、10位で3区の入濱輝大(1年、瓊浦)につないだ。
入濱は選考会で納得のいくレースができず、「全日本では先輩たちに借りを返せるような走りをしたい」と意気込んでいたが、力振るわず、14位で4区に襷(たすき)をつないだ。
4区、5区では大東大の主力である久保田徹(3年、聖望学園)と大野陽人(4年、九里学園)が控えていた。昨年の全日本駅伝で学年選抜でも4区を走った久保田は東海大学と関西学院大学を抜き、順位を2つ上げて12位で5区の大野へ。久保田は「3区までの流れを変える役割を任されたが、区間10位で去年よりも悪い結果になってしまった。もっとシード権争いに絡んでいきたかった」と話した。
唯一今年の箱根路を経験している大野は、箱根予選会後から体調不良で思うような練習ができず、実質1週間でコンディションを整えていた。抜かされた東海大の佐藤俊輔(4年、鶴崎工)を追いかけ、東京国際大学の木村海斗(2年、狭山経済)と1秒差で6区の大谷章紘(2年、水城)に託した。
大野は「最初の5kmの入りが想像以上に遅かった。練習できなかったことを言い訳にしたくないが悔しい」とコメント。大谷は11位、7区の谷口辰煕主将(4年、比叡山)は3つ順位を落とし、トップと9分43秒差の14位で8区の西代雄豪(2年、桶川)に襷をつなぎ、順位は上がることなく14位でゴールした。
「箱根では絶対にシードを」
レースを終えて、主将の谷口は「チームとして8位シード権内を目標に練習してきたが、言い訳のできない悔しい結果となってしまった。箱根駅伝も挑戦者として挑むので、貪欲(どんよく)にシード権獲得を目標に頑張りたい」と言葉を詰まらせながら話した。
真名子監督は一言目に「力を出せなかった」と言った。「4月から今大会の予選と箱根駅伝の予選会と、良い結果が出始めていたが、そのことで逆にチームの中でいらない安心感や満足感が生まれてきていた。いい結果に対して安心がでてしまうチームの甘さなどもメンタル部分も改善し、残り約1カ月、今回の結果を踏まえて課題を修復し、箱根では絶対にシードをつかんでいきたい」と語った。
大東大は着実に実力をつけてきたが、常連の強豪校との差を実感し気持ちが引き締まった。今回の悔しさを糧に、力を蓄え箱根駅伝での活躍に期待が高まる。