陸上・駅伝

特集:第99回箱根駅伝

箱根駅伝1区で独走、新田颯が故郷凱旋 卒業後は自動車の営業職に

熊本県山鹿市役所を訪問し花束を受け取る新田(撮影・杉浦奈実)

 新年の第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の1区で一時後続を大きく引き離す独走を見せた新田颯選手(育英大4年)が11日、故郷の熊本県山鹿市役所を訪問し、早田順一市長らに結果を報告した。卒業で競技の一線からは離れるが、子どもたちへ陸上の面白さを伝えるなどしていきたいという。

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 新田選手は関東学生連合の主将として、2日の1区(21・3キロ)に出場した。スタート直後から飛び出し、一時は後続に1分以上の差をつけて快走。足がけいれんしていたという終盤も粘り、3番目でたすきを届けた。「陸上人生の最後だと思って、気持ちで押し切りました」

 山鹿中学校時代はハンドボール部で、駅伝部の顧問から誘われたのをきっかけに、体力づくりのため駅伝部の朝練に参加し始めた。千原台高校(熊本市)時代に3千メートル障害で高校総体に出たが、全国的には無名。2018年開学の育英大に進んでから、1万メートルで4分以上タイムを伸ばした。

 箱根のレース展開は想定していたプランのひとつだった。大学でも主将としてチームを引っ張る場面や、1人で練習する機会が多く、単独走には自信があったという。「リズムがはまって、気持ちよく走れていた。応援が力になりました」

 今春の卒業で、「365日練習してきた」という競技の世界からは離れる。走ること自体は続けるといい、自動車の営業職をしながら、市民ランナーや子どもたちに、陸上の楽しさや結果を出したときの喜びを伝えていきたいという。

 活躍に注目が集まったことについて「今まで無名だったので、感謝の気持ち。まだ芽が出ていない選手も、こういう風になれるよと伝えられたら」と話した。

 テレビで応援したという早田市長は「ダントツで走っていて、びっくりした。本当に市民の励みになったと思います」とねぎらった。

(杉浦奈実)

=朝日新聞デジタル2023年01月12日掲載

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