東京オリンピックを目指す大東文化大・鈴木優花 主将としての覚悟と決意
大東文化大のエース鈴木優花(3年、大曲)は昨年度、学生女子長距離界に歴史を刻む記録を残した。昨年7月にイタリア・ナポリで開催されたユニバーシアード。「学生のオリンピック」とも呼ばれるこの大会で、自身2度目のハーフマラソンながらも金メダルを手にした。
また12月の実業団記録会の10000mでは学生日本歴代2位のタイム(31分37秒88)をマークし、東京オリンピック日本代表の参加標準記録である31分25秒0に大きく近づいた。
「世界を変える挑戦~勝負師であれ」のスローガンのもとに
今年度の大東大は、駅伝主将に秋山祐妃(4年、熊本信愛女学院)、主将に鈴木優花が就任した。秋山は、1年次から駅伝や3000m障害でチームの主力選手として活躍している。
鈴木は「自分は主将の経験がないため、秋山さんは頼れる存在です。秋山さんの明るさがチームの雰囲気作りをよくしてくださっているので尊敬しています」と話し、「決まったときに、一緒に頑張っていこうと明るい雰囲気でスタートしました」と絆を深めたという。
新チームのスローガンは「世界を変える挑戦~勝負師であれ」。新3、4年生全員で意見を出し合いながら決めた。「世界」には東京オリンピックの年、チーム内でも鈴木に加え、トラック種目で関谷夏希(院1年、市立船橋)と3000m障害で吉村玲美(2年、白鵬女子)の3人が世界を目指していること、個々が今見えている世界を挑戦することで変えていってほしいという意味がある。「勝負師」には失敗を恐れずにどんどん挑戦する、突き進む勝負師になっていこう、という強い思いが込められた。
外園隆監督からは、「“勝負師”かっこいいじゃん」とほめ言葉をもらったという。このスローガンのもと、鈴木は「一人で引っ張っていこうと考えていたが、みんなで高め合いながらどんどん挑戦するチームにしていきたい」と意気込みを語った。
「強い大東文化女子長距離を見せたい」
だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、数多くの試合が中止や延期を余儀なくされた。中でも学生アスリートにとっては大きなイベントにあたる関東インカレ(関東学生陸上競技対校選手権)の5月開催が中止となった。
鈴木は「4年生にとっては最後の関東インカレだったので寂しい思いです。大きな盛り上がりがあってチームの雰囲気をつくる大会なので残念です。でも立ち止まっている場合ではないので、できることをやっていく」と前を向いている。
自粛期間は練習も制限される中、寮内でのトレーニングまたジョグで距離を踏むなどできることを模索している。食事面や生活面なども個々が意識改革でできているという。
鈴木は「自粛期間だったとか、練習場所が限られてできないとかは言い訳にならないと思います。今年度は、今までにない強い大東文化女子長距離を見せていきたい」と強い気持ちを持ち過ごした。
創部初の駅伝優勝と東京オリンピックへの挑戦
鈴木に今年の目標をたずねると、「トラックでは10000mで自己ベストを更新して、東京オリンピックの標準を切ることが目標です。駅伝では個々が挑戦した走りをして、日本一をとります」と力強く宣言した。
大東文化大学女子長距離は創部11年目を迎えた。駅伝では杜の都女子駅伝で6度の2位、富士山女子駅伝で5度の2位と実績を残し強豪校に成長したが、いまだ優勝のタイトルは獲得していない。初優勝はチームの悲願でもある。
チームのエースとして、そして個人ではオリンピックを目指して。鈴木は挑戦することをやめない。