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白鷗大バスケ、関東リーグ初制覇 昨季のインカレ王者が見据える2連覇への道のり

関東リーグ戦で初優勝し、喜ぶ白鷗大の選手たち(すべて撮影・小沼克年)

第98回関東大学バスケットボールリーグ戦

8月20日~11月6日(1部)
1位 白鷗大学(22勝4敗)
2位 専修大学(21勝5敗)
3位 東海大学(20勝6敗)
4位 大東文化大学(19勝7敗)
5位 日本大学(19勝7敗)
6位 筑波大学(15勝11敗)

2019年以来、2回戦総当たりで開催された関東大学バスケットボールリーグ戦(オータムリーグ)は、白鷗大学が初優勝を飾った。今大会における合計失点は「1576」。1試合平均に換算すると60.6失点となり、全14チームのうち最も低い数字だった。「どの相手に対してもディフェンスの強度は保てている。そこはチームの一つの色になっています」。リーグ戦の最中に網野友雄ヘッドコーチ(HC)が口にした言葉を最後まで貫き、栄冠をつかんだ。

優勝目前の大一番で手痛い黒星

11月5日。2試合を残して、優勝まであと1勝。この日の専修大学戦で決めるつもりだった。しかし、試合は最後までもつれた末に、66-72で敗戦。相手の意地もさることながら、3点シュートを1本も決めることができなかったことが響いた。

「勝ち続けることがいかに難しいかを、今、痛感してます……。まあ、今の気持ちを引きずらずに明日必ず勝って優勝したいと思います」。敗戦直後のギバ賢キダビング(4年、常総学院)は、やや苦笑いだった。

最終節の相手は、すでに2部降格が決まっていた国士舘大学。勝たなければいけない状況で、失うものがない相手と対戦するのはどうしてもやりづらさがあるものだ。前日の試合開始は午後5時30分。この日の国士舘大戦は午後3時30分スタート。準備の時間は限られていた。主力を担う脇真大(3年、岡山商科大附)らの肩周りには、カッピングで赤くなった丸い痕がいくつもあった。

優勝のかかった最終戦に臨む白鷗大の脇真大。肩周りにあるカッピングの痕が目立った

過密日程を乗り越え、つかんだ自信

第1クオーター(Q)で12点のリードを作ったものの、第2Qは国士舘大に粘られ、なかなか突き放せない展開のまま後半へ。第3Qも残り5分を経過した頃だった。白鷗大がプレスディフェンスからボールを奪うと、速攻からジョエル・モンガ(1年、別府溝部学園)がダンクをたたき込んだ。

このプレーで勢いに乗ると、佐藤涼成(1年、福岡第一)をはじめ、先発以外のメンバーが積極的に足を動かして守備の強度を上げ、国士舘大をジリジリと引き離す。攻めてはインサイドを起点にスコアを重ね、第3Q終了時点で68-49。この10分間でほぼ勝利を確定させた白鷗大は、93-74でリーグ戦を締めくくった。

チームは戦いが激化する2巡目の計13試合で「全勝」を掲げていたという。優勝への道のりはゴールの一歩手前でブレーキがかかったが、2巡目は13戦12勝。網野HCは、安堵(あんど)の表情で2カ月半に及んだ戦いを振り返る。「女子も先に優勝を決めていて、男女で結果が出たことは素直にうれしいです。26試合という今まで経験したことのない過密日程のなかで、どのチームもけが人が出たり、調子の良しあしはあったと思いますけど、それでも乗り切って、一つのタイトルを取れたことは彼らの自信になると思います」

インカレ連覇に向け、光るギバの主将力

指揮官は、初優勝のポイントとして2人の選手の名を挙げた。「リーグ前半(第3節)の中央大学戦でジョエルがけがして、インサイドが少し薄くなってしまいました。ただ、ギバとか(ミサカボ)ベニ(4年、埼玉栄)とかが本当によくつないでくれて、3敗で前半戦を折り返せました」

白鷗大の主将としてチームを盛り上げてきたギバ賢キダビング

ともにパワーフォワードのギバとミサカボは、体を張ってチームを助けるだけでなく、ムードメーカーとして雰囲気を明るくする存在でもある。「ギバケン」の愛称で親しまれるギバは主将としての役割も担い、今年はより出場機会を得るようになった。「自分が声を出すスタンスは変えずにやってますけど、今年はプレーでもしっかりした姿を見せられるようにしたい」と自覚も芽生えた。

ムードメーカーという点に関して、 根っから明るいミサカボと比べた自己評価はやや控えめだ。「自分で言うのもあれなんですけど、シャイで変に真面目すぎるところがあるんで、本当のムードメーカーはベニです。ベニには敵(かな)わないですし、本当に助かってます」。主将として、仲間を立てることも忘れない。

優勝のかかった国士舘大戦で仲間を鼓舞するギバ賢キダビング⑦

優勝の要因について、「序盤戦はけが人が出たりしたんですけど、みんなの諦めない姿勢みたいなものが練習から出ていて、それが試合につながったのかなと思います。春のトーナメントで負けた時と比べると、一人ひとりの意識の高さがすごく上がったと実感してます」と話し、確かな手応えを感じていた。

関東王者となり、2連覇を目指すインカレでは一層追われる立場になる。「最終目標は日本一。まだ何も成し遂げていないので、これからもハングリーさやチャレンジャー精神を大事にしていきたい」とギバ。初優勝で得た自信と、まだ満たされない気持ちを胸に、白鷗大はさらなる高みへと駆け上がる 。

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