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ラクロスWORLDCROSSE、アメリカと日本の選抜が激突 男女共に悔しい敗戦

男子、激しくボールを奪い合う日米の選手(すべて撮影・保田達哉)

「ラクロス」の世界トップレベルの選手が集った大会「レモンガスWORLD CROSSE2023」が3月12日、神奈川県川崎市の富士通スタジアム川崎で開かれた。アメリカのオールスターが、日本の有力選手らと激突した。女子は7-11、男子は6-13でいずれも敗れたが、最後までアメリカにくらいつき観客をわかせた。

女子の田中希実主将「大きな世界との差に、ワクワク」

大会は2017年から始まった。主催する「Little Sunflower」代表でプロプレーヤー山田幸代さんが「ラクロスを幅広く知ってもらう場をつくり、子どもたちの将来の選択肢を広げたい」と開催。今回は、大学生ら約120人がスタッフとして参加した。

この日は観客約2700人がつめかけた。試合は女子から始まり、日本の選抜チーム「cross crosse選抜」が、アメリカ主力選手による「Unleashed All Stars」と戦った。

女子は高いボールを通すアメリカと、俊足をいかして攻撃し続ける日本が点をとりあう互角の戦いとなった。

第1クオーター(Q)で、試合開始直後にアメリカのローレン・ギルバートが日本守備陣の間隙をぬって先制。一方、日本は相手のゴール前でパスをうけた田中希実がシュートを決めて1-1。アメリカは、1度はゴールバーにはじかれたボールを拾ったスコッティー・グロウ二ーが確実に決めて2点目。日本も冨森美帆がシュートを決めて同点、さらに山田美帆がシュートを決めて勝ち越して3-2。アメリカも1点を返して3-3。

第2Qは、ジェイミー・オルテガ、ローレン・ギルバートが立て続けに得点し3-5。日本も倉田瑠々が、ゴーリー(G)との1対1に持ち込んでシュートを決め、4-5で前半を終えた。

第3Qは、アメリカのシドニー・ウォルソン、ローレン・ギルバート、モリー・スティーブンスが相次いで得点して4-8。日本は、大竹珠来(じゅら)が相手防御陣の隙間を狙って5-8。

第4Q、アメリカはシドニー・ウォルソンが冷静にシュートを放って9点目。アリソン・マストロアニが10点目。日本もパスをうけた木村圭那が右からの攻撃とみせかけて左からシュートを決め、6点目。直後、ゴール前で相手のミスをさそい河合寧々が7点目を入れた。アメリカもスコッティー・グロウ二ーが11点目。日本は最後まで積極的にゴールを狙ったが、惜しくも敗れた。

MVPに選ばれたローレン・ギルバートは「すごい楽しかった。日本でプレーできたことは挑戦的なことだと思います。たくさんの人たちの前でプレーできてよかった。こういった機会は、ラクロスが、オリンピック競技になることのフォローとなるので、いい機会だった。ハイレベルなプレーだった」と話した。

日本女子の田中希実主将は「『ラクロスは最高だ』。世界トップレベルを体感し、感じたことです。今はまだ大きい世界との差に、ワクワクしました。今大会の盛り上がりを見て、日本ラクロス界の輝かしい未来が見えたとともに、そこに貢献できるよう邁進(まいしん)していきたいと思います」とコメントした。

男子の佐藤大ゲームキャプテン「真っ向勝負できたが、点差がついて悔しい」

男子は、ラクロス男子日本代表が、PLLの有名選手で構成する「PLL ALL STARS」と戦った。ロングパスを多様して着実に点をとったアメリカに対して、パスをつないで迅速な攻撃を繰り出した日本だったが、点差が開いた。

男子は第1Q、試合開始直後にマイケル・ソワーズが先制、直後には2点目。日本は立石真也からのパスをうけた、金谷洸希がシュートを決めた。さらに、立石真也がゴール裏から回り込み、シュートきめて2-2の同点。

第2Q、ジュリス・ヘニンバーグがディフェンス陣の間をぬいてシュートを決め勝ち越し。続いてロブ・パネルがゴール前で冷静に決め、CJ ホスタバビルがロングシュートで相次いで得点し2-5。さらにマイケル・ソワーズ、ナケイエ・モンゴメリーが得点を重ね、7-2。日本は残り時間わずかで、鈴木潤一が1点を返し、3-7。

第3Q、日本は立ち上がりにボールをうけとった立石真也が得点、4-7。オフサイドから相手にボールがわたり、シュートを決められて4-8。セルジオ・ペルコビッチのロングシュートで4-9。ロブ・パネルにも得点を決められ、4-10。

鈴木潤一が1対1から相手守備陣の間をぬって得点。5-10。

第4Q、アメリカはロングパスをうけたジェイコブ・ストーバーがゴール前を果敢にせめて5-11。マイケル・ソワーズが押し込んで5-12。続いてソワーズが連続で得点した。

日本は奥村祐哉が、ゴール後ろから守備陣2人をかわし、ゴールに飛び込んでシュートを決めたが、6-13で試合終了。

MVPは、この日に個人で最多5得点のマイケル・ソワーズ。「最高です。こんなすてきな時間をすごせて、ありがとう。日本はスキルが高くて意識が高くて、本当にすばらしいチームだった」と話した。

この試合、日本男子のゲームキャプテンを務めた佐藤大(だい)さんは試合後の取材に「相手は強いのはわかっていたんですが、自分たちが通用する部分も感じることができた。真っ向勝負ができたなかで、点差をつけられて悔しい。日本の代表でも、個の力にフォーカスしていて、そこは通用する部分が多かった。フィジカルやスピードで大きな差は感じなかった。オフボールの動きや、ボールの受け方であったりとか、ラクロスの知識について差があるなと。向こうの選手がうまかったし学ぶことができた。ラクロスはかなり伸びているスポーツなので、今年の世界選手権で結果をだして上位に喰いこむことが、その後のオリンピックなどに重要だと思います。楽しかった100%があったうえで、悔しい思いができた」

【ラクロス】地上最速の格闘球技といわれる。北米が発祥。直径6cmの硬質ゴムボールを巡り、先端に網の付いたアルミニウム製の「スティック」を使って投げ、ゴール数を競う。シュートは時速150キロを超える。日本国内のチームは約350チーム。競技人口は1万3500人。毎年チームが増えている。2022年7月にアメリカ・アラバマ州で開かれたワールドゲームズでは、年齢制限のない世界一を競う大会で、男子日本代表が初めて銅メダルを獲得した。

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