野球

神戸弘陵、全5試合を無失点で4年ぶりV 花巻東下す 女子選抜野球

優勝を決めて喜ぶ神戸弘陵の選手たち(撮影・伊藤進之介)

 第24回全国高校女子硬式野球選抜大会(全国高校女子硬式野球連盟、埼玉県加須市主催)は2日、決勝が東京ドームであり、前回準優勝の神戸弘陵(兵庫)が花巻東(岩手)を6―0で破り、4年ぶり3度目の優勝を果たした。花巻東は初の頂点に届かなかった。

仙台育英監督「青春って、すごく密なので」 優勝インタビュー全文

 神戸弘陵は一回、先頭・田垣朔来羽(そらは)の三塁打を足場に1点を先行、五回は三村歩生(あい)の2点適時二塁打で加点した。投げては樫谷そら、伊藤まことの両左腕が2安打に抑えた。神戸弘陵は全5試合で無失点だった。今大会は昨年に続き、準決勝までを埼玉県内で、決勝のみを東京ドームで開催した。

■七回1死まで無安打 鉄壁のリレー

 鉄壁だった。

 神戸弘陵の先発樫谷そらは「気持ちよく投げられた」。3年生左腕は110キロ台の直球と緩い変化球を伸び伸びと投げ込み、三回までを無安打無四死球と完璧に抑え込む。四回からは2年生左腕の伊藤まことにつなぎ、七回1死まで安打を許さなかった。

 チームには苦い思い出がある。

 前回大会は決勝で延長十回タイブレークの末、福井工大福井に1点差で敗れた。2連覇を狙った昨夏の全国選手権は新型コロナの影響で準々決勝を棄権、甲子園に届かなかった。

 めざすのは、バッテリーを中心に守り勝つ野球。一つ上の世代ほど強くないという自覚から、「打力がないので、堅い守備を意識してずっと練習してきた」と主将の三村歩生。基本動作の反復練習に徹底的に取り組んだ。

 準々決勝で福井工大福井に雪辱し、準決勝では昨夏の王者・横浜隼人(神奈川)を破った。決勝を含め全5試合で1点も与えず、一つの失策も犯さなかった。

 伊藤は「今までやってきたことを全て出せて、弘陵らしい野球ができた」と笑顔を浮かべた。

 女子高校野球界屈指の強豪にふさわしい、堂々の優勝だった。

■「プロが投げているマウンドで」狂った制球 花巻東躍進にも悔い

 花巻東の先発関口瑞生は制球が不安定だった。準決勝までは22回余りで与四死球5だった。

 しかし、東京ドームのマウンドに浮足立った。「プロが投げているところでいつもと違う感じがした」。一回、先頭の三塁打から1点を先取された。五回は先頭の9番打者への死球から2点を追加された。

 5回で被安打は3ながら与四死球は5。

 昨年8月のユース大会決勝で敗れた神戸弘陵に雪辱はできなかった。

 「実力が足りない。もっと制球力をつけたい」。創部は2020年4月。ユース大会に続く躍進にも、唇をかんだ。

 ●三鬼賢常監督(花) 「僅差(きんさ)だと粘れるチームだが、それができなかった。ただ、最後まであきらめなかった心には100点をあげたい」

=朝日新聞デジタル2023年04月02日掲載

in Additionあわせて読みたい