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日大・米須玲音、ケガから復帰して挑んだ新人戦決勝 悔しさも楽しさもかみしめて

ケガ明けの米須はベンチスタートから流れを変える“スーパーサブ”として戦った(撮影・すべて小沼克年)

第62回関東大学バスケットボール新人戦 決勝

6月12日@国立代々木競技場 第二体育館(東京)
日本体育大学 77-71 日本大学
日本体育大学が21年ぶり9度目の優勝

関東大学新人戦(ルーキーズトーナメント)は、惜しくも準優勝に終わった。けれど、コートに帰ってきた魅惑のポイントガードからはプレーできる喜びがひしひしと伝わってきた。米須玲音(れおと、日大2年、東山)の完全復活までの道のりは、順調に進んでいる。

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「川崎でリハビリ、日大ではバスケ」の日々

「いやーっ、やっぱり楽しいっすね」。手元が狂い、代名詞のキラーパスが思わぬ方向にそれても、ルーズボールに飛び込んでマイボールにできなくても、米須は「あぁ~!!」と嬉(うれ)しそうに叫んでいた。

遡ること約4カ月、米須は川崎ブレイブサンダースの特別指定選手としてBリーグの試合に出場した際に右肩を負傷した。検査結果は「右肩関節脱臼の診断で、全治未定」。アクシデントに見舞われた5日後の2月4日、川崎から発表されたリリースではそう記されていた。

小学校1年生からバスケに打ち込み始めた米須だが、これが人生初めての大ケガだった。これから待ち受けるリハビリの日々。いつコートに戻れるのか、という不安もあっただろう。しかし、川崎側のサポートもあったことで復帰までの道のりは順調に進み、「ハードスケジュールでした」と米須は振り返る。

川崎のサポートを受けながら、米須は実戦復帰にこぎ着けた

具体的には、新学期が始まる3月末までは川崎の施設でリハビリや体づくりに励み、食事のサポートも受けた。4月に大学に戻ってからも、週2回程度川崎に通い続け、「川崎でリハビリ、日大ではバスケット」という日々を送っていたという。

その間、ライバルの河村勇輝(現・横浜ビー・コルセアーズ)は東海大学を中退してプロの道へと進んだ。米須は河村の決断を尊重しながらも、「自分は大学で日本一をとって次のステップに進みたい」と思いを定め、5月に行われた関東大学選手権ではマネージャーとしてチームメートのサポートに回った。そして、新人戦では日本大学の主将として姿を見せ、「結構ハードスケジュールでしたけど、そのおかげで肩の調子も順調です」と笑みを浮かべた。

スーパーサブとして、途中出場でも際立った存在感

ともに20年以上ぶりの新人戦優勝をかけた日本体育大学との決勝戦は、オーバータイムまでもつれる激闘の末に71-77で敗戦。「次の全日本(大学新人戦)でやり返そう」。コートに立っていた米須は試合終了のブザーを待たずに仲間を集め、ハドルを組み、すでに気持ちを切り替えていた。

皆が悔しさをかみしめる中、米須(右から2人目)は率先してハドルを組んだ

今大会における米須は、ベンチスタートから流れを変える“スーパーサブ”の役目を担った。2番手もしくは3番手のポイントガードとしてプレーとなったものの、大会後は「プレータイムに制限はありましたけど、途中から試合に出て流れを変えるプレーはできていたと思います」とコメント。その言葉通り、限られた時間でも米須の影響力の高さは顕著に表れていた。

最初の山場となった白鷗大学戦では、追い上げられた第3クオーター(Q)に出場すると、米須の無駄のない縦パスによってチーム全体のスピードが一気に上がった。日大は素速い攻撃から連続得点をマークし、米須も味方へのお膳立てに加えて貴重な3ポイントも沈めて点差を2桁に。日本体育大戦でも第2Qにチームのスイッチを入れ、惜しくも敗れたものの、前半を10点リードで終える原動力となった。

今大会では先発ポイントガードを務めた一戸啓吾(2年、仙台大明成)の奮闘も光ったが、米須のプレーはまさに“パス1本で空気を変えた”という印象だ。また、ベンチにいる際は城間修平ヘッドコーチ(HC)よりも先に指示を出し、城間HCが“譲る”場面もあるなど、リーダーとしての素質や高い意識も垣間見えた。

城間HC(右端)よりも先に声かけをするシーンもあった

たくましい仲間と支え合い、完全復活へ

優勝にはあと一歩及ばなかった。この大会で悔いが残るとしたら、決勝戦の勝負どころでシュートを決めきれなかったこと、オフシーズンに川崎の藤井祐眞や篠山竜青から学んだゲームコントロールを発揮できなかったことだ。それでも米須は、優勝を逃した悔しさ、自身が復帰できた喜びより、大会を通してチームが成長できたことに最も手応えを感じている。

「(準決勝の)大東文化大学戦に出ることはできなかったんですけど、自分の穴を埋めようとみんなが前向きなプレーをしてくれました。それを見たら少し感動しましたし、そこはみんなも分かってくれているなと思いました」

チームメートが自分が抜けた穴を埋めようと取り組んでいる姿に、米須(左)は喜びと心強さを感じたという

大学2シーズン目のスタートは少し遅れをとったかもしれない。現時点では7月4日に新たな大会として開幕する全日本大学新人戦までに、右肩の状態がどこまで良くなるかも不透明だ。けれど、新人戦でつかんだ確かな感触は、米須と日本大をまた一歩成長させたに違いない。決して急がなくていい。完全復活を目指す米須のそばには、いつも切磋琢磨(せっさたくま)し合える仲間がいる。

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