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特集:第74回全日本大学バスケ選手権

白鷗大、6年ぶりインカレ制覇への期待 「宿敵」打倒のカギはオコンクウォの飛躍

2021年のインカレ女子決勝で1年生ながらダブルダブルの活躍を見せた白鷗大のオコンクウォ・スーザン・アマカ(右、撮影・松本麻美)

全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)で過去5大会、女子を制してきたのは東京医療保健大学だ。その牙城(がじょう)を崩さんと、着実に力を蓄えてきたチームがある。白鷗大学だ。

「今年こそは日本一を」。それをチームの合言葉としてきた。2016年、東京医療保健大を下してインカレ初優勝を達成。ところが、翌年からはその東京医療保健大に覇権を許している。

白鷗大も常に4強入りしてきた。だが、毎年、東京医療保健大との直接対決で敗れてしまう。直近3大会は決勝でぶつかり、3大会連続の準優勝。意識しない方が無理な相手だ。

カギ握る留学生 恩師が見る才能のありか

宿敵に打ち勝つため、カギを握るのはオコンクウォ・スーザン・アマカ(2年、桜花学園)とみる。ナイジェリア人留学生で、186cmの長身と、爆発的な得点力が持ち味だ。

強豪・桜花学園高校時代は、2、3年時に全国高校選手権(ウインターカップ)優勝を経験。3年の決勝では、1試合での個人得点として歴代2位となる53得点も記録した。恵まれた体格から、ともすれば「活躍できて当たり前」と見られがちな留学生。だが、オコンクウォの実力は、努力によって肉付けされてきたものだ。

桜花学園高時代にウインターカップ2連覇を果たした(撮影・朝日新聞社)

以前、桜花学園高の井上眞一監督はこう語っていた。「はじめはパスキャッチもまともにできなかった。でも、彼女はものすごく頑張り屋。アマカの才能は、身体能力というより、努力できる人間的な部分にあるんだと思う」。毎日コーチ陣やチームメートからパスを受け、少しずつ、そのパスを得点につなげる技術を身につけていったという。

バスケットだけではない。来日直後はまったく話せなかった日本語も、練習外の多くの時間をつぎ込んで猛勉強した。高校1年の夏、全国高校総体(インターハイ)の優勝インタビューでは英語での受け答えしかできなかったが、3年のウインターカップでは「好きな日本語は『豆腐にかすがい』です!」と意外な返答で報道陣の笑いを誘った。

展開の速いバスケットボールは、コミュニケーションのスポーツとも言える。日本語を習得してから、オコンクウォの成長速度も一気に増したようだった。本人も「日本語で仲間とコミュニケーションを取れるようになって、前よりずっとバスケットが楽しい」と語っていた。

高校時代、日本語の上達に比例して成長速度も増していった(撮影・朝日新聞社)

高校時代は「助走期間」 いざ飛躍のとき

言ってみれば、オコンクウォにとっての高校時代は助走期間。白鷗大に進学し、さらなる飛躍が期待されている。

実際、昨年のインカレ決勝は、敗れたもののチーム最多の16得点13リバウンド。1年生ながら「ダブルダブル」の活躍でチームを引っ張った。

2年生になった今年は、7月の新人インカレでチームを優勝に導き、自身は最優秀選手賞。秋のリーグ戦も、同様にチームの優勝に貢献し、最優秀選手賞を勝ち取っている。

「期待の新人」から「大黒柱」へ。頼もしさを増したオコンクウォには、白鷗大にとって6年ぶりとなる「日本一」への道筋もはっきり見えているだろう。インカレ屈指のライバル対決がかなえば、今年は一層白熱した戦いになりそうだ。

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