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特集:第74回全日本大学バスケ選手権

江戸川大、開幕戦で見せた圧巻の第1Q 主将・大川颯斗が3点シュートに込めた思い

28得点を奪った江戸川大の大川。「いいパスをくれた仲間のおかげ」と感謝を忘れなかった(すべて撮影・小俣勇貴)

第74回全日本大学バスケ選手権 男子グループステージCブロック

12月3日@ 国立代々木競技場 第二体育館(東京) 江戸川大学 103ー56 名古屋経済大学

インカレ開幕戦。今季の関東大学リーグ2部で優勝し、初の1部昇格を決めた江戸川大学が名古屋経済大を破った。江戸川大にとって、6年ぶりとなるインカレの舞台。チームを勢いづかせたのは、ガードで主将の大川颯斗(4年、市立船橋)だった。

仲間を緊張から解き放つ3点シュート

第1クオーター(Q)。開始直後、開幕戦の緊張感からか、互いにシュートが決まらない。1分が経とうとしたころ、ボールを受けた大川は迷わなかった。「登録メンバーに4年生は2人だけ。俺たちがやらないといけない」。初得点となる3点シュートが決まる。この1本で一気に江戸川大のスコアが動き始めた。

大黒柱の躍動に感化されたのか。198cmフォワードのジャキテェ・ダオウダ(3年、日本体育大柏)にも豪快なダンクシュートが生まれ、攻撃の勢いが増す。

第1Qでダンクシュートを決めるジャキテェ・ダオウダ

「1本目が入ったことで、積極的に打っていこうと思えた」と大川。最初の10分だけで計5本の3点シュートを沈めた。第1Q終了時点で、28-11。あっという間に主導権を奪った。

1部昇格の喜びよりも、大事だったもの

今季は、関東大学リーグ2部を21勝1敗で制し、2003年の創部以来の悲願だった1部昇格を果たした。学内や関係者が沸いた一方で、チームはインカレだけに集中していた。

昇格に尽力した4年生は1部の舞台で戦うことができないからだ。

大川が言う。「後輩たちも『4年生のために』と練習の強度をあげてくれた。チームとしてインカレにかける思いは強くなった」。新型コロナウイルスの感染対策を徹底し、私生活でも緩みが出ないよう、引き締め直してきた。

迎えた初戦は、103-56で圧勝。粂川岳勤(たけのり)監督が振り返る。「うちはどちらかというと3点シュートが入らないチーム。これだけ前半に3点シュートが入ることはなかった。ただ、大川はもともと力のある選手。最後の大会への思いとマッチして結果が出たと思う」

33点リードで前半を折り返し、笑顔を浮かべた

江戸川大本来の持ち味も、しっかりと光った。第1Q終了間際、途中出場の選手が、タイトな守備で相手の攻撃の芽を摘んでいた。大川が言う。「うちは高さがない分、走らないといけない。ブレークにつなげるディフェンスの強度が持ち味。それをスタートの5人だけでなく全員が同じ強度でできるのが、自分たちの強み」。江戸川大にとって、攻守ともに「最高のスタート」だった。

途中出場の選手の激しい守備が光った

経験を積みながら4年生の思いに応える戦い

今年のインカレから、大会方式が変わった。出場チームは32チームから40チームに増え、総トーナメント方式からグループステージ(勝ち点制)とトーナメント方式の併用になった。江戸川大はCブロックであと1試合(対札幌大学)を戦い、トーナメント進出を狙う。

グループステージ制を、粂川監督は歓迎する。「コロナ禍で下級生は試合にあまり出られていなかった。練習試合ではなく、『試合』をしたかったので」。開幕戦でも登録メンバー全15人を出場させた。

グループステージを勝ち上がれば、トーナメントには来季戦うことになる1部常連の強豪校も待ち構えている。下級生に経験を積ませながら、4年生の思いに応えていく。課せられたものが多い大会で、江戸川大が確かな一歩を踏み出した。

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