大阪体育大・伊藤七海 攻守で見せた存在感 目指すモデルチェンジの現在地
7月16日に閉幕した「第1回全日本大学バスケットボール新人戦」(新人インカレ)の女子を制した大阪体育大学。準決勝の白鷗大学(関東2位)戦で攻守に存在感を見せたのが、PGの伊藤七海(2年、千葉経済大付)だ。持ち味の徹底したディフェンスに加え、攻撃では自らのプレースタイルを変えたいと磨いてきた3ポイントシュートを立て続けに沈めて試合の流れを決めた。
昨年度の新人インカレプレ大会を制した白鷗大。今大会の優秀選手、3ポイント王に輝いた玉川なつ珠(2年、桜花学園)や、リバウンド王となったアダム・アフォディヤ(1年、明星学園)ら力のある選手を擁し、注目校の一つだった。
第1クオーター(Q)の序盤、白鷗大が先手を取ったものの、その後は互いにシュートが決まらず硬直状態に。ここで試合を動かしたのが、伊藤の3ポイントだった。徐々にリードを広げ、第2Qへ。ここでも伊藤の活躍が光る。2本連続で3ポイントを決めると、白鷗大はたまらずタイムアウトを要求する。流れを変えたい相手に対し、伊藤が再び3ポイントを決めて主導権を渡さなかった。
この日の伊藤は、9本の3ポイントのうち5本を成功させ、エースのアイエビドゥン・グレイス(1年、倉敷翠松)に次ぐ、17得点を挙げた。
「まったく知らないところで挑戦を」
伊藤が本格的に3ポイントに取り組むようになったのは、大学に入ってから。「高校の時は持ち味がディフェンスだけだったので、大学でオフェンスのスキルを上げたかった」
高校時代、関東の大学と試合をする機会も少なくなく、接点や情報の多い関東で進学するのが自然な流れだが、伊藤はあえて関西の強豪・大体大を選んだ。その理由を問うと、「慣れている環境ではなく、まったく知らないところで強い大学に飛び込んで、プレースタイルを変えて挑戦したい気持ちがあった」と話してくれた。
そのなかで大体大を選んだのは、「ガードも積極的にシュートを打つし、センターとのピックプレーも積極的に使って、味方を生かしながら自分を生かすプレーができるところもいいなって感じた」からだという。
一方で、「身長(158cm)がないぶん、ドライブしても通用しないのは目に見えていた」と、3ポイントを磨こうと決めた。確率を上げるため、本数を増やすことはもちろん、動きながら打つ練習にも多くの時間を割いてきたという。
納得のディフェンスから生まれたリズム
こうした積み重ねの成果が現れたのが、この日の準決勝だった。伊藤は、オフェンスで力を出せた要因として、ディフェンスでリズムをつくれたことも大きかったと振り返る。
伊藤が相対したのは、前述した玉川。「完全につぶさないと、相手に流れがいってしまう」相手で、試合序盤から厳しいマークに動いた。「徹底的にプレッシャーをかけていこうと思ってプレーして、積極的に自分の持ち味を出せたかなって思います」。伊藤は試合後、納得の表情を見せた。
一転、翌日の決勝では思うようにシュートが決まらず課題も残したが、チームは劇的な幕切れで目標の日本一をかなえ、成長の跡と今後への収穫が見えた大会となった。