慶應義塾大ラクロス部が、圧巻の全国男女アベック優勝 紡いだ絆で「真の日本一」へ
第13回ラクロス全日本大学選手権大会
11月27日@駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
▽女子決勝
慶應義塾大学11-6関西学院大学
▽男子決勝
慶應義塾大学4-3明治大学
ラクロスの全日本大学選手権大会(全学)決勝が11月27日に行われ、慶應義塾大学は男子が4-3で明治大学に、女子が11-6で関西学院大学に勝利し、関東に引き続きアベック優勝を果たした。昨年の全日本選手権大会(全日)で社会人を破った男子は、予選リーグから引き分けを挟んで9連勝、女子は11連勝と男女ともに無傷で学生日本一に登り詰め、圧巻のシーズンとなっている。
誰も止められない圧倒的な攻撃力
昨年は関東決勝で日本体育大学に敗れ涙を流したが、今季は他を寄せつけない得点力を誇る。予選リーグでは日本体育大に昨年の雪辱を果たすと得失点差は6試合で驚異の67。
続く関東準決勝では明治大と対戦した。第3クオーター(Q)までリードを許し今季初めて苦しい展開になるが、最終Qで3点を奪い逆転勝利を収めた。
関東決勝では立教大学相手に14点、全学では2試合連続で18得点を記録すると、決勝の大舞台でも実力を発揮した。
主将・川久保博子(4年、慶應女子)のフリーシュートで先制すると、その直後にゴール裏でパスをもらった秋山美里(1年、日大)が一対一を仕掛けてゴールを奪い試合の主導権を握る。
5-1で前半を折り返すと、その後も平井友香子(4年、同志社)が3得点の活躍を見せるなど勢いは止まらず、関西学院大から2桁得点を奪った。
秋山は1年生ながら最優秀選手賞にも輝き、「全日でも攻撃的なラクロスで点を奪って優勝を目指したいと思います」と笑顔で意気込みを語った。
練習では9割以上オフェンス練習をしているといい、攻撃に特化してきた慶大。超攻撃的ラクロスを作り上げ、どんな時でも攻め続けてつかんだ優勝だった。
また、「一人ひとりの強みを生かすようなゲームメイクを心掛けていた」と言う川久保の試合運びも素晴らしかった。日本一の攻撃力を誇る今年のチームが負けている姿は想像できない。
絶対に負けられない王者の「PRIDE」
男子はAT(アタック)のスタメン3人やFO(フェイスオファー)、DFにも昨年社会人に勝った時のメンバーが残っていて、負けてはいけないという重圧があっただろう。
しかしそれを跳ねのけ勝ち進むと、全学に臨む前には主将の貝柄海大(4年、大宮)は「全日につなげられるように」とコメント。今季は「PRIDE」というスローガンを掲げ、目標としている全日連覇を常に意識し続けてきた。
迎えた明治大との全学決勝。関東決勝では8-3と圧倒した相手との再戦だった。先制を許すも、貝柄と中名生幸四郎(4年、慶應)のゴール前のシュートですぐに逆転。
第2Qにはグラウンドボールを拾ったDF小川健(2年、慶應)がそのままピッチを駆けて得点するなど4-1とリードして後半に臨む。
しかし、リベンジに燃える明治大も必死に食らいつく。1点差に迫られると、第4Qも一進一退の攻防が続いたが、最後まで集中力を切らさずに勝ち切った。そのまま逆転されてもおかしくない展開だったが、「真の日本一」への強い思いが勝利へ導いた。
再び社会人と対戦する慶大のキーマンには今大会でも最優秀選手賞を獲得したFO石井ヴィクトール慶治(4年、慶應NY)を挙げたい。
石井は「僕が取ったボールをチームのみんながつないで、ゴールに結びつけてくれたことが一番大きい」と謙虚に話したが、果たした役割は大きい。ラクロスでは得点後に毎回FO(フェイスオフ)が行われるので、連続得点のチャンスにもなるが、逆に連続失点につながることもある。社会人相手にオフェンスの流れを作る上で欠かせない存在だ。
同じ時間共有 学生ならではの絆
攻撃的スタイルを貫く女子。能力が高い個々をまとめ上げている男子。アベック優勝を果たした男女のプレースタイルはそれぞれ違うが、共通していることは絆の強さ。得点後にチームみんなで見せる、はじけるような笑顔や気迫のガッツポーズがそれを象徴している。
社会人チームはフィジカルもスキルも大学とはレベルが違う。一方大学生は、練習やミーティングなど常に同じ時間を共有してきた。
昨年の男子主将・八星輝(慶應)は社会人と対戦する前に「組織として見た時にはほとんど毎日一緒に練習している学生の方が完成度は高いはず」と語り、その言葉通り、社会人相手に自分たちのペースを作り出して勝利をつかんだ。
仲間とともに過ごしたかけがえのない時間が社会人撃破の原動力となる。男女ともに真の頂点まであと一歩。ラクロス史にその名を刻む瞬間まで、全力で駆け抜ける。